法案が提出された!
司会進行役の帝国宰相シュターデンが「他に意見のある者は挙手ねがいたい」と言った。
すると、ハルベルト派の重鎮で、法務長官のルーベンス公爵が手を上げる。
それを見た、シュターデンが「法務長官の発言を許可する」と言い、そしてルーベンス公爵が話し始めた。
「先程から議論の大半は帝国財政の件に集中している様だ。そこで、わしは考えた。帝国の財政が健全化されれば、皆に心配させる事も無いとな…」
「帝国財政を根本的に改善する為、財務長官ボーデン公爵。それから、金融庁官ブラウン侯爵と連名で、新たな法務を提出する事とした」
「この法案が可決されれば、帝国の財政が健全化される事だろう。是非とも賛成してもらいたい」
ルーベンス公爵の発議を受けて、司会進行役の宰相シュターデンが「それでは、法案の説明を求める」と言い、待ってましたとばかりに、法務省の役人達が説明を始めたのだった。
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「ふざけるな!アンドロイドやロボットの活用こそが、帝国の発展に必要なのだ!」
「そうだ!その通りだ!!」
「科学技術の発展無くして、帝国の発展なし!」
「アンドロイドやロボット等の先端技術の活用こそ必要なのだ!それらを制限すれば、帝国の先端技術の発展が遅れてしまうではないか!」
「そうだ!そうだ!!」
予想通り、反対意見を述べるのは、ゲルハルト派の貴族達であった。
しかし、ゲルハルトと、激しく次期皇帝争いをしているハルベルト派は、まったく引く事は無い。
帝国財政を健全化させて、更にライバルのゲルハルト派貴族達の力を削ぐ。
正に、一石二鳥である。
今回の法案を入念に準備し、皇帝や中立派の重鎮達に根回しも終わっている。
だから、ルーベンス公爵は余裕の表情だった。
しかし、ゲルハルト派貴族達からの激しい抵抗に合い、議論が度々紛糾した。
そこで、頭を冷やさせる為、宰相は休憩を挟むべきと判断する。
「先程から活発な意見を感謝する。しかし、余りの長丁場、皇帝陛下もお疲れのご様子。よって、ここで一旦休憩とする」
法案を可決させたいハルベルト派。
何としても、阻止したいゲルハルト派。
しかし、皇帝の為と言われれば、休憩を受け入れる他無い。
また、ゲルハルト派としては、ハルベルト派が提出した法務を、廃案に持ち込む為には、他派閥への根回しの時間も必要である。
逆に、ハルベルト派は余裕の表情だった。
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ここは、ゲルハルト派の控え室。
「このままでは不味いぞ!あの様な法案が可決されれば、我が領地は大打撃だ!」
「私の領地もだ!何とかせねば…」
「では、どうする?」
「アドルフ派に関しては、ゲルハルト殿下から、アドルフ殿下に話を通して貰えば問題なかろ…」
「だが、チェスター殿下は、我々に協力は望めまい。チェスター殿下が婚約の折、ゲルハルト殿下が嫌がらせをしたからな…」
「うむ…確かにそうだな。あの様な子供じみた嫌がらせをせねば…悔やまれる」
「ここは、やはり、中立派に根回しするしかあるまい。中立派が反対に回れば、廃案に持って行ける」
「中立派と言っても、一枚岩では無い。5つのグループに分かれておる。ここは、各グループを回り、協力を依頼するしかあるまい」
「だが、見返りはどうする?何の見返りも無く、協力してくれるハズも無い」
「ゲルハルト殿下が皇帝に即位した時、いくつかのポストを用意するのはどうだ?」
「ゲルハルト殿下の許可無く、勝手な話は出来ぬ。至急、ゲルハルト殿下の判断を仰ごう!」
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中立派控え室。
今、応接室に5人の男達が集まっていた。
中立派と言われてはいるが、実際は5つのグループの集合体である。
他の派閥からの攻撃から、身を守る事を目的に、結成された。
従って、拘束力も無い。
「ハルベルト派からは、何の見返りも示されておりませんな」
「しかし、ボーデン公爵からは、帝国あっての貴族だと…確かにその通りでは無いか?」
「それに、どう考えも、ハルベルト殿下の勝利確実に見えるが」
こうして、5人の男達の話し合いの結果、4グループは法案に賛成を。
ゲルハルト派から割当てられるであろう、ポストに期待する1グループのみが反対票を投じる事になった。
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「それでは、これより議会を再開する」宰相により、再開が宣言された。
しかし、採決に持ち込みたく無い、ゲルハルト派貴族達が長々と質問する。
先延ばしにしたいのが、バレバレだった。
「それでは、採決に移る!」と宰相が言うと、少しでも採決を引き延ばしたいゲルハルト派貴族が「お待ち下さい!宰相殿下。まだ質問したい事があるのです!」
しかし、宰相は「皇帝陛下。採決に移りたいのですが、よろしいでしようか?」
「うむ。かまわん」
「陛下の許可を得た!それでは、採決に移る」
こうして、賛成多数により、法案が可決されたのであった。
「では陛下。法案は可決されました。異議が無ければ法案に署名をお願い致します」と宰相が法案を皇帝が座るテーブルの上に置いた。
皇帝陛下が署名する。
それを確認した宰相が「慣例に従い、10年間の猶予期間を経て、本法律を施行する物とする!」
「これにて閉会!」
宰相が議会の閉会を宣言し、各貴族達は会場を後にした。




