表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/109

魔力動力炉。

俺は今、本星から首都星にある屋敷に帰る途中である。


それも軍艦に乗っての移動である。


転移門を開けば一瞬で戻れる。


だが、今回は転移門を使わなかった。


いや、より正確に言うなら、使えなかったのだ!


俺の誕生会を本星で行った。


そのパーティーには、当然、婚約者のソフィアも参加してた。


二人で腕を組み、パーティー会場を歩き、参加者に挨拶をした。


そのソフィアが、一足先に本星を出発したのだ。


もし、ここで俺が転移門を開き、俺が首都星に帰ってしまうと、先に出発したソフィアを追い抜いてしまう事になる。


ソフィアには、俺の特殊能力を教えていない。


ガブさんが《誰にも教えない方が良い》と言うからだ。


だから俺は、仕方なく戦艦ビスマルクで向かう事になったのだ。


まあ、良いか…


どうせ、だらけているだけだし…



★★★★★



俺が首都星の屋敷へ向かう途中、第1惑星に立ち寄った。


屋敷で朝食を取っていると、何だか外が騒がしくなる。


「チェスター殿下は、今食事中です!食事が終わりましたらお呼びしますので、応接室でお待ち下さい!」


「私は急いでいるの!そこを退きなさい!」


誰かが俺を訪ねて来たみたいだ。


誰だ?


女性の声だったが…


俺は友達が少ない。


しかも、ここは首都星でも無い。


こんな場所まで、来るなんて…


ひょっとして、俺に苦情を言いに来たのか?


そんな事を考えていると、ガチャン!とドアが開く。


ドアを開けた女性と目が合う。


「チェスター君!ついにやったの!!」


俺が資金を提供し、魔法研究を行っている、エミリーだった。



★★★★★



朝食を食べ終わった俺は、応接室へ移動する。


中に入ると、エミリーと、その婚約者で一緒に研究をしているヴィルヘルム。


それから、実際に現物を作り、試験を担当しているドンガ。


それと、何故か?先に出発したソフィアが俺を待っていた。


「それで、話って何だ?」


「チェスター君!聞いて驚け!!何と…魔力動力炉が完成したの!!」


「本当か?凄いじゃないか!」


まさか、本当に完成させるとは、思っていなかった。


ドンガが「まだ、多少の改良の余地はあるがな」と言うと、エミリーが「ドンガは細かいところまで、拘り過ぎなのよ!」と言う。


ヴィルヘルムが「チェスター。これは画期的な発明だ!宇宙に無数に漂う魔力をエネルギーとして動力を得るんだ!」


この世界には、魔力がある。


地上はもとより、宇宙にも魔力が漂い、まるで川の様に流れている。


問題は、魔力の濃い場所と、ほとんど魔力か存在しない場所がある事だ。


魔力は溜める事が出来ない。


だが、魔物は魔石と言う形で魔力を体内に溜め込む。


だから、魔力の濃い場所で、魔石にして溜め込み、魔力の少ない場所では、魔石を動力炉のエネルギーとして使えないか?と、アイデアを俺が出した。


そして、その資金と研究施設を提供したのだった。


「それで、もう少し詳しく教えてくれる?」


すると、エミリーが話し出す「まず、魔力が濃い場所で、魔力を魔石と言う形で貯蔵する事に成功したの。そして、魔力の少ない場所では魔石を使い補いたい。でも魔石のままでは使えない。そこで研究の結果、魔石に高い圧力を掛けると液体になる事が分かったわけ!」


「成る程。液体にして、それを動力炉の燃料として使う事か?」


「流石はチェスター君!その通り。液体にして、魔法陣を書いた炉に入れるって訳よ!」


ヴィルヘルムが補足する「動力炉は複雑な作りだ。魔法陣も、いろいろな場所に、複数設置する必要がある。それに魔力が大量に必要な場所もあれば、少しで良い場所もある。だから液体じゃないと、細かい制御が出来ず、上手く機能しないんだ」


「そうか!良くやってくれたな!」


「チェスターよ!魔力動力炉は、補助エンジンに使用するのが良いと思うぞ。一定の出力を出し続けるには向いておる。だが、ワープ航法時に急加速したり、戦闘時にビーム砲を何発も発射し、シールドを張ったり…一度に大量のエネルギーが必要な場面では、核融合炉の方が向いておる」


「成る程…つまり、メインエンジンは、今まで通りに核融合炉を使い、補助エンジンは魔力炉を使う訳だな?」


「うむ。その通りじゃ。それから、お前さんのアイデアで軍艦に設置した魔法陣じゃが…」


「ああ、物理攻撃耐性と魔法攻撃耐性の魔法陣の事か?」


「うむ。そうじゃ。魔力炉から魔力を魔法陣に繋げれば、魔力の薄い場所でも効力が落ちんようだ」


「おー!それは良い!船の防御力が高まるな!」


「ビームシールドに物理攻撃耐性の魔法陣。恐らく、よほどの至近距離から主砲の直撃が当たらぬ限り、沈没はせんだろう!」


「そうか!戦死者が減るのか!最高じゃないか!!」


兵士が戦死すると、その穴を埋める為、新兵を募集し訓練する。


一人前になる迄には、金も時間も掛かる。


それに、残った遺族の生活の面倒も見ないといけない。


だから、戦死者を減らせれば、それに越したことは無い。


「ドンガ!軍艦に魔力炉の搭載はいつ頃、可能になるんだ?」


「うむ…後2年くれ。積むだけなら可能だが、今ある軍艦の補助エンジンを交換するには、スペースの問題もある。2年以内に何とかしてみせる」


「分かった。ドンガ。頼んだぞ!」


「うむ。任せておけ!」


よし!


魔力炉が普及すれば、燃料も節約出来るし、最高だな!


これで話は終わりかと思っていたら…


「ねえ!チェスター君…例の約束…覚えてるよね?」


例の約束?


何の事だ?


《マスター。エミリー賞の事では無いでしようか?》


ああ、あれか…


完全に忘れてたよ~


「エミリー賞の事だろう?当然、覚えてるよ~当たり前じゃないか!」


「チェスター君!覚えていてくれたのねー!じゃあ、よろしくね!」


「おっお~任せろ!俺は約束を守る男だからな!」


この後、ドンガは早速、図面作成の為、自分の工場へ戻ると言う。


仲間達と議論したいそうだ。


だから、第2惑星で大量に収穫した、ジャガイモで造った、アクアピットと言う酒を持たせた。


そして俺は、夕食会を開き、エミリーとヴィルヘルムを持て成したのだった。


当然、ソフィアも一緒である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ヤッタネ! エミリーさん。魔力炉の完成。まっ、これもヴィルヘルムやドンガの協力が無いと、こんな短期間では漕ぎつけなかったのでしょう❗️  『エミリー賞』創設の約束が無かったら、しばらく秘匿技術にして…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