エリーゼの秘密。
私の名前はエリーゼ。
ボーデン公爵令嬢で、第2皇子ハルベルト殿下の婚約者だ。
私は、お父様が納める領地を放れ、首都星にあるボーデン公爵家の屋敷に住んでいる。
お父様も財務長官と言う、要職に就いており、帝国の重鎮の1人だ。
母上は領地に残り、領地経営をしている。
首都星での私の仕事は、お茶会を開き、ハルベルト殿下の派閥に所属する、貴族家夫人や令嬢をお茶会に招き、もてなす事だ。
そのお茶会で、派閥貴族の女性達とコミニュケーションを取り、良い関係を築く。
そして、情報収集をしたり、婚約者のハルベルト殿下の意向を内々に伝え、意見を取り纏めたり…
とても神経を使う。
今日のお茶が終わり、自室に戻った私は、幼馴染みであり、親友であり、私のお世話係のキャサリンが入れてくれたお茶を飲みながら一休みする。
キャサリンは、私の実家ボーデン公爵家の寄子ワーレン子爵家の次女だ。
幼い頃から我が家に預けられ、私のお世話係として一緒育った幼馴染み。
そんなキャサリンが「エリーゼ様、テレビニュースをご覧になりましたか?」と、お茶を入れながら聞いてくる。
「テレビニュース?」
何か大事件でも起こったのかしら?
私が考えていると、キャサリンが「チェスター殿下と婚約者のソフィア様が孤児院に慰問に行かれ、子供達と遊んだり…子供達と一緒に食事されたり、とても楽しそうに過ごされていたんですよ!」
「そうなの?」
「はい!庶民達の間で大評判の様です!」
「そうなんだ…キャサリン。教えてくれて、ありがとう」
私はキャサリンにお礼を言う。
「エリーゼ様。何か、口にされますか?」キャサリンが聞いてくれる。
貴族達を招いてのお茶会は、とても気を使う。
だから私は、殆んどお茶請けのお菓子に手を付けていない。
でも、まったく食べないと、毒でも入っているのか?と疑われるかも知れない。
そんな噂が出ること事態、有ってはならない事だ。
私が貴族達からの信用が、無くなってしまうからだ。
だから、まず私が1番先にお菓子に手を付ける。
毒入りでは無いと証明する為に…
だが、私はハルベルト殿下の妻になる身。
貴族の婦人達に気を使わなければならず、その為、美味しお菓子をお腹いっぱい食べる事もない。
だからお茶会が終わり、自室に戻ってホッと一息付くと、小腹が減ってくる。
キャサリンは、そんな私を気遣い、声を掛けてくれたのだ。
「では…サンドウィッチでも貰おうかしら」
「承知しました!暫くお待ち下さい」
そう言って、キャサリンが退出する。
★★★★★
ねえ!文殊さん。
キャサリンの話を聞いてた?
《はい。マスター》
実は私には、誰にも言っていない秘密がある。
極稀にしか所持者がいないと言われている、ユニークスキルを所持しているのだ。
どうやって、このスキルを所持するに至ったのか?
それは私にも分からない。
いや、正確に言うと、その時の経緯は思い出せない。
物心付いた時から、何時も私と一心同体だった。
そして私のユニークスキル文殊の知恵に、今まで何度も助けられてきた。
私の心強い相棒だ。
文殊は知恵を司るユニークスキル。
私は文殊に質問する。
ねえ、文殊。
チェスター殿下って、皇帝の座を狙っていると思う?
《いいえ、その確率は低いと判断します》
その理由は?
《チェスター殿下は、皇族籍を抜けて公爵になると公言しています》
《また、自身の領地を得る為、首都星に土地を購入し開発を行っています。それ以外にも惑星を購入し現在開発中です》
《チェスター殿下の行動と発言には一貫性があり、矛盾点がありません。従って、皇位を狙っている可能性はかなり低いと判断します》
それなら安心ね!
《現在、ハルベルト殿下は、ゲルハルト・アドルフと皇位を巡って争っています。チェスター殿下との友好関係をアピールする事が、皇帝への近道だと判断します》
うん。
そうよね~
幸い、ハルベルト殿下は、チェスター殿下と仲が良いみたいだし…
私が文殊の意見を聞きながら、あれこれ思案していると、ハルベルト殿下から通信が入る。
私は慌ててタブレットを操作する。
「エリーゼ。相談があるのだが…いま、平気かな?」
「はい。ハルベルト殿下。大丈夫で御座います」
「そうか、それは良かった。実はチェスターから、エリーゼとソフィア嬢との間を取り持って欲しいと言われて連絡したのだ」
「ソフィア嬢は、首都星に来たばかりで知り合いもいない。だから、エリーゼに他の貴族令嬢を紹介して欲しいそうだ」
「そうですか。承知しました。お任せ下さい!」
その後、今日のお茶会で聞いた話等をハルベルト殿下に報告し、殿下との会話が終了する。
ねえ!文殊。
今の話…どう思う?
《ハルベルト殿下がチェスター殿下と、そしてマスターがソフィア嬢と、友好関係を築くのは、皇位を目指すハルベルト殿下には、プラスに働くと判断します》
《ソフィア嬢は市民達からの人気が高いので、ソフィア嬢とマスターが一緒に慰問に行き、その事実をボーデン公爵家が首都星に所有するテレビ局で放映させるが良いでしよう》
《また、ハルベルト殿下も同様に、チェスター殿下が定期的に実施している炊き出しに同行する事を推奨します》
うん。
確かに良い考えね!
だって、弟夫婦の方が市民から人気があっては、面目が立たないものね!
こうして私は、ハルベルト殿下と共に、チェスター殿下とソフィア嬢との顔合わせを兼ねたお茶会に参加する事になった。




