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女子高の王子様は、アタシにだけ重すぎる   作者: ちーよー
八乙女める 遮二無二ガール
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35/46

第35話 文化祭 ③

 今日は放課後に泉さんとデート……のはずもなく、メイドと執事のコスプレ衣装を調べる為、バイト先、ファミレスの上にあるドンキに向かっている。


 アタシの『泉さんをメイドに推薦して、メイド姿を拝んじゃおう大作戦』は失敗に終わった。

 それとなく勧めても返ってくるのは『無理』の二文字だけ。結局、泉さんは調理係になった。

 

 

 「この暑さで9月中旬とかガチ? まだ、夏引きずりすぎてて草。無理すぎなんですけど」

 「八乙女さん、暑いのも寒いのも苦手だもんね」

 「ほんそれ。早くアーケードの中に入りたい」


 残暑ってレベルじゃないでしょ。夏、まだ優勝する気なん?


 そんな暑さの中でも、さほど汗をかかず、涼し気に隣を歩く泉さんをチラ見する。

 うーん。カッコかわちい……顔面国法に認定して欲しい。

 ってか、泉さんからもジャスミンの香りがする。

 アタシと同じ制汗剤にしたんだ。……エモ過ぎん??


 泉さんと一緒にいて気付いた事はたくさんあるけど、アタシと歩く時は歩幅をあわせてくれる。それに、いつもさり気なく泉さんが車道側を歩いてくれていた。

 気付いたのは最近だけど、『お姫様』扱いされているようで、気分が良い。でも、そこまでしてくれなくても良いのに。って、思ってしまう。

 

 さて、泉さんのプライドと言うか、好意を無駄にせずに、どう伝えようか、悩ましい日々が続く。


 アーケードに入ると日差しがなくなった分、涼しくはなったものの、今度は人の多さにイライラしてしまう。こんな、簡単にイライラするのも暑さのせいだね。

 いや、すれ違う他校の女の子たちが、泉さんを見てるのが、なんとなく嫌なんだ……前は、こんなこと思わなかったのに。



「八乙女さん。今日は調べる為で、買う必要はないのよね? 」

「ないよ。調べて、同じの通販で買ったほうが良いし」

「でも、実際に当日着る人が選んだほうが良かったんじゃ」

「あーね。それ優梨にも言ったんだけど。アタシのセンスに任せた。言われたからね」



 ド◯キに入った瞬間ナンパされたけど、秒で処理し、コスプレコーナーへと向かった。パーティグッズやバラエティ雑貨と一緒に置いてあるので、すぐに分かるのは助かる。



 「八乙女さんって、コスプレしたことある? 」

 「あるよ。ハロウィンの時とか、誰かの誕生日会の時とか」

 「そうなんだ。何したの? 」

 「なんだっけ? ナースもあるし、もちろんメイドもあるし……あっ、チャイナもやったな」

 「……そうなんだ。なら、執事とかも良かったかもだね」

 「あーね、執事のアタシか、どうなんだろ? でも、コスプレ楽しいよね。普段とは違うアタシになれて」


 どれもこれも似たり寄ったりで、色以外はデザインも金額的にも大差なさそう


 「ね、泉さん。専門店に行って買うほどじゃないよね? 」

 「文化祭で使うだけだし、金額的にも、こっちで良いとは思うけれど、私は詳しくないから」

 「ちゃんと、コスプレしたいなら専門店にするけど……なんか、安っぽいんだよな」

 

