サークルとストレート
初日の大学の講義を終えた私…いや、私たち。
私とショウタロウは同じ学部学科という事で、その日は講義室を間違えないように互いに確認しながら、出席をした。
まぁ、へんな奴だが、助かったと言える。
灰色の和服にも見慣れてきた。
でもまだ怖くて、何故に和服?とは聞けないでいる。
「サークルは入るのか?」
「うーん」
本当はテニスサークルに入ろうと思っていた私。でも、そんなキラキラキャンパスライフからは遠ざかろうとしていた。
「ショウタロウくんは、何か入るの?」
「そうだな。お前が入るサークルに入ってやろう」
「はっ!?気持ち悪っ!」
「…ひとりで入る勇気がなくてな」
そんな、急に弱いところ見せられたら、ちょっと協力したくなっちゃうじゃん、私の母性!
「その和服に似合うサークルとかどう?そうすれば、和服キャラ確立出来るかもよ?」
「ならば、ナナ。お前が決めろ」
「何故に!ねぇ!何故に上から目線なの?」
とはいえ、サークルに入らない大学生活は3割ぐらいつまらなくなりそう。
知り合いがいるだけでもまぁ、心強いのは私も同じだ。
別にスポーツガチ勢でも無いし、何をやろうかな…和服が似合いそうなサークルか。
「弓道とか、剣道とか?」
「面白いのか、それ?」
「やってみなきゃ分からないじゃん!」
…と言いつつ、面白くなさそうだと思う私。
全国の該当サークルの皆さん!ごめんなさい!
「あ!カルタとかどう?」
「カルタは遊びではない。漫画で読んだ」
「私も!」
あれはすずちゃんがガチでやる競技のイメージが強い。というか、知り合いとの共通項を見つけるって、ちょっと嬉しいかも!
「書道とか茶道とか?」
「極めるのは、我が道だけだ」
「はぁ。ダルい」
「もっとアイデアを絞れ」
「和服が似合うサークルねぇ…」
うーん。
逆転の発想的に、私は思いついた。
「よし!サークル棟に行こう!」
私は今朝、勧誘で渡されていたチラシを思い出したのだ。
こうしてたどり着いたのが…
コスプレサークル。
サークル室前の扉に立つ私たち。
「こ、コスプレだと!?」
ショウタロウは驚いていた。
「え?ダメ?意外と私も興味あったりするんだけど」
「しかしなんというか、恥ずかしさが勝つな」
「和服でキャンパス練り歩いてるのに?」
「それとこれとでは」
「まぁショウタロウくん、顔は悪くないし、コスプレサークル故に和服着てるってなれば、みんな納得すると思って」
ショウタロウの顔は曇ったままである。
「もしかしたら、露出度高めの可愛い女の子がエチエチな格好してるかもよ?」
「よし、行くぞ」彼の眉が吊り上がった。
意を決して、私たちは扉を開く。
私は預言者か!と思った。
なんと!
扉の先には、エチエチな露出度高めの格好をした女の子がコスプレをしているのだ。
間違いなく我々のような馬鹿を釣るためである。
「あー!ごめん!定員埋まっちゃった!」
砕かれる私たちの夢。
その場を去る。
「諦めろナナ。水泳部に入るぞ」
何故に水泳部!?
…あっ!露出度が高いからだ!
「ファ◯ク!最低!ショウタロウさんのエッチ!」
ショウタロウへの右ストレートが炸裂。
その腕を認められた私はその日、ボクシングサークルにスカウトされた。




