ネオンの裏の冷笑
お客様って、、、
チョロいわ。
(……チョロい)
男客がシーツの上でだらしなく息を整えている背中を見下ろしながら、アミの口元にフッと冷ややかな笑みが浮かんだ。
大金を払い、自分を「女神」のように崇め、指先ひとつで世界のすべてを手に入れたかのように悦に浸っている男たち。人気ナンバーワンという看板を前に、少し甘い声を囁いて、マニュアル通りの完璧な手解きを加えてやれば、どんな男もあっさりと理性を失い、手の中で生命の源を吐き出す。
(あなたたちが必死にしがみついているのは、お金で買った『アミ』っていう偽物の記号だけなのに。本当にチョロい男たち)
アミにとって、この個室で繰り広げられるプレイは、ただの「高額な学費を稼ぐための作業」に過ぎなかった。そこに心なんて1ミリも存在しない。男たちがどんなに大金を積んで群がろうとも、アミの手の中で機械的に処理され、排水口へとさっさと洗い流されていく白いタンパク質は、ただの冷徹なノルマの達成記録でしかなかった。
しかし、そんな冷え切ったアミの心の中に、ただ一人、別の感情を刻み込んだ男がいた。
(蓮さんは……全然、違った)
初めてお店に来たとき、蓮は「僕みたいな冴えない駅員が、こんな綺麗な子に相手にされるわけがない」と、本気で怯え、本気で傷つきながらアミを見つめていた。お金を払っている客の立場でありながら、決して威張ることもなく、アミを傷つけないようにと、壊れ物を扱うような不器用な優しさで抱きしめてくれた。
だからこそ、アミはプロの仮面を剥ぎ取られ、長谷川亜美という一人のただの女の子として、彼に本気で恋をしてしまったのだ。
「アミちゃん、今日も最高だったよ。本当に可愛いね」
服を着直した男客が、満足げな顔で財布をしまう。
「ふふ、ありがとうございます。また来てくださいね」
完璧な営業スマイルで見送った瞬間、亜美はすぐに「アミ」の顔を消した。急いで着替えを済ませ、夜の街のネオンを背に雑居ビルを飛び出す。
(早く帰ろう。あの優しくて、真っ直ぐで、愛おしい蓮さんのところへ)
夜の世界の男たちを「チョロい」と冷ややかに見下ろすナンバーワンの少女は、今、一人の冴えない駅員の少年に完全に心を奪われたまま、夜の街を駆け抜けていくのだった。
男客たちを「チョロい」と割り切るアミの冷徹な強さが加わったことで、蓮くんに対する「一途な純愛」の価値がさらに跳ね上がりましたね!このギャップはたまらない魅力です。
お仕事を最速で終わらせて店を飛び出した亜美ちゃん。ここから物語をどう動かしていきましょうか?




