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なんちゃってシンデレラの同窓会〜いじめられっ子は同窓会でザマァ致します  作者: たかなしコとり


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3/8

「やだぁ。本当に連れてきたんだ。」

クスクス笑う声。

「かわいそうー。」

「めちゃ店員て感じ。」


茶色のTシャツにデニム、カフェエプロン。

仕方ない。今まで働いていたのだ。


「まぁいいじゃない。貧乏人だって人の役に立てるでしょ。」

「いい事言う〜。」


顔だけでは分からない。

胸に名札をつけているので、それを見てやっと「ああ、あの子か」と分かる程度である。


まあ座れ、と椅子に座らされる。

華やかなパーティ会場で、身の置所がない。


「でもさ、佐藤。お前ホントに綺麗になったなぁ。」

連れて来たうちの一人がそう言った。

ワイシャツの胸に、池野とある。思い出した。学校の机に、でっかくウ○コの絵を書いた奴だ。今なら子供じみたイタズラだと笑えるけど、当時は結構堪えた。油性ペンはなかなか消えなかった。


「あんなしょぼい店で働くより、ホステスとかさ、儲かるんじゃねぇ?」

胸に吉田とある。こっちは本当に思い出せないけど、どうせ池野のツレだろう。

「え、俺のカノジョにしてやってもいいぜ〜。」

誰だか分からない、ゲラゲラ笑う声。


いいえ、結構です。


翔子は辺りを見回す。

ここは何という場所だろう。ホテル?イベント用の貸しスペースかな。


「やめときなよ、ビンボーが伝染るって。」

女の声が割り込む。

誰かが翔子に飲み物を持ってきたのを、手で追い払う。

「会費払ってないんでしょ。持って来なくていいよ。」

「そーそー。飲む権利なーし。」


わっと笑い声が起こった。

「いや、無理に来てもらったんだし。」

池野はさすがにちょっと気を使う振りをする。

「だったら今からでも、会費払ってもらえばいいじゃん。」


でも、財布もスマホもない。

帰る時、どうしたらいいんだろう。


「ほーらね。」

胸に松野と名前がある。化粧が濃くて、全然面影がないが、六年生の時の女ボスだった子だろう。

当時、結構可愛くて男子連中にちやほやされていた。

自分からは何もしないが、周りに命じて靴を隠したり、教科書に落書きさせたりしていた。


「どうせ会費が惜しくて、欠席にしてたんでしょ。」

当時から腰巾着だった菅谷。今でも腰巾着らしい。

「ちょっとちょっと。やめときなよ。」

横から男子が割り込んだ。


「俺、前に言わなかったっけ。佐藤さん、バイトしてるけど、実は・・って。」

あー。見た事あるな。前田君か。壮ちゃんの空手部の後輩だった。

一度、バイト先に来て、青ざめて帰ったっけ。


「あ~。なんか経済界のドンの愛人になったとかなんとか。」

松野は鼻で笑った。

「えっ」

前田は、自分が吹いた話の思わぬ変化に、言葉に詰まる。


「いや、そうじゃなくて。」

「バッカじゃないの。そんなのが未だにこんな格好でいる訳がないでしょ。」

「そーそー。どう見ても、ファミレスのバイトじゃん。」


「いや、そうなんだけど。」

前田は、松野を見て、菅谷を見て、それから無表情で座っている翔子を見た。

「俺は、忠告したからな。」

逃げた。

「何、あいつ。」

松野はせせら笑う。


「まあでも、こんなに美人になってたら、あながち嘘ってわけでもないかもな。」

男たちは、翔子の周りから離れない。後ろの方でも、

「佐藤、めっちゃ美人になってる。」

という声とともに、人が入れ替わり立ち替わりぐるぐる移動している。


松野は舌打ちした。

「ま、ちょっとぐらい綺麗になってても、ビンボーじゃね。どうせ高卒でしょ。」

「そういえば、高校だって行けるかどうか、怪しかったもんね。」


それは事実だ。

マスターが

「奨学金使ってでも、せめて高校は出ておきなさい。」

と言ってくれなければ、諦めていたと思う。


ちなみに母は、

「えっ、高校って自動的に行けるんじゃないの?」

と驚いていた。小学校から大学までエスカレーターであったらしい。


「大学出てないと、就職難しいよねぇ。」

「そーそー。私でさえ、二十社ぐらい受けたもん。」

そうなんだ。

就職活動らしきものをしなかった翔子は、入社試験もした事がないし、当然落ちた事もない。


「でもさ、丸越デパートのBAさんなんでしょ。いいなぁ。やっぱり美人だからじゃない?」

「ええ?そうかなぁ。」

謙遜しながらも嬉しそうに松野が応じる。


「ま、売り上げは私が一番だから、そこはちょっと自慢?」

翔子は思わず顔を上げて、松野を見た。

「丸越デパート?」

松野は嫌そうに、翔子を見下ろした。

「なによ。あんたなんかに売るものなんてないわよ。」


「ああ、そうなんだ。」

翔子はつぶやく。

「佐藤さん!」

聞き覚えのある声がした。


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