婚約式2日目②
「なあ、エミリー嬢。エミリー嬢は、魔法に興味があるのか?」
「興味があるのか?ですって!当たり前じゃない!!我が家は代々、魔法を研究する一族なのよ!それを最近は、大した成果が無い。帝国の予算不足だ!って言って、魔法研究の予算を縮小されたのよー!」
「…そうなんだ…」
「全く!魔法には、まだまだ、将来性があるの!まだ、分かってない事だって、沢山あると思うの!それなのに…ウィルヘルム!貴方もそう思うでしょう!!」
「ああ、エミリー。僕もそう思うよ!研究費さえあれば、成果を上げてみせるのに!!」
なあ、ガブさん。
どう思う?
《2人に研究予算を与えれば、成果を上げる可能性があると判断します。また、研究開発予算を削られ困っている魔法庁や帝国大学魔法学部に恩を売れます》
《それ以外にも、マスターが研究費を支援していると宣伝し、マスターの評判を上げるのにも役立ちます!》
う~ん。
資金はどうするか…
《領地の電気代を活用するのが良いでしょう》
そう言えば、先日、内務長官マルティンから連絡があった。
領地の電気代に付いてだ。
核融合炉を設定した場合に比べて、我が領地は3割程のコストだと言っていた。
太陽からマイクロ波で領地へ送信し、その後、マイクロ波を電気に変える。
つまり、発電に必要な燃料費がゼロだ。
設備の維持管理費や、老朽化した際の設備の更新。
それから、電力会社の社員の給料。
それらを総て計算したそうだ。
そこで、残りの7割の使い道を聞かれて、教育費・健康保険料・介護費用・それから、退職金としてプールする様に指示した。
細かく分けなかったのは、流動性を持たせる為だ。
例えば、ベビーブームが起こったとする。
その子供達が学校に行く年齢になると、教育費が増える。
だが、その子供達が学校を卒業していまうと、教育費が減る。
そして、その子供達が歳をとると、今度は医療費や、介護費用。
それから、年金等にお金が掛かる。
だから、各費用を固定化せず、臨機応変に対応出来る様に、一纏めにさせた。
その時、5%を予備費にする様に伝えてある。
そこから、費用を捻出するか。
「よし、エミリー。俺が研究費を出してやる!その代わり条件がある」
「条件?どの様な条件ですの?」
「魔力を使った魔力炉を作りたいと考えいる。だから、まず、魔力を魔石に変える研究をする事。次に、魔石を使った魔力炉の研究をする事。研究以外には使わない事。この研究で得られた特許は、私に帰属する事だ。ああ、特許で得られた特許収入は、当然、分配するから安心して欲しい」
「ああ、そうだ。素晴らしい研究結果を上げたら、表彰するのも良いな!そして、エミリー達以外にも、今後成果を上げる者にも同様の表彰をするぞ!」
「ちょっと!チェスター君!その話、もっと詳しく!!」
「研究の話か?」
「違う!表彰の話よ!チェスター君が、新しい賞を創設するの?」
…何時の間にか、チェスター君呼びになってる…相当、興奮している様だ。
「ああ、そうだ!エミリーにちなんで、エミリー賞にするか?」
「エミリー賞…!!」
「良いよ!チェスター君!凄ご~く良い!!」
エミリーが、ノリノリだ。
「俺の領地に小惑星を運んで来て、その中に研究所を作ってやるから、そこで研究すると良い。部下も用意するやるから、基礎研究をみっちりとするんだぞ!」
「分かったわ!チェスター君!任せてね!!」
「ウィルヘルム!貴方も一緒に来るのよ!分かった!」
「ああ、分かったよ、エミリー」
ウィルヘルムは、結婚前からエミリーの尻に敷かれている様だ。
「エミリー賞…エミリー賞…」
うふふ。
よほど嬉しかったのか、エミリーがノリノリで一人言を言っている。
エミリー達に研究させて、実際の動力炉の建造は、ドンガ達に任せるか?
ドアーフは、優秀な職人達だから、何とかするだろう。
おっと、いけない。
他への気遣いも必要だった。
エミリー達だけに研究費の補助をして、根に持たれると厄介だ。
「バイオレット!電気代の予備費から支出する。エミリー達に1%だ」
「それから、三大公爵家にも各1%援助しろ!援助の条件は、研究以外には使用しない事。それから、年1回の当方からの監査を受け入れる事だ。経費の不正使用が発覚した場合は、援助を打ち切る。マーガレットに交渉させろ!」
「承知しました!」
俺が出した研究費を流用して、各貴族を招いて、政治に関わるパーティーでも開かれた日には、俺まで被害を被ってしまう。
だから、念のためだ。
三大公爵家のマークス公爵家は、法律学。
チェイサー公爵家は、経営学。
そして、クレスト公爵家は、魔法学だ。
帝国は財政難で、研究費は毎年の様に削減されているから、きっと喜んでくれるだろう。
その後も、俺はソフィアと歩きながら、会場内を見て回った。
明日から3日間は、帝国市民達に開放する。
何事も無く終わる事を願うばかりである。




