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第5話 泉 真琴 恋・発・嘘 ①


 女の子は何でできてるの?

 女の子は何でできてるの?

 砂糖とスパイスと

 素敵なものすべて

 それが女の子の材料よ。


 小学4年生の時に聴いた曲。

 英語の曲を訳した歌だけど、頭に浮かんだのは彼女の事だった。


八乙女やおとめ める』少し癖っ毛の柔らかい綿菓子のような髪。笑えば女の子らしく愛らしいのに、星でも宿してそうな、意志を感じられる猫目。

 転んでも笑う、誰かが泣いてたら放っておけない……強くて可憐で愛嬌がある、私の特別。


 小さい頃から背が高かった私は、男の子から、からかわれる事も多かった。自分の心を隠していく度、消しゴムの角のように削られ、心が小さくなっていく。身長も小さくなってくれれば良かったのに。

 そんな私を八乙女さんが助けてくれた。八乙女さんにとっては、何でもない出来事だったかも知れないけれど、私にとってのヒーローでもありヒロインでもある素敵な女の子。


 高校で三年ぶりに、同じクラスになっても、八乙女さんは変わっていなかった。

 ゆるく結んだセーラー服の襟元リボン。隙間から見える白い肌にシルバーネックレス。


 ミルクティーベージュの髪色やピアスの数が増えたこと。

 あの頃から派手さは増したものの、クラスの中心で、輝いているのは同じだった。

 私が求める、女の子の素敵なもの全てを、混ぜ合わせて、出来たような好きな人。



 そんな好きな人から嘘の彼氏役を頼まれた。


『アタシのこと恋愛対象で好きにならないじゃん』


 思い掛けない提案は、神様からのご褒美だと思った。……と、同時に自分が妄想してた事や夢にまで見たものを全否定された。

 私は凄い悪い事をしているの? 自己否定したくなる気分で消えたくなった。


 それでも引き受けたのは、嘘でも近づきたかった。八乙女さんの隣にいたいと思ったからだ。

 どうせ、最初で最後になるのだろうから、思いっきり彼氏役をやって終わりにしたかった。



 鏡に映る今日の私は、客観的に観ても、中性的な……どちらかと言えば男の子に見えた。

 そう、思ってもらわないと困るか。


 八乙女さんは、恋愛対象として無理なんだ……よね。これ以上、気持ちが重くならないようにしなきゃ。

 よし、実らないから初恋なんだ。長かったし見ているだけの初恋だっだけど、今日で終わらせに行こう。

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