チェスター35歳。
俺は、先日、35歳の誕生日を迎えた。
35歳なのに…見た目は子供だ。
前世では、小学校高学年か、中学生位だろうか?
寿命が伸びたこの世界では、身体の成長が遅い。
前日の俺の誕生日は、皆が盛大に祝ってくれた。
貴族達を本星の屋敷に招き、パーティーを開いた。
家同士の付き合いも大切ある。
いちいち、どの貴族を招待するか?
考えるのも面倒だから、外務長官のマーガレットに丸投げした。
招待客のリストを良く確認せず、ソフィアを伴って会場入りしたら、余りの参加者の多さに驚いた。
マーガレット曰く「チェスター様の力を示す絶好の機会なので、第2皇子派閥の貴族や、中立派貴族。それから、大富豪と言われる経済界の大物達にも声を掛けました!」と言う。
丸投げしたのは俺だから、文句も言えない。
出来れば身内だけで、誕生会を済ませたかった。
だが、俺の立場がそれを許さない。
内務長官のマルティンから「チェスター様の誕生を祝い、その日は祝日にしましょう!」と言われた。
何でも、領民達から多数の要望が寄せられているとか、何とか…
まあ、俺の誕生日にかこつけて、どんちゃん騒ぎでもしたいのかも知れない。
俺の領地は、開発続きだったから、息抜きも必要かも知れない。
そう思い許可を出した。
俺の誕生日が終わった後、ミアから報告があった。
俺自身が外に出て、領民達と一緒に祭りを見物する訳にも行かない。
だから状況の確認を頼んでいた。
「チェスター様!チェスター様の誕生日には、領民達が皆で誕生を祝っておりました!午前中は教会に祈りを捧げ、午後からはこぞって祭りに参加して、大盛況でした!」
「そうなの?」
「はい!皆が真剣に祈りを捧げておりました!」
「ううん?何で教会で祈りを捧げるんだ?」
「そ…それは…チェスター様をこの世に誕生させてくれた神に、感謝したのでは無いかと…そ、それより、来年の誕生日なのですが、オープンカーに乗り、パレードをして頂けませんか?」
こいつは、何を言っているのだろうか?
俺は、引き込もっていたいのに…
と言う事で、当然却下した。
★★★★★
今日は、久しぶりに仕事をしている。
領主が決済しなければならない仕事もある。
だから、こればかりは仕方ない。
俺の領地は、ずっと開発続きだ。
仕事は多いのに人口が少ない。
だから常に人手不足の状況だ。
始めは経済が活性化して良いと思っていたが、将来の事を考え、開発のペースを落とす様に指示をした。
開発が一巡してしまうと、仕事が減り、労働者の働き場所が無くなってしまう。
すると、経済が停滞し、税収も落ち込む。
働く場所が無く、職に付けない領民が増えると、治安が悪くなるかも知れないし…
働く場所を作る為、無駄な公共工事を行うのも嫌だしな~
減少する税収を補うのに、借金もしたくない!
治安対策に税金を投入するのも馬鹿馬鹿しいし…
帝国全体で見れば、アンドロイドやロボットの使用を制限する法律のお陰で、人間の雇用が増え、景気も以前より良くなっている。
それもあって、開発のスピードを調整する様に指示したのだ。
基本的に、俺は大枠を決めるだけ。
後の細かい事は、優秀な部下達がやってくれるから、楽ちんだ!
私兵も充実出来た。
現在、第1惑星周辺に4個艦隊。
本星にも、4個艦隊。
1個艦隊が点検と整備。
それから、乗組員の休暇を取っていても、常に3個艦隊が周辺の警備が出来る体制が完成した。
建造設備も、第1惑星付近は、民間船の建造設備だけに集約し、軍艦の建造設備は、本星に集約と拡張を行った。
食糧の備蓄も完璧だ。
もはや俺に死角は無い!
ふふふ。
★★★★★
今日も、俺が屋敷の部屋でだらけていると、バイオレットがやって来る。
「チェスター様。建設長官ルイスが面会を求めておりますが、如何しますか?」
「分かった。通せ」
「承知しました」
バイオレットが頭を下げ、そして部屋から出て行く。
何か?重大な問題でも起こったか?
部下達が、俺の判断を求めるなんて珍しい。
暫くすると、バイオレットがルイスを連れて、俺の部屋に入って来る。
「どうした?ルイス。何か問題が発生したのか?」
「いいえ、違います。本日伺いましたのは、第2惑星の件です」
「第2惑星?」
「はい。あと数年で、外壁工事が完成致します。それで、作業員達の処遇を如何すれば良いかと…」
元々、第1~第3惑星は、人が住める環境では無かった。
惑星の外壁を金属で丸ごと包み込む。
そして包み込んだ金属の内側の土砂を取り除き、空間を作る。
その空間に、ダンジョンコアの魔力を使い、水や空気を作って、人が住める環境にした惑星だ。
成る程…
完成してしまうと、作業員達の仕事が無くなるのか…
宇宙空間で、惑星を丸ごと金属で包み込む様な、経験を積んだ、特殊な技術を身に付けた作業員達。
技術や経験を継承出来る場所が無いと、技術が廃れてしまうか…
どうやら、ルイスはその事を気にしている様だ。
さて…どうするか?
ガブさん。
何か良いアイデアある?
《ウリエルの知恵を使いますか? YES ・
NO》
YESだ!
《ウリエルの知恵を使用します…》
《計算が終わりました。マスターに宇宙要塞を作る事を提案します》
宇宙要塞?
《はい。マスター。要塞は外壁を金属で包み込んだ球体構造。どの方向へも、攻撃と移動が可能で、要塞内に艦隊が入港可能なドッグを設置。要塞の中心部に核融合炉を設置し、要塞が必要なエネルギーを得るだけで無く、核融合炉から発生する光を使い、発電の他に、野菜や穀物の生産も行います》
お~!
何か、凄いのが出来そうだな?
でも、本当に出来るの?
《はい。現在の最先端技術を集めれば建造可能と判断します》
よし!
それなら、やらせるか!
この後、俺は、ガブさんから聞いた、要塞のイメージをルイスに伝えた。
「チェスター様。それは、なかなかハードルが高いですな~では、後の事は皆と協議致します」
そう言って、ルイスは退出して行った。
ルイスも無理だとは言わなかった。
だから何とかするだろう。
宇宙要塞。
今まで帝国では存在無い物だ。
これから研究を始めて、実験をして…それから、設計図を書き、建造する。
これで、暫くは時間が稼げるだろう。




