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第93話 『魔力吸収』のスキル

「なるほど。やっぱり、『魔力吸収』がなくなると再生できなくなるんだな」


「オオオオオ!!」


 そんな叫び声が聞こえて振り向くと、俺に向かって二本の大きくて太い根のようなものが俺に向かって振り下ろされていた。


「うおおっ!」


 シューンッ! ビシンッ! ビシンッ!


 すると、頭上で二本の根のようなものが弾け飛んだ。


「オオオオオッ!!」


 そして、根を弾け飛ばされたトレントは悲鳴に近い唸り声を上げた。


 遠距離からあれだけ太い根を一撃で弾き飛ばすなんて芸当をできるのは、アリシャしかいないだろう。


 そう考えてアリシャの方を見ると、アリシャが険しい顔で根があった場所をじっと見つめていた。


 え、アリシャ怒ってないか?


 それから、アリシャは俺の視線に気づいたようで慌てて表情をいつもの感じに戻した。


 まぁ、多分俺を心配してくれて攻撃してきた根を睨んでいただけだよな。


 ……もしかして、リリナのヤンデレ気質が少し伝染していたりしないよな?


 そういえば、リリナは今どいつの相手をしてくれているんだろうか?


 そう思ったとき、目の前で一瞬何かが動いた気がした。なんだろうかと思ってじっと見てみると、俺を襲った他のトレントと比べて大きなトレントの幹に次々に大きな傷跡がついていった。


 そして、一瞬見えたリリナの目が座っていたような気がした。


「お、オオオッ、オオオオオッ!」


大きなトレントは次々に繰り出される攻撃を前に、悲鳴を漏らして一方的に斬られ続けていた。


 それから、俺は辺りにいたトレントたちがグッタリしていたことに遅れて気づいた。


 ……これ、リリナの毒が聞いているのか。


「随分とぐったりしているし、これならいけるか。『スティール』!」


 俺が『スティール』を使うと、次々に『魔力吸収』のスキルを奪うことに成功した。そして、トレントたちは魔力を吸いあげることができなくなって、さらにグッタリとしていく。


 俺はそんなトレントたちに追い打ちをかけるように剣を振る。


「『竜風(魔)』! 『豪力』!」


 バキャキャッ! バキャッ!!


 そして、俺は地面をえぐるような竜巻のようなものや、力いっぱい剣をトレントに叩きつけて、太い幹を次々にへし折っていった。


「アアア!!」


 すると、回復手段を失くしたトレントたちは、悲鳴を上げて木っ端みじんになって動かなくなったていった。


 それから、リリナが弱らせていたトレントたちにとどめを刺した後、リリナが戦っていた方に振り向く。


「オオ、オオオッ」


 すると、リリナが戦っていた大きなトレントはすでにボロボロになっていた。


 リリナにへし折られた幹と、アリシャから食らったであろう矢で開けられた穴がトレントをさらに不気味なものに変えているようだった。


「これだけボロボロならすぐにでも『スティール』できそうだけど、せっかくだから試してみるか」


 俺はそう言ってから、リリナが相手をしている大きなトレントに走って向かっていった。


「リリナ! よくここまでダメージを与えておいてくれたな! あとは任せてくれ!」


「ロイドさま! こいつ、思ったよりも回復が速いです!」


 リリナは俺の言葉に一瞬嬉しそうに顔を緩めてから、すぐにむっとした表情をしてトレントを指さした。


 俺はリリナの言葉を聞きながら、パキパキッと音を立てて幹を再生していくトレントに剣を力いっぱい突き刺した。


「さて、このスキルがどのくらい回復するのか試させてもらうぞ。『魔力吸収』!」


 そして、俺は突き刺した剣を片手で持ちながら、奪ったばかりの『魔力吸収』をトレントに使用した。


 すると、突き刺した剣を伝って俺の体に何かが流れてくるのを感じた。魔力だけでなく、体力までも回復していくかのような感覚。


「オ、オオッ」


 そして、さっきまで早かった幹の回復のスピードが目に見えて遅くなっていくのが分かった。


 それもそうだろう。トレントが地中から吸い上げた魔力を俺がそのまま吸い取っているのだから。


「これは、随分と便利なスキルだな。どれ、おまえのも貰っておくとするか。『スティール』」


 俺はそう言って左手をトレントの幹に触れて、『スティール』を使用した。すると、俺の左手がぱあっと光り、次のようなステータスを表示する画面が現れた。


『スティールによる強奪成功 スキル:魔力吸収(魔)』

『スキル重複によりスキルを統合。レベルアップ。 魔力吸収(魔) ※上限に達しました』


「おっ、こいつでスキルが上限に達したみたいだな」


 俺は表示されたテキストを見てにっと笑ってから、再生が止まったトレントの幹を確認する。


 それから、『スティール』を使っていた左手を突き刺している剣に戻して、ぐっと力を入れる。


「それじゃあな、『炎弾』!」


 すると、剣を突き刺した先から噴き出た炎がトレントを一気に焼き尽くした。


「オオオオオッ!!」


 俺は剣を引き抜いて悲鳴を上げるトレントが焼き尽くされる様子を見てから、他のトレントたちをちらっと見る。


 すると、他のトレントたちは大きなトレントが焼かれている様子を見て少し勢いを失っていた。


 俺はそんなトレントたちを見て、にやりと笑う。


「よっし! リリナ、ここにいるトレントたちを倒して、採掘場に向かうぞ」


「はい、ロイドさま!」


 こうして、トレントの攻略法を見つけた俺たちは、トレントたちに『スティール』を浴びせまくってたくさんいたはずのトレントたちを次々になぎ倒していくのだった。


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