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第108話 ルナの加入と


「ロイドさま! 大丈夫ですか⁉」


 俺がルナを抱きかかえて崖から戻ってくると、リリナが心配そうに俺のもとに駆けよってきた。


「ああ。なんとかな」


リリナたちがマンティコアとの戦いを終えてから、俺は崖から『硬糸(魔)』をリリナたちに向けて投げて、それを丈夫そうな木の幹に縛り付けてもらった。


 それから、俺は『硬糸(魔)』を伝ってなんとか崖の上に戻ってくることができたのだった。


「うそ、あのサイズのマンティコアが本当にやられてる?」


 すると、ルナは倒れているマンティコアを見て、信じれないといった表情を向けていた。


 リリナとアリシャなら何とかなるかもと思ってはいたが、まさかマンティコアの首が落とされているとは思わなかった。


 色んな所に空いている大穴はアリシャの攻撃によるものだろう。


「よく『狂戦士』のスキルを持つマンティコアを倒せたな」


 俺がそう言って二人を見ると、二人は機嫌よさげに俺を見上げた。


「はいっ、ロイドさまに作ってもらった湾刀のおかげで首を落せました!」


「少し苦戦しましたけど、何とかなりました」


 俺は二人の言葉を聞いて安心して胸を撫でおろした。


 それと同時に、リリナが湾刀を上手く使いこなしているということを嬉しく思った。どうやら、リリナの火力アップは無事成功したらしい。

「ところで、ロイドさま。なんで妖狐の女の子にべったりくっつかれているんですか?」


 リリナはフラットな目を俺に向けて、こてんと首を傾げた。その隣では、目だけ笑っていないアリシャも同じように首を傾げている。


「はっ!」


そこで、俺は崖から上がってきてから、ルナを抱きかかえたままになっていたことを思い出した。


 俺が慌ててルナから離れようとすると、ルナが悪巧みをするように笑みを浮かべて、さらに俺に抱きついてきた。


「ロイドが近くにいて欲しいって言ったから」


「「ロイドさま?」」


 リリナとアリシャの声の温度が下がった気がして、俺は慌てて手を横にブンブンと振る。


「違くはないが誤解だ!」


 俺がどうしたものかと考えていると、少し離れた所にいたルナが連れていた女の子が俺のもとに駆けよってきた。


「お、お姉ちゃんは⁉」


 女の子は慌てた様子で俺の服を引いて、必死な形相で俺を見上げていた。


 そういえば、ルナがこの子のお姉さんに化けていたということを、この子だけ知らないんだったな。


「……色々と説明しないとだな」


 俺はそう言ってから、崖の下でルナと話したことを三人に話すのだった。




 それから、俺はそこでルナが妹たちを人質に取られていることなどを聞かされた。


 無理やり命令されているとは思っていたが、まさか妹たちを人質に取られていたとはな。


 一通り話終えると、ルナが連れてきたアンナという子がルナを強く睨んでいた。


「お姉ちゃんじゃなかたの? なんでそんなことしたの?」


「ごめんね。本当に、ごめん」


 ルナはただ素直にアンナに謝っていたが、アンナは怒りと戸惑いの感情を抑えることができずにいた。


 会えなくなった姉と再会できた嬉しさから、いきなり突き落とされればそんなふうにもなるだろう。


 まだ奴隷商に引き渡す前に止められて良かったのかもしれない。


 俺は遠目でそんな二人を見てから、遠慮気味に視線をリリナとアリシャに戻す。


「そういうわけで、ルナをパーティに誘ってみたんだけど、どうかな?」


 勢いで決めてしまったが、パーティに加えるのなら三人の問題だ。


 相性の問題もあるだろうと思って聞くと、アリシャはアンナに謝っているルナを見て口を開く。


「ロイドさまがそうおっしゃるのでしたら、私としては反対派いたしません」


「私も同じです!」


 リリナもアリシャと同意見らしく、二人ともルナの加入に反対をすることはなかった。


 俺は二人の言葉に安どのため息を漏らす。


 すると、アリシャがルナから俺にちらっと視線を戻す。


「ただ事情が事情なので、すんなりパーティに加入するのは難しいんじゃないでしょうか?」


「ああ。分かってる。少し苦労することにはなるかもな」


 脅されていたとはいえ、やった内容が内容だ。さすがに、無罪放免というわけにはいかないだろう。


 それでも、可能な限り手を尽くせば、もしかしたら……


 俺は怒り疲れたアンナがぺたんと座ったのを見て、ルナのもとに近づいていく。


 すると、ルナが俺に気づいたようで顔を上げた。


「ルナ。ルナの妹たちと捕らえる奴隷たちを解放する。そして、俺の名前を使って悪さをした黒幕をとっちめてやる。力を貸してくれるな?」


「もちろん。むしろこっちのセリフだよ」


 ルナはそう言って立ち上がると、俺たちに深々と頭を下げてきた。


「ボクに力を貸してください」


「おう、任せておけ」


 俺はルナにそう答えてから、笑みを浮かべるのだった。


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