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女子高の王子様は、アタシにだけ重すぎる   作者: ちーよー
二部 恋人編 湿度そのままにラブコメが増えるよ
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47/61

第47話 八乙女メル 球技大会 二部スタートだよ

 10月27日 (火)晴れ 欠席一名 遅刻二名


 来週の球技大会のメンツ、アタシいない間に秒で決まっててワロタ。ドッジボールみたいだから、当てられたら三倍返し確定……



「遅刻したら、その日の週直変わるとか、だるっ」


 あっ……好き。言うのもだるっ……もちろん、泉さんは大好きだけど、あれは、告白の為のスイッチだから。もう、必要ないか。

 ってか、アタシには知りたい事が、どうしてもある! ビデオ通話してた時に、本当に泉さんは寝てたのか? 怪しいんだよな……付き合ったから、気にする必要ないかもだけど、アタシ気になります! 謎を解かねば!!



「私、バスケットボール……」 

「わっ、ビックリした! 急に後ろから覗か……」

「学級日誌。なに、書いてるのかな?って」


 ひぃ 振り向いたら、至近距離にお美しい顔が……流し目すな! 前髪の隙間から覗く、切れ長の瞳……色気エグっ!! 生唾飲み込みないように、ペットボトルのミルクティーを口に含む。



「い、泉さん。バスケットボール上手いじゃん」

「身長が高いから、有利ってだけ。八乙女さんと一緒が良かった」

「あーね。でも、一緒の体育館だし、応援するよ! 」



 優梨もドッジボールで、今日は欠席してる叶乃もドッジボール……ドッジボール人気なかったんだろうな。


「泉さんのバスケ姿、動画撮っちゃお」

「やめてほしい」


 さり気なく『動画』と言うワードを出しておいてからの


「動画で思い出したけどさ、前にビデオ通話したじゃん」


 本音を聞き出すには、こちらも本当の事を言わないといけないわけで


「あの時。寝ぼけてさ……『好きになっちゃった』って、言った気がするんだよね……アハハ……」


 ほんとは寝ぼけてないし! 確実に言ったんだが!! なんか、思い出すと恥ずっ!!


「そう。私は知らないけれど」


 冷たっ!!


「そ、そっか〜。でも、なんかさ……『わたしも好きだよ』って、聞こえたような……」


 泉さんは、お美しいお顔を、お美しいお手々で、覆うと、魂が口から抜け出しそうなくらい、どデカいため息を吐いた。


「……はぁぁぁあーーーっ! ……もうダメ。穴があったら入って、そこでしばらく暮らしたい。今から言うことは、聞いたら絶対にすぐに忘れてね」

「う、うん」


 穴に入っても、仲良く一緒に暮らそうね……ってか、いつもの凛としたイケボはどこへやら、耳まで真っ赤じゃないですか。


「八乙女さんの『好きになっちゃった』って、本当に私の事だったんだ」

「う、うん」

「ごめんなさい。私……画面収録してた……目覚ましで、使おうと思って……」

「う、うん?? 」

「だからね……いつの間にか、私も眠ってて……寝言で反応した……みたい」


 そのままがっくりと項垂れる泉さん。ここまで、態度に出ること珍しいけど、どう言うこと? 画面収録?? 目覚ましで使おう???


「枕抱いて悶絶してて、オデコとか、ホッペタとか、鎖骨とかにキスして跡を」

「ストップ、ストップ!! もう、お腹いっぱいです。ごちそうさまでした! 」


 泉さんが顔を赤くするのは分かるよ! そんな、恥ずかしい事をしてたんかいっ!!って……でも、そんなん聞かされた、アタシも赤くなるでしょーが!

 ん? って、ことは……


「アハハ……泉さん。その頃から、アタシのこと、ガチで好きだったの? 」

「しょ、小学三年生の頃から……ずっと……好き」

「はっ? だるっ……好き!!! なにそれ、ぜんぜん言ってくれなかったじゃん!! なんで、そんな前から」

「だって。八乙女さん覚えてないでしょ」

「な、なにを? 」


 泉さんは自分の形の良い鼻に、人差し指をそっと当て、アタシの耳元に顔を近付かせた。


「内緒」


 ここで、いつもの凛としたイケボは反則だって……

 脳が痺れるような甘い囁き。それだけじゃなく、泉さんはその指を私の唇の端へと滑らせて、そっと押し当ててきた。指先が少し熱く、泉さんの潤んだ瞳が暴力的な色気を感じる。


「早く治りますように」


 狙ってやってるよね? 無自覚天然タラシじゃないよね?? 