 でも、みんなで同じの着るなら、こっちの方が良いか……まとめて購入もしやすいし。


 「じゃ、こっちのメイドと、執事にしよう。あとでオンラインで買っておく」


 予備入れてメイド5人と執事が4人……9人分買えば良いんだよね



「あれ? めるちょじゃん。夏休みぶり! ってか、何してんの? 」


 ん? 不意に呼ばれ振り向くと、中学時代の友達が立っていた……友達の視線の先は、アタシじゃなく、明らかに泉さんだった。


「文化祭のコスプレ衣装を見に来たんだけど……泉さんは、久しぶりかな? 」

「えっと……たぶん」


 泉さん、絶対名前覚えてないな…………なんか気まず。


「泉さんも久しぶりだね。中二の時だけクラス一緒だったけど……待って、泉さんマジでビジュ爆発してない!? 」

「そんなことないけれど」


 うーん。顔色一つ変えない、クールビューティーめ。


「いや、増し増しになってるよ! ってか。めるちょ、こういうキーホルダー好きだったっけ? 」

「あぁ この馬と猫のやつ? 」


 中学の頃からバッグに、ぬいぐるみは付けてたけど、キーホルダー付けるのは初めてかも。


「かわちいよね。アタシのここ最近で、一番のお気に。ね」  


『ね』で、泉さんに顔を向けるも、目を合わす事が出来ない。ここ最近、チラ見とか盗み見が多い気がする……気じゃなくて事実か。

 お喋りしてる時でさえ、まともに目線が合う事は少なくなった。


「そうなんだ。本当に、泉さんと仲良いんだ」

「あ〜、もう。そう言うの良いから」

「だって、中学の頃は接点なかったじゃん」



 夏休み。一緒に遊んだ時も、自撮りしたのを泉さんに送りまくってたけど、『泉さんに送ってる』言っても、友達みんな。ピンと来てなかったしな。

 ちょっと、このチャンスを頂いちゃお!


「JKなってからの、マブなんだよねー」


 と、言いつつ。泉さんの腕に絡めて、ベッタリ腕組みなんかしちゃったりして……ごめんなさい。アタシの方が、一気にドキドキして耐えられんかも。



「え、待って、距離感バグってね?ww で、めるちょのクラス何やるの? 」

「メイド執事カフェ。で、今は、その時のコスプレを探してた」

「ガチ? 泉さんも執事やる?? 私も行くから楽しみ何だけど」

「あっ。えっと、私は調理だけかな」


 分かりやすいくらいに残念がってるじゃん……みんな泉さんの執事姿って見たいんだ。

 絶対、メイドさんの方が可愛いのに。


「マジかぁ。残念……って、私も待ち合わせしてるんだ。もう行くわ」

「さっさと行け」

「って、いつまで腕組みしてんだよ。顔面偏差値、高すぎのパワーカップルかよ! 」

「さっさささと、いけ!! 」


 めちゃくちゃ噛んだじゃん! パワーカップル!?……カップル?……アタシと泉さんがカップル!! そう見えちゃうかな。女子校の制服だけど、そう見えちゃって欲しいんだが。


「もっちんに言っといてよ。チケット6枚だからね。って」

「言っとくよ。その6枚の内の2枚は、アタシだからな、感謝してよ」

「してるよ! みんなでメイド執事カフェ、遊びに行くから。バイバイ」


 6枚……って、ことは6人で来るってことだよね? 誰が来るか聞けばよかった。


「八乙女さん?……」

「なに? どうしたの?? 」

「腕、どうすれば良いかな。って」

「腕?……ごめん! 」


 慌てて、泉さんから距離を取る。ずっと腕組みしたままだった……暑苦しかったよね? 

 って、ホントは友達との話より、腕組みに意識をフォーカスしちゃってたけど……気付かれてしまったか。


 腕組みくらい減るもんじゃないし、もう少しさせてくれたって良いじゃん!!

 泉さん。力が弱いわけじゃないけど、二の腕も細い。骨格がそういう作りなのかな?

 アタシも太くはないけど……二の腕すっきりマッサージもお風呂上がりにしてるのに、少しぷにぷにしてるのがコンプレックスなんだよなぁ。


「泉さんって、二の腕も良い感じに細いよね」

「私は……八乙女さんの二の腕。柔らかくて……好……良いと思うけれど」 

「アハハ……。なんか、女の子の二の腕と胸の柔らかさって、同じって言う……」


 あれ? これはある意味失礼な事をアタシは言ってるんじゃ……


 「そう……なんだ」

 「もちろん! 都市伝説だよ都市伝説!! 実際は関係ないじゃんね」


 泉さんのテンション下がってる? もしかしたら細いのを、胸の事を……気にしてるのかな??


 「そう……なんだ」

 「そうそう。細いほうがモデルみたいだし良いって」


 これフォローになってる? 泉さんのビジュやスタイルが今と同じじゃなかったら、アタシは泉さんを好きになったのかな?


「細くても、そうじゃなくても、八乙女さんの二の腕は魅力的だよ」

「そう……なんだ」

「私と同じこと言ってる」


 クスッと静かに笑う泉さんが好きだ……


「でも、ごめんなさい。二の腕だけじゃないよ、八乙女さんが、魅力的なのは」


 へぇ〜、ふ~ん。そう……なんた。なんか、すごい恥ずっ! 顔が熱くなってくる……エアコン効いてようが、残暑のせいだね。


 泉さんのビジュやスタイルが今と同じじゃなくても……


 

 ぜったい好きになったな。この、天然タラシめ!

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