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勇者スレイヤー 勇者絶対殺すマン  作者: ランタン丸
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勇者の正体



神アポクリフの言葉にハイリは訳がわからなくなる。



「はあ⁉︎それはどういうことですか?あなたが、あの勇者たちを指名して神託を下し、魔族を滅ぼすように仕向けたのではないのですか??」


ハイリは勇者の力を身をもって知っている。大魔法を連続して使用しても枯渇するこのない魔力や凄まじい膂力は、まさに神に選ばれし者にふさわしい力であった。

それなのに勇者ではないとはどういうことなのか?ハイリは混乱しながらも詳しく神アポクリフの話を聞くことにした。


「ああ、そうだよ。君と船で戦った者はモモタロウって名前はなんだけどね、私が彼を勇者に指名した事実はない。それはモモタロウ以外の他の勇者でも同じさ」


神アポクリフは、不本意そうな顔をつくりながら話を続ける。


「だいたい勇者ってのは神の力を分け与えられた特別の存在なんだよ!!それなのにあんなに沢山勇者がいること自体おかしい話さ。勇者ってのはね、世界中に1人だけの存在なんだよ。勇者が死ぬまでは他の者を勇者に指名することもできないんだ。それがこの世界の設定(ルール)だからね。これは神たる私でも破ることができない」


「だったらあいつらは、何者なんですか?それに勇者じゃないにしてもあいつら、人間には考えられない化け物みたいな力をもっていましたよ!」


「そう、君のいう通りさ!あいつらは単なる人間じゃないのさ!その正体はね、人造人間(ホムンクルス)さ!!」



人造人間(ホムンクルス)?それは何ですか?」


人造人間(ホムンクルス)という聞きなれない言葉にハイリは首を傾げる。


「まんまの意味さ。死んだ人間に魔力の結晶をを埋め込んで造られた人間さ。しかも複数の魂をその身に宿していてね。核となる部分に封じ込めて、その力を引き出せるようにしてるんだよ」


「死んだ人間を・・・⁉︎そんなことが可能なのですか?」


「そう!そこなんだよ!!この世界では死者を使い魔とするネクロマンサーの死霊術や死者を蘇生する魔法は確かに存在する。でもね、自由意思をもったまま死体を改造する術や死体に複数の魂を封じ込める技術は、この世界の設定(ルール)上に存在しない。つまり、今勇者を名乗ってる奴らは、この世界では存在しえないはずなんだ。この世界にとっては異物だよね!」


ハイリの疑問に神アポクリフは答え、さらに言葉を続ける。


「そこで、君にお願いがあるんだよ。君を勇者に正式に指名するから、あの自称勇者たちと黒幕である教皇を始末してほしいんだ。頼めるかい?」


神アポクリフの突然の申し出に困惑した。


「お、俺を勇者に指名するんですか?なぜ俺なんです??アポクリフ様が直接始末した方が早いのではありませんか?」


ハイリの言葉に神アポクリフは、困ったように目を細めて答えた。


「私ができるのならとっくにやってるよ!それができないから君を指名しようとしてるんじゃないか。設定(ルール)上この世界では神は世界の秩序を保つために勇者を指名して代わりにやってもらうことになってるんだよ。それにね、勇者の前任者から君が勇者に相応しいって推薦があったんだよ」


先ほどから神アポクリフが口にする耳慣れぬ設定(ルール)という言葉を疑問に抱きながらも、自分を推薦したという前任の勇者の存在が気になる。ハイリは前任の勇者について聞くことにした。


「前任の勇者!それがなぜ俺を⁉︎面識さえありませんよ?」


「いや、君は確かに前任者に会ってるよ。君もよく知る人物さ!!」


「教えてください!!一体誰なんですか?」


「前任の勇者の名前はね、君の元上司のルシル・ナルカートさ」


神アポクリフから告げられた名前に驚きすぎて、ハイリは口を丸くあけポカンとしてしまう。


「ふっふふ、言葉もでないほど驚いているね。まあ無理もないよ」


神アポクリフから告げられた名前。

ルシル・ナルカート、それはかつてハイリが仕えた王の名前である。そう、魔王の名前だった。


ハイリはしばらく呆然と立ち尽くすのであった。






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