「唇。痛いから、やめて」 めちゃくちゃトキメイたのが、なんか悔しいから、冷静に言ってやった……言えてたよね?



 元は泉さんのせいじゃん!! 昨日の泉さんとずいぶん違う。今日のが、本当の泉さん……昨日の泉さんも、今日の泉さんも、同じ泉さんか。全部ひっくるめて泉さん……ダメだ。ゲシュタルト崩壊する。








 球技大会……クラス対抗と、言う事は……


「ウチらのクラスは全競技、優勝のみを成功とする!! とくに! ウチのいるドッジボールは絶対の絶対だ!! 」


 体育館裏の入り口で円陣を組む、ドッジボールになってしまった、可哀想なメンツ……ハチマキをキツク結び直す優梨の瞳には炎が宿っていた。

 ですよね〜。負けず嫌いの優梨だもんね……アタシも負けず嫌いではあるけど、優梨ほどじゃないしな。楽しきゃ良いじゃんね!


「相手は2年3組、先輩だけど遠慮せず当てて行こ!! 」

「ユーリン。強そう? 」


 なぜ、叶乃は11月なのに半袖短パンのジャージなんだ? 子どもは風の子と言うけど寒くないの?


「強いか分からないけど、生徒会長になったばかりの橘先輩と、美人で人気の一条先輩がいるクラスだよ」



 ぜってーーーーー勝つ!!




 まずは泉さんのバスケットの方が先か。応援しちゃお。


「優梨。アタシ、バスケ応援して来る」

「了解。しっかり勝てるよう応援、頼むわ」

「カノもバスケ応援、行く」

「黛はダメ! 」

「なんでさ? 」

「ウチと特訓をするから」


 明らかにジト目で面倒くさそうな顔をする叶乃。


「カノには必要ないよ。誰もカノには当てられない」


 なんか、能力系バトル漫画みたいな言い方してるんだけど……確かに、叶乃は面積小さいし、すばしっこいから当てるの難しそうだけど。


「じゃ、アタシ。行ってくるね」

「応援する時は、ギャラリーからな」

「分かった」



 タオルを首に掛けて体育館に入る。2階のギャラリーに移動すると、すでに大量の生徒で埋まっていた。


 なんで、こんなに人がいるの? 球技大会に参加してない三年生もいるじゃん!?


 凄いザワザワしてるけど……なんか、嫌な予感がする。


 何処からか「あっ。ほら、来たよ! 」って、声が上がると同時に、一気にザワツキ始めた。

 みんなが視線を向ける方に目をやれば……ハイ。知ってました。


「めっちゃイケメン!! 」

「ヤバっ…ビジュ、エグっ」

「背、高っ。ほっそ! モデルかよ」

「あれで、頭も良いんでしょ? 最高すぎん?? 」



 容姿端麗、才色兼備、国宝級のビジュアル、存在がファンタジー……泉さんへの褒め言葉が、あちこちから、出るわ出るわの大放出。


 しかも、隣のグループでは『泉しか勝たん』書いてある、お揃いのTシャツ着てるし。

 なんなんこれ? 一条先輩が言ってたけど、アタシ派もいるんじゃないの? 八乙女派の人たちは、どこ行ったん??


「せーの」

『『泉さーん! こっち向いてー!』』


 うぉっ 黄色い声援が体育館に響き渡る……アイドルのライブ会場になったのかな?


「ちょ! こっち、見てるって! 」

「ヤバいヤバい! 手振る? 振ってみる?? 」


 隣の泉さんファンクラブがギャーギャー言ってらっしゃるので、誰にも見つからないよう、超控えめに泉さんに手を振った。


「えー。こっち見て微笑んでない?? 」

「もっと、手を振ってみようよ! 」


 さっきより、少しは大きく手を振ってみた。


「ヤバい! さっきより、微笑んでくれてない?? 」

「マジ? 手、振ってくれないかな?? 」


 なんか、オモロ……口パクで泉さんに『手を振って』と、伝えてみる。

 何回か口パクすると、分かってくれたのか



「きゃーー 私たちに手を振ってくれてるじゃん!! 」

『いっずみー! 私たちの王子様ー!』



 ふふふ……アタシの王子様からの、お裾分けだぞ。

 アタシ、性格悪くて草


 泉さんに向かって拳を握り締めた

 泉さん Fight!!



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