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アークロック  作者: 加鳥このえ
第二章 激突! 修行編!!
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番外編 しょっぱいおにぎり

 これは、桃木島を出る前、アークロックメンバーが挨拶に回っていた時のお話。


 一人隠されていた陽向灯里(ひなたあかり)の、挫折の話である。


 ■□■□■ 


 突然ですが自己紹介を!


 私の名前は陽向灯里(ひなたあかり)。アークロックの一員です。


 そんな私は今……寺で黄昏(たそがれ)ていました。


 寺院の縁側に座り、流れていく雲を見つめる。


 お、あれは槍の雲だ……とか、お、あれは剣の雲だ……とか思いながら。


 そこへ、師匠である霊奈(れいな)さんがやって来た。


 彼女は私の横に座り、こんなことを()いてくる。


「何かあったか?」


 私は静かに下を向いて、こう呟いた。


「なんでもないです」


「そうか……」


 霊奈さんに気を使わせちゃったかな、などと思いながら、私は彼女の顔をチラッと一瞥(いちべつ)した。


 私は動揺する。


 霊奈さんの表情は過去に一度も見せたことがないほど、申し訳なさにまみれていたからだ。


 私が甘えて黙っていると、霊奈さんはこう続ける。


「悪かったな、陽向」


「……?」


「お前のアークを育てられなくて」


「……!!」


 私は痛いところを突かれたと、一瞬だけど顔を歪ませてしまった。


 そんな私を見てしまったのか、霊奈さんはこう続ける。


「これは全て私の責任だ。だから……連絡先を交換してくれないか? 陽向さえ良ければ、まだ修行を続けさせてくれ」


「霊奈さん……」


 霊奈さんは、ばつが悪そうにこう続ける。


「私の指導力不足だ。陽向は何も悪くない」


「……」


 私はその言葉を聞いて、静かに頷く。そして、パッと表情を笑顔にして、スマホを見せた。


 連絡先の交換である。


 そこへ、姉弟子である信乃(しんの)さんが沢山のおにぎりを持ってくる。


「陽向、私からの餞別(せんべつ)です」


「信乃さん……」


 私はその厚い思いに心を預け、そっとおにぎりを受け取る。


 ゆらゆら流れるのは、普遍的な、形容できない形の雲。


 言いたかったことも、辛いことも、全部を頬張って、ハムリと口に入れたおにぎりと共に飲み込む。


 いつもと同じはずなのに、今日は不思議と塩味が強い。


 ベタだけど私は……モヤモヤした心を残したまま、この島を去る準備を続ける。


 霊奈さんは、こう言った。


「美味いか?」


 私は静かにこう言った。


「ちょっと……しょっぱいです」


「……ああ、そうだな」

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