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女子高の王子様は、アタシにだけ重すぎる   作者: ちーよー
八乙女 める 近付きたい距離
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11/53

第11話 ピアノやってなかったっけ


 アタシから言ったんだから、最後までやんないといけないのは分かる

 分かるけどさぁ…………赤く潤んだ瞳とか犯罪級にキレイなんですが!!

 これ、仲良くなりたいビーム出し続けてたら届くかな?


「じゃ、じゃあ。右目からやるから、下まぶたに触れるよ」


 泉さんの顔に触れてしまった……人差し指を添えただけなのに、全感覚が人差し指に集まってしまう。


 ほんの少し苦しそうに顔を歪ませて、小さく口が開いていく、泉さんの色気エグっ!!

 まつ毛長いし、ノーメイクなのに透明感ある肌。さすがクール系イケメン女子。


 マスカラ塗って、ピンセットで、まつ毛に束感出したい!

 そしたら、目力が今以上に出て、顔面強すぎ問題発生しちゃうわ


「八乙女さん? 」

「ご、ごめ。この態勢も疲れちゃうよね」


 あっぶな。時が止まってた。

 下を向くとアタシの髪も泉さんの顔に掛かりそうで、邪魔だから、耳に掛けた。


 下まぶたを軽く下げて、まつげや目の表面に付かないように、容器を近付けた。



「ねぇ。これ、撮りたい! 動画撮って良い? 」


 気付けば周りから視線が集まっていた。

 遠巻きにギャラリーが出来ていて、集中が出来ない。


『アタシもアタシも』って、次々に声があがるけど


「ちょっと、勘弁してほしいなぁ。皆の瞳に焼き付けて、アタシたちの一瞬の。輝きを」


 謎にドラマチックに言ってしまったけど、泉さんが嫌かもだし、何よりこの状況を独り占めしたい!

 アタシだって、焼き付けるんだから!!

 

 あぁ でも、やっぱ客観的に見たいかも。後でいつでも見返せるように……いや、ダメだ。ここは、しっかりと任務を遂行しなければ



 凄い視線が絡み合うから照れる。でも、泉さんの目を見ないと出来ないし。


「泉さん。行くよ、天井見てて。入れちゃうね」

「フフッ」


 なぜ、叶乃は笑ってるんだ


「フフッ、フフフフッ、ブフォ。フフフフッ」


 途中で豚鼻になるほど笑ってるじゃん。何が、そんなに面白いのよ?


「叶乃? 」

「昨日、読んだBLの主人公も同じこと言ってた」


 はぁ〜? TPO考えて。別にその趣味嗜好は否定しないけど、言うのは今じゃない!

 思ったとしても『何でもない』とかで隠してよ。

 クラスメイトも笑っちゃってるじゃん!


「バカ。少し黙ってて」


 気を取り直して、目薬をさしてあげた。


「少し鼻の上、つまむから目を閉じてて」


 鼻筋のラインが美し過ぎて芸術作品! 

 

 「ハイ、目開けて良いよ。パチパチして」


 叶乃が『目に焼き付けさせてもらったよ』と、言いながら拍手を始めた。

 他のクラスメイトも拍手してるけど、その、パチパチじゃねーし、謎に一体感あるクラスになってしまった。


 泉さんは泉さんで目をパチパチしてるけど可愛い。いつもは見られない角度だし、瞳が綺麗だし、得した気分だ。


「じゃ、次は左目やるね」


 左目の下瞼を下げて……叶乃のせいで『行くよ』とか、言いづらくなっちゃったじゃん!


「い、泉さん。もう一回」


 なんて言えば良いんだろ? 逆に難しくなっちゃう


「だ、出すよ」


 ヤバっ! ワードチョイスミスったかも!!

 さっきより、叶乃の笑い方が下品になって、机叩いてるし


「そ、それも言ってた!! くるしー」


 誰か助けて欲しい。アタシからしたら、泉さんに目薬をしてあげるのは神聖な行為だったのに。

 こんなロリに汚されてしまうとは……


 「はい、目パチパチして良いよ」


 素直にパチパチする泉さんは可愛いなぁ。

 どさくさ紛れに髪の毛を整えて上げたけど、どの角度で見てもカッコ可愛い。


 ってか、叶乃のせいで『班から抜ける』言われたらどうすんのよ!



「どう? まつ毛、大丈夫そ? 」

「大丈夫。ありがとう」

「こっちこそ。叶乃が変な事言って、ゴメンね」

「あぁ……」


 なんか怒ってない? 大丈夫??

 

 「なにが、そんなに面白いのかな。って」


 真顔で目をパチクリさせたあと、真っ直ぐにアタシたちを見据えた、イケメン泉さんの瞳はキラッキラしていた。


「イズミン。そんな無垢な瞳で言われると、こっちが恥ずかしい」

「ほら。面白いのは叶乃だけだって、実際ハズいし」

「いつ、ふっか〜いキスするのかと思って観てたよ」

「は? 意味不過ぎ」

 

 クラスメイトも、さすがにざわついてるじゃん!

 誰かが『そんな見方もあったんだ』って、興奮気味に言ってるの聞こえてきたけど


 

「き、気分転換にもなるし目薬……使ってね」


 泉さんの目薬を手渡したけど、叶乃が変な事言うから意識して目が見れない


 「そうする………ありがと」


 ほら、泉さんも変な感じになっちゃったじゃん!!


 自分の席に戻るも、濃密なアイコンタクトした後に、あんな事言われると、普通に話すの恥ずかしくなる。

 さっきの物理的な距離の近さ。と、精神的な距離の近さ。って、どれくらい違うのかな? 

 もっと、アタシは泉さんに踏み込んでも良いの??

 そんな事を考えてしまう自分に、少しだけ戸惑った。


「ただいま。何、この雰囲気? 事後?? 」

「優梨……おかえり。もう良いって、それ」



 優梨は泉さんに『そのまま座ってて良いよ』と、伝えると、持ち帰ってきたプリントを机に置いた。


「課題曲決まったんだけどさ、金曜までにピアノ伴奏者と指揮者を決めることになって」


 決めることになって。と、言われても……課題曲が気になり、プリントを観た。

 『いのちの歌』……中学の時にも、どこかのクラスでやってたような


「立候補者がいれば良いけど、いなかったら、指揮者と伴奏者は推薦形式かな」


 アタシ歌下手だから、ピアノ出来ればピアノやりたいけどなぁ。


「泉さん、ピアノやってなかったっけ? 」

「……中学生の頃に辞めた」

「そっか」


 そうなんだ、残念。

 また、泉さんのピアノ観たかったなぁ




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