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第92話 トレントの攻略法

「なんで『迷いの森』にいるはずの魔物がこんな所にいるんだ?」


 俺はアリシャの話を聞いて馬車を走らせながら考える。


 すると、少し前にザードがケインの『支援』を使って、山に魔物を呼び寄せた一見のことを思い出した。


「誰かがザードと同じように『デコイ』で? いや、『支援』のない『デコイ』を使っても、『迷いの森』から魔物を呼ぶのは無理だろ」


 ここから『迷いの森』まではトロッコを使ってショートカットをしないとなると、それなりの距離がある。


 そんな遠い距離にいる魔物を距離を意図的に運ぶことなんかできる気がしない。


 俺がそんなことを考えていると、風が吹いている訳でもないのに木々が動き始めた。初めは枝だけが揺れていた木々は、向きを変えて俺たちの馬車に向かって根っこごと大移動をし始めた。


 そして、十数体のトレントがこっちに向かってきており、二十体ほどの残ったトレントは採掘場の入り口を守るように並び直していた。


 俺は連携の取れたトレントの動きに眉をひそめてから馬車を止める。


「色々と気になる所はあるが、考えるのは後だな。相手が待っていてくれる気がしない」


「ロイドさま。これだけの数のトレントを相手にするのはあまりお勧めしません」


「え? トレントって、そんなに強い魔物なのか?」


 トレントって森の中で道を分からなくする魔物って感じで、そこまで強い魔物というイメージがなかった。


 だから、いつもと同じようにスキルをぶっ放せば勝てるもんかと思っていたが、そういう訳でもないらしい。


 しかし、アリシャはそう言いながらも首を横に振った。


「強さはそこまでではありませんが、トレントは倒しても根を張って地中にある魔力を吸って体力を回復させます。なので、仮に倒しても他のトレントの相手をしているうちに体力が回復してしまうんじゃないかと」


「なるほど。一体ずつ相手をすることは難しいってことか」


 俺はそう言ってから、こっちに向かってきているトレントたちを見る。


 さすがに、一気にまとめて屠ってしまえばいいかもというのは脳筋過ぎるか。


 俺がそんなことを考えていると、リリナが少し考えてからアリシャを見た。


「炎系統のスキルとかでもダメなの? ロイドさまのスキルなら、炎の威力も凄いし倒せるんじゃないかな?」


「炎とか毒系統のスキルなら倒せるとは思う。でも、これだけの数を相手にするとなると大変ですよね?」


 俺はアリシャに視線を向けられて頷く。


「そうだな。『炎弾』は連発するようなスキルではなさそうだし、ガス欠を起こす可能性も十分にある」


 いくら支援を使った状態と言えど、ロイドがポンポン『炎弾』を打てるような気がしない。詳しくは知らないが、炎を出すってことは多少なりとも魔力を使っている訳だろうしな。


「まぁ、ポーション類をあれだけ貰った訳だし、それを使えばどうとでもなる気がするけどな。いや、待てよ」


 俺はそう言ってから、さっきのアリシャの言葉を思い出す。


 トレントたちは地面に根を張って魔力を吸収するって言っていたな。もしも、それがスキルによるものだったら……。


「少し、試してみたいことがある」


「ロイドさま?」


 俺は首を傾げたリリナに笑みを浮かべてから、口を開く。


「アリシャは弓矢で後方支援を頼む。リリナは俺と一緒にトレントに突っ込んでいこう。少し戦って見て、俺の読みが外れたら一旦退いて体勢を立て直す」


「分かりました! やってみます!」


 俺はリリナが短剣を引き抜いたのを見てから、アリシャに含みのある笑みを向ける。


「アリシャ、上手くいけばここにいるトレントたちを全滅させられるかもしれないぞ」


「こ、この数のトレントたちをですか?」


 俺はアリシャの言葉に頷いてから、剣を引き抜いて向かってくるトレントたちの方を向いた。


「リリナ。俺がスキルを使って魔物にダメージを与えて奴らのスキルを奪ってみる。リリナは俺がスキルを奪う間、他のトレントの相手をお願いしたい」


「了解です!」


 俺はリリナが元気に返事をしたのを聞いてから、左手を二人に向ける。


「『支援』。それじゃあ、二人とも頼んだぞ」


 俺が支援を使うと、二人の体が緑色の光に包まれた。それから、俺は二人が頷いたのを見てから、トレントたちに向かって走り出した。


 そして、トレントたちと距離を詰めていったところで、俺はトレントたちに剣を振りかぶってスキルを使用した。


「『竜風(魔)』!」


 すると、渦の中心を相手に向けるようにした竜巻が地面をえぐりながら飛んでいった。


 そして、それは二体のトレントたちに直撃して、音を立てながら木の幹を木っ端みじんにした。


「「アアアア!!」」


『竜風(魔)』を受けて悲鳴を上げているトレントたちに、俺は左手を向けた。


 まず初めに、こいつらから根を張って体力を吸収するスキルを奪わないとな。


「『スティール』」


俺の左の手のひらがぱぁっと小さく光ってから、ステータスを表示する画面が現れる。


『スティールによる強奪成功 スキル:魔力吸収(魔)』


「『魔力吸収(魔)』か。確かに文字通りのスキルだな」


 俺が『竜風(魔)』で倒した二体のトレントを見ると、片方のトレントは幹の部分を再生し始めたのに対して、俺が『魔力吸収』を奪った方のトレントはまったく再生していなかった。


 どうやら、予想通りみたいだ。


 俺はそんなトレントの攻略法を見つけて、一人口元を緩めるのだった。


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