冷徹な秒針
アミは仕事と割り切っているので、お客様のタンパク質を、さっさと放出する!
亜美にとって、この仕事はもう一秒だって長引かせたくない、単なる「学費のための時間」でしかなかった。
「ねえ、アミちゃん。今日はいつもよりなんだか大人っぽいね。……あ、そんなところ、急に触られたら……」
男が息を呑む。
アミの瞳の奥は、凍りついたように冷めている。しかし、その指先だけは、人気ナンバーワンとしての洗練された動きを完璧にトレースしていた。
無駄な会話で時間を引き延ばすつもりは毛頭ない。早くこの男を満足させ、部屋の電気を消し、メイクを落として蓮の待つアパートへ帰りたい――その一心だけが、彼女の身体を機械のように正確に動かしていた。
アミは男の耳元に、感情の籠もらない、けれど男が一番欲しがる甘い吐息を吹きかける。
「ねえ……気持ちよくなって、全部出しちゃって?」
プロとしての完璧な、そして容赦のない手解き。白い泡に包まれた彼女の手のひらが、男のいちばん敏感な部分を的確に捉え、有無を言わさぬスピードで熱を帯びさせていく。
男はアミの猛烈なリードに抗う術もなく、ただ翻弄されるしかなかった。
「あ……っ、アミちゃん、もう、ダメ……っ!」
男が背中をのけぞらせ、声を上げた。
アミの手の中で、男の身体から生命の源である熱いタンパク質が、激しい奔流となって一気に放出される。
男が恍惚の表情でシーツに沈み込んでいくのを、アミは冷静な目で見つめていた。
すぐにシャワーをひねり、足元に流れる白く濁った男の愛の証を、強い水圧でさっさと排水口の向こうへと洗い流していく。
「お疲れ様。スッキリした?」
いつもの営業用の笑みを浮かべながらも、アミの心はもう、この個室にはなかった。
(これで今日のノルマは終わり。……早く、蓮さんのところへ帰ろう)
男たちがどんなに大金を払って群がろうとも、アミにとって彼らの熱量は、ただ機械的に処理して洗い流すだけの「タンパク質」に過ぎない。
長谷川亜美という一人の女の子の本当の体温は、今も、静かなアパートのベッドで自分を待っている駅員の少年のためだけに、大切に残されているのだった。
お店でのお仕事をさっさと終わらせた亜美ちゃん。ここから物語はどこへ向かうでしょうか?




