第1話 月が選ぶ刻
新作よろしくお願い致します。
今回、私の中で内容が複雑なので、投稿までに少し時間いただきます。
毎日の投稿は出来なくなります。
ご了承下さい。
昼、太陽が1番高い
空は澄み渡り、陽光が氷の大地を照らしている。
――それでも。
そこに、月はあった。
薄く、しかし確かに。
昼の空に浮かぶ月の下で――
人がぶつかり合っていた。
氷の地面を蹴る音が響く。
向日葵が一気に距離を詰めた。
瞬間、如月の前に氷の壁が立ち上がる。
だが――
「おりゃあああッ!」
拳が叩き込まれ、氷が砕け散った。
破片が光を反射し、きらめく。
「……マジかよ」
如月は呟き、拳と足先に氷を纏う。
冷気が空気を歪める。
向日葵は笑った。
太陽を背にして。
「いいね」
「殴り合いだ」
楽しそうに、拳を構える。
「いくよ!」
2人が再びぶつかろうとした、その時――
観客席がざわめいた。
これが、
50年に1度行われる戦い。
月花大戦。
「ようこそ、お集まりの皆様」
低く、よく通る声が響く。
視線の先。
そこには、1匹の狼と――
大きな徳利を抱えたうさぎが立っていた。
「始まるよー」
軽い調子で言ううさぎに、
狼がため息をつく。
「……おい、ちゃんとしろ」
「はい、すいませーん」
そのやり取りだけで、上下関係は明らかだった。
狼は改めて、会場を見渡す。
「これから皆様には、ペアを決めてもらう」
「その後、激励会だ。仲を深めておけ」
静かな声だが、逆らえない圧がある。
「では――」
狼が1歩下がる。
「今回の月花大戦を納める神のお越しだ」
その瞬間。
会場の中心が、光に包まれた。
空気が変わる。
誰も動けない。
光の中から、2つの影が現れる。
かつて、この戦いを勝ち抜いた者たち。
神無月。
そして、彼岸花。
神無月が静かに手を上げる。
「我の元まで来たれ」
彼岸花が、楽しそうに微笑む。
「フフ……ここまで来れるかしら?」
その瞬間。
神無月が空へ手をかざした。
昼の空に浮かぶ月が、わずかに歪む。
空間に文字が刻まれていく。
睦月 & 向日葵
如月 & 梅
弥生 & 鈴蘭
卯月 & 菖蒲
皐月 & 彼岸花
水無月 & 蓮
文月 & 秋桜
葉月 & ネモフィラ
長月 & 牡丹
神無月 & 薔薇
霜月 & 撫子
師走 & 紫陽花
ざわめきが広がる。
「選ばれなかった花達は――」
彼岸花が冷たく笑った。
「敗者復活戦に賭けるがいいわ」
神無月が続ける。
「神になるか」
「神の奇跡か」
「金か」
「好きにするがいい」
再び、空気が張り詰める。
狼が前に出た。
「私の仕事だな」
1歩、踏み出す。
「私、月狼と」
「宵うさぎが審判を務めるよー」
軽い声が響く。
「ルールは簡単だ」
月狼が言う。
「相手を殺してはいけない」
「ギブアップ制、もしくはレフリーストップ」
「それだけだ」
宵うさぎが笑う。
「簡単でしょー?」
月狼は続ける。
「今宵は楽しめ」
「明後日、第1試合を行う」
「明日、対戦カードを発表する」
「それまで、各々――好きに準備しろ」
一瞬の静寂。
そして。
「では、激励会を楽しめ」
その日。
すでに戦いは始まっていた。
空には、月。
地上には、太陽。
相反する力が、交わる。
今宵、月は選ぶ。
神となるか――
それとも、神を終わらせるか。
1話読んでいただきありがとうございました。
長い目でお付き合いよろしくお願い致します。




