チェスターは、第1惑星に帰還する。
いま、俺は、仲間の貴族達の艦隊を率いて、帰路に付いているところだ。
戦わずして勝つ!
上手く行って良かったな!
戦いになっていたら、多数の戦死者が出る。
そうなったら、当然、沢山の未亡人や孤児が生まれるところだった。
そして、下手をすると、未亡人や孤児達から、総司令官の俺が恨まれる。
志願した軍人の家族なら、まだ少しは、ましかも知れない。
家族の心構えも違う。
しかし、貴族の私兵の場合、必ずしも志願兵とは限らない。
領主の命令で、強制的に徴兵される者も居ると聞く。
本当に戦わずして勝利出来て良かったな!
まあ、それはさておき、今後の事だ。
まず、第1惑星へ向かい、戦勝祝いのパーティーを開く。
俺の呼び掛けに応えてくれた、貴族達をもてなす為だ。
正直言って面倒だが、こう言う細かな心使いが後々に生きてくる。
前世で、サラリーマンをしていた時の経験だ。
それと、情報担当のミアとエラ。
俺が艦隊を率いているところを撮影していた。
カンペって言ったっけ?
カメラの後ろから出されたカンペを読み上げたら…“もっと、あ~やって下さい!とか、こう言う仕草で!”とか、演技指導されてしまった。
俺は俳優の経験なんて無いのに…
第1惑星の宇宙港へ降り立つ時の打ち合わせまでさせられた。
読み上げる原稿を渡され「暗記しておいて下さいね!」と言われてしまう。
到着前に、リハーサルをするらしい。
実に面倒である。
《マスター。ミアもエラも、マスターの評判を上げる為に一生懸命です。協力するべきと判断します!》
ああ、分かってるよ!ガブさん。
しかし、第1惑星に着いたら早くパーティーを開いて解散させないと、帝国軍に迷惑が掛かるな。
首都星から1ヵ月しか距離が離れていない。
そこに大艦隊が集結すれば、帝国軍が警戒するのも当然だ。
やはり、早めに本星の開発を行って、本拠地を移した方が良さそうだ。
★★★★★
第1惑星に到着してからは忙がしかった。
エラが書いた原稿を暗記して、宇宙港から俺の演説を領内へ生中継したのだ。
俺が地上へ降りて、屋敷へ向かう道中には、領民達が道路の両脇に立ち、総出でお出迎えしてくれた。
涙を流しながら…俺の事を、まるで、神の様に祈る者も多かった。
俺の事を心配してくれるのは嬉しいのだが、俺は神では無いのだが…
うちの領民達は、大丈夫だろうか?
心配になってしまう。
屋敷に着くと、ソフィアが泣きながら、俺に抱き付いてきた。
「チェスター様!無事で良かったです!」
俺は転移門を開いて、何時でも脱出する事が出来る。
ソフィアは、その事を知らないからな~
随分と心配を掛けた様だ。
しかし、いつの間に来ていたのだろうか?
でも、まあ、何はともあれ、俺の初陣が勝利で終わって良かったな!
敗戦の将だったら、ゲルハルトやアドルフから、馬鹿にされたに違いない。
あの2人だって、未だに初陣を済ませて無い癖に、自分の事を棚に挙げて、絶対に何か言ってくる。
彼奴らは、そう言う奴等だからな。
一滴の血も流さず勝利したし。
皆が祝ってくれて、俺も嬉しい。
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戦勝記念パーティーも、つつがなく終わり、派閥貴族達は自身の領地に帰って行った。
今回の騒動で、新たな仲間が加わった。
だが、今回の戦いに参加してくれた、俺の派閥貴族達は、このままではタダ働きだ。
新に領地を得る訳でも、爵位が上がる訳でもない。
燃料代や兵士達の食糧。
それ以外にも、様々な費用が掛かる。
今回、貴族達を召集したのは俺だ。
だから、俺から褒美を出さなければならない。
皇子と言う立場だしな!
そこで、俺の仲間達と相談した結果、資金提供を行う事にした。
まあ、俺の領地にある銀行から、振り込んだだけだが…
俺は途方も無いほどの金持ちだ。
預金額を見たが、桁が多くて数えるのを止めた程だ。
それに、ダンジョンコアを使って、いくらでも貴金属を産み出せる。
土星の物流センターや、首都星の宇宙港等から莫大な利益が上がってくるし…
ある程度は、お金を吐き出さないと、帝国全体の景気も良くならないしな!
それに、俺の要請に応じて参陣したのに、赤字だったとなると、今後は俺の呼び掛けに応じてくれる貴族が居なくなってしまう。
だからから、俺から“褒美”と言う形で渡した。
★★★★★
戦後処理も終わって、屋敷の部屋でだらけながらテレビを見ていると、俺のニュースが流れ始めた。
エラが張り切っていたから、テレビを見る事にしたのだ。
…素晴らしく、良く出来ていた。
まるで、ハリウッド映画を見ている様だ。
このまま、映画館で上映しても差し支え無いレベルだった。
良く出来ていたのだが…物凄~く恥ずかしい。
俺の横で仕事をしていたバイオレットが「帝国首都星はおろか、他の貴族領地でも放映を予定しております!」と言う。
恥ずかしいから、正直、止めて欲しい。
でも、エラ達が一生懸命に作ってくれたから、そうも言っていられない。
俺は無言で、テレビのスイッチを切った。




