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ゲルハルトは激怒し、エリーゼは笑う。

ゲルハルトが宮殿にある、自身の執務室で休憩をしていると、側近であり、また、幼馴染みでもある、エミールが慌てた様子でやって来る。


「ゲルハルト殿下!大変です!」


「どうした?エミール。そんなに慌てて…」


「たった今、連絡が入り、アンドロイドやロボットの使用を制限する法案が可決されたとの事です!」


「何だと!どう言う事だ!」


「はい。何でも、ハルベルト派から法案が提出された様です…皇帝陛下や中立派貴族達に、事前に根回しされていたらしく、法案が可決されたと…」


「それで、エミール。我が派閥への影響をどう見る?」


「はい。殿下を支持している新興貴族は、アンドロイドやロボットを活用して、人件費を削減し、莫大な利益を上げていました。その莫大な利益が殿下の力の源です…殿下の影響力の低下は避けられないかと…」


「それと慣例に従い、法律の施行には10年の猶予期間が御座います。施行迄に手を打ちませんと、殿下の派閥貴族達の評判が悪くなります。つまり、それは、殿下の評判が悪くなると同義です」


「何だと!ふざけるな!!何とかならんか?」


「はい。殿下。まずは、殿下の派閥に所属する貴族達の救済策が必要と考えます」


「エミール。知恵が回るお前の事だ。既に何らかの考えがあるのだろう?」


「はい。殿下。不足する労働力を補う手立てが早急に必要で御座います」


「それで、具体的にはどうするのだ?」


「はい。首都星には、帝国でも掌握出来ない程の住民がおります。ですから、各貴族家領地への移民を募ってはどうかと…」


「恐らく、移住に応募するのは、貧民が多いと予想します。録な教育を受けていないでしようから、必要に応じて教育カプセルに放り込めば良いだけです」


「そうですね…幾ばくかの仕度金を払うと宣伝すれば、すぐに人は集まるかと…」


「よし!分かった。至急、派閥の貴族達に指示せよ!力(資金)の回復は最優先事項だ!」


こうして、ゲルハルトの名前で、派閥に所属する貴族達に積極的に移民を募る様、指示が下されたのであった。



★★★★★



首都星にある、ボーデン公爵の屋敷の庭園で1人、お茶を飲む人物がいた。


第2皇子ハルベルトの婚約者、エリーゼである。


「お嬢様。ご主人様から連絡があり、無事に法案が可決されたそうです」


「そう。分かったわ!連絡ありがとう」


ねえ!文殊さん。


予定通り、上手く行ったわ!


《はい。マスター。おめでとう御座います》


これから、どうなると思う?


《考えられる事は2つあります。まず、1つ目は、労働力を確保する為、移民を募る方法です》


移民?


《はい。領主貴族の承諾無く、貴族家領地から移民を募った場合、下手をすると戦争に発展します。その領地に住まう住民も、貴族財産の一部と見なされるからです》


《そこで彼らは、帝国首都星に目を付けるハズです。首都星には、帝国でも掌握しきれない程の人口が居るからです》


成る程…不足する労働力を補う為、首都星の住民達を移民させるのね。


《はい。そうです。次に2つ目の方法です。領主貴族に資金を支払い、領民を購入するか?又は、勝てそうな相手に戦争を吹っ掛け、賠償金名目で住民を貰い受ける事が考えられます》


戦争?


《はい。そうです。戦争に勝利すれば、他の貴族達に一目置かれる存在になれます》


ちょっと!


ヤバいんじゃないの?


ゲルハルト派と争っている、ハルベルト様の派閥貴族が狙われちゃう。


だって、ハルベルト派の力を削ぐ事が出来るから!


《マスター。その確率は低いと考えます》


そうなの?


《はい。ハルベルト殿下とチェスター殿下が仲が良い事は、知れ渡っています。迂闊に戦争を行った場合、ハルベルト・チェスター連合軍との全面戦争に突入する可能があり、ゲルハルト派は迂闊な行動は出来ないと考えます》


そうなの?


でも、それなら安心ね!


《ただ、まったく無いとは言い切れません。備えは必要です。次回のお茶会の席で、注意喚起する事を提案します》


分かったわ!


《次に、帝国首都星ですが、新興貴族領への移民の移動を遅らせる為、宇宙局長に対して“出国管理を徹底する様”指示をする事を提案します。宇宙局長ポストは、向こう10年間はハルベルト派貴族です》


でも、それじゃあ、チェスター殿下を怒らせるんじゃない?


チェスター殿下も、首都星の住民達を自身の領地に移住させてるから…


《チェスター殿下は、移民する住民に対して、事前に市民権を与え、まず自身の領民とした上で領地へ移動させています。つまり、これは、帝国内に移動する一種の旅行と定義出来ます。また、チェスター殿下は自身の宇宙港も有している事から、影響はありません》


それなら大丈夫ね!



早急に、ハルベルト殿下にお話しなくちゃね!


ありがとう、文殊さん!


緊張の溶けたエリーゼが、そう言って笑った。



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