チェスターは新たな領地を手に入れる。
今日は、重鎮達を集めた会議の日だ。
俺が首都星の屋敷に来ると、既に重鎮達が集まっていた。
大部分のメンバーは、第一惑星に居る。
だが、こいつらの正体は上位の悪魔。
だから、距離が離れていても、転移門と言うスキルを使い、一瞬で移動して来る。
まあ、一度行った場合しか転移門で移動出来ないと言う制約はあるが…
「それでは、定刻になった。会議を始める」
会議の司会進行役は、バイオレットだ。
基本的に俺は、部下達に丸投げしているから、どちらかと言うと、会議と言うより、報告会的な感じだ。
重鎮達は、常に情報の共有をしている。
念話と言うスキルを有していて、距離が遠くても関係ない。
直接、頭の中に声が響いてくる感じ。
始めは俺も、いきなり頭の中に声が響いてきて、ビックリしたものだ。
だから、俺が質問しない限り、どんどん会議が進行して行く。
部下達が判断に困る案件があった場合は、俺に判断を求めて来る。
その判断を下すのが、俺の役目だ。
「では、次の議題だ。新しくチェスター様の領地になった、旧シューマッハ男爵領に付いてだ」
…なんだ?
いま、新しく俺の領地になったと言ったぞ。
何の話だ?
《はい。マスター。ゲルハルト派に建設長官のポストを譲る見返りに得た、新たな領地の事です。ポストを譲る見返りは、マスターが部下達に任せた為、外務長官マーガレットが中心になって交渉し、ゲルハルト派貴族の領地を新に獲得しました》
…そうなんだ。
言われてみれば、丸投げした気がする…
「おい、バイオレット。場所はどの辺りだ?」
おれが質問すると、バイオレットがタブレットを操作し、皆に見える様、大画面に投影する。
「チェスター様。この惑星で御座います」
場所は第一惑星と、ゲルハルトから嫌がらせで貰った、旧ホフマン男爵領の中間辺りだった。
首都星から第一惑星迄は約1ヶ月。
一番遠い旧ホフマン男爵領迄は首都星から約6ヶ月。
だから、3ヵ所位の距離みたいだ。
バイオレットが詳しい資料を投影する。
「…惑星1つで人口が16億しか居ないのか…」
「はい。首都星から移民を募るか?又は、自然増を待つしか無いかと…」
「まあ、仕方無いな。それから、以前にも伝えたと思うが、無理に移民を集めなくても良いぞ!俺の領地に来たい人だけ来て貰えばそれで良い」
「はい。承知しました!」
「では、説明を続けます」
領地の映像が流れる。
領民達は、いまだに馬車で移動していた。
町並みを見ても、高層ビルも無い。
まるで、中世ヨーロッパの様だ。
「何で、発展させないんだよー!」
「わざと発展させない様にしていたみたいです」
「何故だ?」
「暴動を恐れたのでは無いかと…交通や通信が発展すると、一瞬のうちに領民達に情報が伝わります。情報を得た領民達が団結し、それが暴動に発展するのを恐れた様です」
シューマッハ男爵は、赤道上にある島に首都機能を集めていた様だ。
宇宙港も、その島にある。
この島だけは、高層ビルが幾つか見えた。
そして、自身が住む屋敷も、その島に置いて、許可した住民しか島内に入って来られない様に徹底した警備態勢を敷いていた。
まるで、江戸時代の鎖国だな。
そして、その島に住む事が許された人間には、都市戸籍を、それ以外の住民には農村戸籍を与えて差別していた。
ニアとミアの報告では、都市戸籍を持つ者は、エリート意識が高く、農村戸籍を有する者達を馬鹿にしているそうだ。
まあ、着ている服を見れば分かる。
農村の人間は、ボロい服を着ているが、都市に住む住民はスーツを着ている。
恐らく、収入も天地の差があるんだろう。
「まあ、シューマッハの事など、どうでも良い。しかし、都市部に住むエリート意識持って住民がいると統治し難い。中途半端な知識があると、厄介だ。さて、どうするか…」
すると、マルティンが「では、こう言うのは如何でしよう?元々、ゲルハルト派の貴族領。いま、ゲルハルト派の貴族達は、移民を募集しております。それも、仕度金付きで。ですから、ゲルハルト派貴族領に移民させては如何かと」
「おお!良いんじゃないか。都市部に住むエリート達に情報提供して、一人でも多く追い出せ!」
「承知しました!」
「後は、何時通りだ。住民に教育を施し、仕事を斡旋しろ!それと、福利厚生だ。各地に病院と学校を建設しろよ!」
「承知しました!」
まあ、こいつらは、俺が首都星で購入した土地に住んでいた貧民達に、教育を施し、仕事を斡旋して、発展させた経験と実績がある。
だから、心配していない。
う~ん。
将来、俺が公爵になった場合、第一惑星だと首都星に近すぎるか?
もし、首都星で暴動とかあると、俺まで巻き込まれても困る。
だから、少し距離を置くか…
「この惑星を将来俺の本拠地にしようと思う。だから、それを踏まえて開発計画を立案してくれ!」
「そうだな…ほとんど開発されず自然が豊かな惑星だ。だから、自然を残しつつ開発しよう!」
「開発する場所と、自然を残す場所。メリハリを付けてくれ!」
「ああ、それから古い町を幾つか残して、整備も頼む。将来、観光名所になるかも知れないからな!」
前世で言う所の世界遺産みたいなイメージだ。
その後も、統治と発展方法の擦り合わせを行い、会議が終了した。
ああ、それから、ずーっと放置していた、と言うか忘れていた、旧ホフマン男爵領の視察に行く事にした。
ただ、長い航海の間、船の中に居ると飽きる。
だから、旗艦ビスマルクを出航させ、現地に着いたら転移門で移動する事にした。
それから、艦隊を駐在させる事も決まった。
俺の領地になっている旧ホフマン男爵領に、海賊の基地でも作られたら、俺の評判に関わると、軍務長官のフリードリヒが言うから、許可を出した。
私兵の艦隊もだいぶ増えた。
だから、問題無いだろう。
「バイオレット。明日の予定は?」
「特別な予定は、入っておりません!」
よし!
明日もだらけるぞ!
俺は、バイオレットが開けた転移門を抜けて、屋敷に戻った。




