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コルテン伯爵とガーランド伯爵は、ゲルハルト派から離脱する。

「ゲルハルト殿下!大変です!」


「どうした?エミール。そちがそんなに慌てるなんて、珍しいでは無いか?」


「大変なのです!コルテン伯爵とガーランド伯爵が、ゲルハルト殿下の派閥から離脱しました!」


「何だと!」


ガッチャーン!!


突然の出来事に、ゲルハルトがコーヒーカップを落とした。


「どう言う事だ?説明しろ!」


「はい。先ほど申し上げた通り、コルテン伯爵とガーランド伯爵が派閥を離脱しました」


「間違い無いのか?」


「はい。間違い御座いません!」


「それで、裏切り者2名は、何処へ行ったのだ?」


「はい。中立派の重鎮、ブラウン侯爵の元へ向かった様です」


「なんたる事だ!忌々しい…このままでは、私の面目丸潰れだ!何とかならぬのか?」


「只今、両伯爵家を殿下に紹介し、殿下の派閥入りさせたフォルクス侯爵が中心となり、対応を協議している所です。対応が決まり次第、殿下に報告に上がるものと…」



★★★★★



「殿下。お時間を作って頂き感謝致します」


「前置きは良い。それで、どう対処するのだ?フォルクス侯爵?」


「はい。ご存知の通り、コルテン伯爵とガーランド伯爵が一方的に派閥の離脱を宣言しました。これは到底、受け入れられるものではありません」


「彼が向かったのは、中立派重鎮のブラウン侯爵の所です。ご存知の通り、中立派は幾つかのグループの集合体。詳しく調査したところ、ブラウン侯爵率いるグループは、法衣貴族が多く、たいした軍事力を有しておりませんでした」


「そこで、我がフォルクス侯爵家と、我が家と付き合いのある、貴族家で連合軍を結成。ブラウン侯爵領近くに軍を展開し、圧力をかけます」


「もし、相手が戦争を仕掛けてきた場合は、討ち滅ぼし、詫びを入れてきた場合は、ゲルハルト派への鞍替えを和解の条件に致します」


「勝てるのか?」


「はい。先ほども申し上げた通り、領地を持たない法衣貴族が多く、まともに私兵を有しているのは、ブラウン侯爵家や、その寄子。それ以外には、ブラウン侯爵家と姻戚関係がある、僅かな貴族達だけです。心配いらぬかと…」


「エミール。そちは、どう思う?」


「フォルクス侯爵がお考えになった事に、私ごときが口を挟む様な事は御座いません…」


「…分かった。では、その様に致せ。分かっていると思うが、失敗したら私の立場が悪くなる。呉々も頼むぞ!」


「はっ!お任せ下さい」


こうして、ゲルハルト派の対応方針が決定した。


端的に言うと、軍事力をちらつかせ、相手を屈服させると言う方法である。



★★★★★



ここは、ハルベルトの執務室。


ハルベルトが仕事をしていると、慌てた様子で、エリーゼの父である、ボーデン公爵がやって来た。


「ハルベルト殿下!至急、お耳に入れたい事が…」


「これは、ボーデン公爵。そんなに慌てて、どうしたのだ?」


「はい。殿下。ゲルハルト派に動きがありました。コルテン伯爵とガーランド伯爵の2名が、ゲルハルト派からの離脱を宣言しました」


「確か…その両名は、私の派閥を抜け、ゲルハルト派入りをしたのでは無かったか?」


「はい。その通りです。より正確に言うなら、前当主がですが…」


「成る程…現当主は、ゲルハルトに不満を抱いていたと言う事か…それで、両名の動向は?」


「中立派重鎮のブラウン侯爵の元へ向かったそうです」


「まあ、今更私の元へは戻れない。行き先は中立派か、チェスターのところしか無いかからな」


「ゲルハルト派の動きは、どうなのだ?ゲルハルトは、このまま黙って見逃すタイプでは無いと思うのだが?」


「両伯爵家をゲルハルト殿下に紹介した、フォルクス侯爵が中心になって、ブラウン侯爵領付近に軍を展開。圧力を掛ける様です」


「そうか…」


「殿下。如何しますか?」


「…暫くは、様子を見る。このまま放置しても、私の派閥へは影響が無いからな」


「ああ、ボーデン公爵。ブラウン侯爵へ伝わる様に、情報を流してくれるか?」


「情報で御座いますか?どの様な情報を?」


「フォルクス侯爵が軍を率いて攻めてくるとな。もし、ブラウン侯爵が我らに助けを求めて来たら、その時は、助けるのも良いかも知れない。ブラウン侯爵率いる、中立派グループを丸ごと私の派閥に取り込める…」


「承知しました!」


ボーデン公爵は、ハルベルトの執務室を後にした。



★★★★★



俺が部屋の中で、だらけているとバイオレットがやって来た。


「チェスター様。以前からチェスター様の派閥入りを希望していた、コルテン伯爵とガーランド伯爵が、ゲルハルト派から離脱しました」


「ふ~ん。そうなんだ…」


どうやら、彼らは、俺の派閥の上位貴族との間に、強い繋がりを見付けられなかった様だ。


俺の派閥入りする場合は、派閥の上位貴族家からの推薦が必要だとルールを定めた。


もう、これ以上、ゲルハルトに付き合ってられないと、派閥を離脱したそうだ。


「それで?あの二人は何処へ行った?」


「はい。中立派重鎮のブラウン侯爵のグループに入ったと、エラから連絡が入りました」


「それから、ゲルハルト派のフォルクス侯爵が中心となって軍を編成。ブラウン侯爵領付近に展開し、圧力を掛ける様です。ブラウン侯爵のグループは、法衣貴族が多く、私兵が少ないですから」


確か、ブラウン侯爵家令嬢のエヴァとソフィアは、仲が良いんじゃなかったか?


それから、将来、俺の寄子になるモーゼル伯爵家令嬢エミリー。


エミリーの実家のモーゼル伯爵家は、ブラウン侯爵家と親戚同士で、ブラウン侯爵率いる中立派グループの重鎮だったハズだ。


このまま放置はできないか…


「バイオレット!ブラウン侯爵から救援要請があった時は、軍を展開するぞ!この場合、俺の派閥貴族の艦隊も出撃させる。根回しを頼む」


「派閥貴族の艦隊も出撃させるのですか?」


「ああ、そうだ。数で圧倒する。相手が黙って撤退するならそれで良し。戦いを挑んできたら撃退する」


「承知しました!すぐに根回しを行います」


そう言って、バイオレットは、部屋を出て行った。

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― 新着の感想 ―
 毎話、楽しく読ませていただいております。感謝申し上げます。  コルテン伯爵とガーランド伯爵の前当主達のヒトを観る目が、なかったのでしょうねー! おかげで、次の当主が困ったことに。  まっ、主人公の…
更新が来ると土曜日の訪れ
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