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第70話 二人任せの戦闘

 俺は頼りになる二人を見ながら左手を向ける。それから、俺は左手にぐっと力を入れてとあるスキルを発動させた。


「『支援』」


 俺がケインから奪ったスキルを使うと、俺とリリナとアリシャの体が緑色の光に包まれた。


 リリナとアリシャは自身の力が向上したのが分かったのか、一瞬俺の方に振り向いた。


 俺は脱力した笑みを二人に向ける。


「リリナ、アリシャ。任せたぞ。俺は文字通り支援しかできなさそうだからな」


「「はい!」」


 二人は元気よく返事をしてから再び魔物の方に視線を向ける。すると、大きな白いコウモリのような魔物の方が口から白い息を吐き始めていた。


 徐々にその白い霧が広がっていき、薄くなったはずの霧がまた深まっていく。


 その魔物の姿を見て、リリナがぐっと低く構えた。それから、横目でアリシャを見る。


「アリシャ、私あのでかいコウモリに突っ込んでいっていい?」


「任せて、援護する」


 アリシャは頷いてから弓を構えて真剣な眼差しを魔物に向ける。


 すると、アリシャの言葉を聞いたリリナがふっと姿を消した。

 

多分、『影隠れ』というスキルを使ったのだろう。『影隠れ』は相手に目視されている状態でも、自分の気配を気づかれにくくするスキルだ。それに、『支援』で強化された肉体のスピードが重なって、リリナの姿が本当に消えたみたいだった。


「ギャギャッ⁉」


 それは、コウモリのような魔物たちも消えたようなリリナに驚きながら、大きなコウモリのような魔物の前に盾になるように群がってきた。


「『瞬風』……『狙撃』、『狙撃』」


 シューンッ、ザシュッ、ザシュッ!


「「ギャッ、ギッ!」」


 すると、アリシャがスキルを使いながら矢を放つ。


 『支援』で体と魔法が強化されたこともあり、アリシャの放つ一撃一撃が重く、魔物の体を貫通していった。


「ギッ、ギッ……」


 バタバタッと次々に倒れていくコウモリのような魔物たちを見て、奥にいる大きなコウモリのような魔物が後退っていくのが見えた。


 そして、前にいたコウモリのような魔物が全員倒されると、後ろにいる大きなコウモリのような魔物は敵わないと踏んで羽を羽ばたかせようとした。


 その瞬間、コウモリのような魔物の後ろにゆらっと一瞬影が見えた。


 そして、次の瞬間にはコウモリのような魔物の首から大量の血が噴き出していた。


「ギッ、ギギギッ!!」


 コウモリのような魔物は何が起きたのか分かっていないようで、倒れながらバタバタと暴れている。


 しかし、暴れるのもままならないようで、動きがどこかおかしい。


 ちらっとさっきまでコウモリのような魔物が立っていた場所を見ると、短剣についた血を払っているリリナがいた。


 リリナは俺の視線に気づくと、倒れている大きなコウモリのような魔物を見て胸を張る。


「もちろん、毒付きです!」


 ……さすがリリナ、抜かりないな。


 俺はそう思いながらも、良すぎる手際を前に少し目を細めてしまっていた。暗殺者スタイルが本当に板についてきた気がする。


「ギャ、アッ」


「おっと、『スティール』」


 すると、瀕死状態の魔物がなんとか逃げようとまた白い霧を吐き始めた。俺が左手をコウモリのような魔物に向けて『スティール』を使うと左手が微かにぱぁっと光り、小さな画面が現れた。


『スティールによる強奪成功 スキル:白霧(魔)』


 そして、出かかっていた白い霧のようなものがぴたりとやんだ。


「ギ、ギッ、ギ……」


 コウモリのような魔物は何が起きたのか分からないまま、ガクッと力が抜けたようになって動かなくなった。


 凄いな、リリナとアリシャに戦闘を任せていたのに、すぐに終わってしまった。


 魔物と戦闘になってから制圧するまで十秒かからなかったよな?


 俺が圧倒した二人の強さに驚いていると、リリナとアリシャが俺のもとに駆けよってきた。


「ロイドさま! やっぱり、ロイドさまのスキルは凄いですね!」


「魔力に筋力、両方ともロイドさまのおかげで底上げされています。ロイドさまがいると心強いですね」


 リリナとアリシャは『支援』の力に感動するようにそう言って、笑みを浮かべていた。


「……いや、強いのは俺じゃなくて二人の方だろ」


『支援』で強化されたからといって、普通はここまで強くなったりはしない。実際に、アニメでもこんなに強くはなかったはずだ。


これも、リリナとアリシャがサブジョブを極めたことで得られた力なのだ。


 とりあえず、『迷いの森』での戦闘は二人に任せても問題はないみたいだ。俺が下手に暴れるよりも、こっちのほうが追っ手に気づかれないしな。


 こうして、俺は二人の『支援』をしながら、『迷いの森』を進んでいくことになったのだった。


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