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今宵月 月花大戦  作者: アル治
崩れる盤面

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55/55

第55話  決着

いつも読んでいただきありがとうございます。

決勝戦


睦月「まだ何かあるのか?」


向日葵 「うーん……今より弱くなる♪」


睦月「は?」


向日葵 「本当は太陽の方が強いんだけどね。」


「今回は熱が邪魔だから。」


「だから、陽歌♪」


睦月「陽歌?」


向日葵 「うん!」


「本来は太陽がない時に使うんだけどね。」


秋桜 「弱くなるみたいよ~?」


金木犀 「いえ、気を付けてください。」


「ここで弱くなる選択をする訳がありません!」


秋桜 「そうだよね~。」


「油断しないよ~。」


向日葵が太陽から陽歌へ切り替える。


すると、向日葵の身体から熱が消えた。


睦月 「熱がなくなっただけ?」


向日葵 「色々違うよ♪」


「力も徐々に上がらないし、熱もないし。」


「弱いかな♪」


睦月 「……弱くなってどうする?」


向日葵 「睦月のバフ、もう少し受けられるよ。」


「陽歌は一定だからね。」


太陽の光。


そして熱。


その熱が生み出す風。


木々のざわめき。


葉が擦れ合う音。


自然が奏でる音色。


それら全てが向日葵の力となる。


離れていても。


姿が見えなくても。


音が届く限り、その力は消えない。


向日葵 「うん。」


「いける。」


「もう少し掛けても大丈夫かも。」


睦月 「様子を見てな。」


秋桜 「準備できた~?」


秋桜達は静かに待っていた。


睦月 「悪いな、待たせた。」


秋桜 「いいよ~。」


金木犀 「やるからには完全に倒します。」


そして再び、4人は激突する。


睦月と向日葵が秋桜へ向かって駆け出す。


その後ろでは、金木犀が大剣を一本ずつ構え、静かに待機していた。


睦月 「向日葵、気を付けろよ。」


向日葵 「判ってる!」


「行くよー!」


向日葵の拳が秋桜を襲う。


しかし、水壁に阻まれる。


その瞬間、睦月の日本刀も続く。


こちらも止められる。


だが、2人の攻撃は途切れない。


次から次へと攻撃が続く


秋桜 「そろそろ行くよ~。」


後方から金木犀が飛び出す。


向日葵は避ける行動を取るが、


跳躍した金木犀は空中に現れた水壁を足場に軌道を変える。


避けたはずの大剣が再び迫る。


だが、


キィン!


睦月の日本刀が割って入った。


睦月 「防御に足場か……。」


「本当に厄介だ。」


向日葵 「まだまだぁー!」


走り出そうとした瞬間、


足元に現れた水壁に引っ掛かる。


睦月が倒れる直前抱き止める。


睦月 「気を付けろ。」


向日葵 「……うん。」


「ごめん。」


金木犀 「イチャつくなら降参しなさい!」


2人は慌てて離れる。


秋桜 「真面目にやってね~?」


睦月 「お、おう!」


今度は金木犀が攻める。


2本の大剣で、睦月と向日葵を同時に相手取る。


2人相手なら金木犀が不利だと思われたが、徐々に2人の動きが鈍くなる。


豪雨で地面はぬかるみ、最悪の足場となっていた。


対して秋桜は、水壁と大剣の重量操作のみ。

金木犀は水壁での移動の為足が取られることがない。

秋桜も金木犀も消耗は少ない。


明らかに秋桜達が優勢だった。


距離を取ることも出来ない。


金木犀 「次に備えて降参しなさい。」


だが、


睦月と向日葵から返事はない。


決勝戦で、


その言葉だけは使いたくなかった。


睦月は自分に限界までバフを掛け、向日葵を抱えて何とか距離を取る。


意識が飛びそうになる。


向日葵 「私にも。」


睦月 「耐えられるのか……?」


向日葵 「今は陽歌中だから。」


「前よりは大丈夫!」


「睦月……勝ちたい!」


睦月 「わかったよ。」


「高くつくからな!」


向日葵 「うん!」


限界のバフ。


向日葵の表情が変わる。


意識は失っていない。


本当にギリギリだった。


向日葵 「行くよ!」


睦月 「おう!」


「負ける訳がねぇ!」


金木犀 「言ってくれますね……。」


「こちらこそ負ける訳にはいかないんです!」


2人は一直線に秋桜へ向かう。


この試合の鍵。


それは秋桜。


向日葵の拳が秋桜の顔を狙う。


1枚目の水壁。


2枚目。


3枚目。


そして――


砕けた。


秋桜 「ッ!」


とっさに重力で向日葵を秋桜から引き離す。


しかし、


向日葵の拳が秋桜を捉えた。


頬がわずかに裂け、血が頬を伝う。


金木犀 「秋桜様ー!」


悲鳴に近い声。


そして、


「貴様ーー!」


金木犀が怒りに染まる。


舞うような剣はない。


純粋な殺意。


秋桜 「金木犀~!」


しかし声は届かない。


怒りに任せた剣。


それは逆に軌道を読みやすくしていた。


向日葵には当たらない。


秋桜も援護に徹する。


重力を掛ける。


しかしバフの影響か、2人の動きはそこまで鈍くならない。


睦月と向日葵の間に言葉はない。


視線だけ。


2人は完全に呼吸を合わせていた。


金木犀へ向かうと見せかけ、秋桜へ。


だが金木犀が立ちはだかる。


睦月の日本刀。


金木犀の大剣。


そこへ向日葵の拳が叩き込まれる。


大剣が大きく湾曲する。


金木犀 「っ……!」


残る1本で睦月を斬る。


だが、それも止められる。


金木犀 「これも止めますか。」


睦月が冷たく見据える。


もう1本の日本刀を振るおうとした瞬間。


体が止まる。


秋桜の重力ではない。


甘い香り。


金木犀の能力。


金木犀 「バフ中で気付かなかったでしょ?」


「私の能力。」


睦月は何かと葛藤していた。


向日葵も同じ。


過去と戦っていた。


睦月 「女性は……殺さない……。」


向日葵 「……師匠。」


「私を置いてかないで……。」


その瞬間。


月狼と宵うさぎが割って入る。


月狼 「それまで。」


宵うさぎ 「うん~」


精神不安定。


試合続行不能。


これにより、


優勝者。


秋桜、金木犀。


会場は歓声に包まれる。


だが。


神と女神だけは、冷たく笑っていた。


そして、


月狼と宵うさぎは早々に神の祝福を授けると、


静かに神達を見つめる。


その視線は、


まるで睨み付けるかのようだった。

今後もよろしくお願いいたします。

次から新章になります。

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