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公共施設の独占禁止法案。

「エドワード!チェスターを懲らしめる法案の件は、どうなっているのだ?」


「はい。ゲルハルト殿下。現在、フォルクス侯爵を中心に、法案の作成を行っているところで御座います」


「フォルクス?彼奴に任せて大丈夫なのか?前回、戦わずして逃げ帰った臆病者ではないか!」


「ゲルハルト殿下。フォルクス侯爵は、前回の件で評判を落としております。ここは、名誉挽回のチャンスを与えるべきかと…」


「あの腰抜けに任せておいて、本当に大丈夫なのか?」


「はい。殿下。名誉挽回の機会と捉え、随分と張り切っていると報告を得ております。それに、このまま彼を放置していたら、派閥からの離脱も有り得るかと…」


「あの様な腰抜け。別に居なくなっても構わん!」


「いいえ。それはいけません。現在、殿下を支える新興貴族達は、アンドロイドやロボットの使用を制限する法律のせいで、打撃を受けております。これ以上、殿下を支える力が衰えるのは避けるべきだと確信致します」


「…エドワードが言うなら、このままフォルクスに任せるか…あまり気乗りはせぬがな…」


「ご理解頂けて感謝致します!」


こう言って、エドワードは部屋を退出して行った。



★★★★★



ここは、首都星にある、フォルクス侯爵の屋敷である。


この屋敷に、フォルクス侯爵と親交のある貴族達が集まっていた。


当然、その中には、前回、フォルクス侯爵と共に出陣した貴族達も含まれる。


「フォルクス侯爵。例の法案の方は如何か?」


「部下達から順調だと聞いておる。心配無用じゃ!」


「おお、それを聞いて安心しました!それで、根回しの方は?」


「既に、宰相殿下を通じて皇帝陛下へも伝わっているハズ。宰相殿下から、何も言って来ない事を見ると、陛下も納得されたと見える」


「それは良かった!後は、各貴族への根回しだけですな!」


「うむ。第2皇子派へは打診しておらん。ハルベルト殿下とチェスター殿下が仲が良い事は有名だ。迂闊に話すとチェスター殿下に伝わり、邪魔をされては困るからな」


「確かに、その通りですな!しかし、ハルベルト派の貴族達も、チェスター殿下が宇宙港を独占している事を良く思わない者も多いでしようから、採決に賛成する者も居るのではありませんか?」


「ああ、わしもそう思う。だから、ハルベルト派の貴族達へは何も伝えん。事前に法案の事が伝わり、ハルベルト殿下から否決票を投じろと指示が出ては、賛成票が減ってしまうからな。だからハルベルト殿下も指示が出せぬ様、奴らには何も伝えんつもりだ。議会で我々が法案を提出し、その場で採決に持ち込む算段だ。今はもっぱら中立派の貴族達へ根回しを行っておる」


「それと、3大公爵家へも使いの者を向かわせた。政治力は無いが、そこは公爵家。1家当たり5票の投票権を持つ事には代わりない。彼等は研究費が不足気味で困っていると聞く。だから、法案可決の暁には、研究費増額に協力すると打診した」


「成る程、流石はフォルクス侯爵!3大公爵家は、こぞって賛成票を投じるに違いありませんな!」


彼等は知らない。


南半球の宇宙港は、既にチェスターからハルベルトに譲渡されている事を。


第2皇子派の貴族達は、その事をハルベルトから聞かされている事を。


ハルベルトが次期皇帝に即位すれば、南半球の宇宙港は、自動的に帝国直轄港になる事を。



★★★★★



ここは、3大公爵家、クレスト公爵家の屋敷である。


3大公爵家は、4ヵ月毎に持ち回りで会食を行っている。


これは、3大公爵家が設立された時からの慣わしである。


今回は、クレスト公爵家が、マークス公爵家、チェイサー公爵家の各当主を屋敷に招き会食を行いながら、交流と情報交換をするのである。


マークス公爵が言う「先日、我が家にゲルハルト派の重鎮、フォルクス侯爵が訪ねて来た。用件は、公共施設の独占を禁止する法案を提出するから、賛成して欲しいと申しておった。どうやら、ゲルハルト派は、チェスター殿下に打撃を加えたい様だ」


「ああ、それなら我が家にも参った。法案可決の暁には、研究費の増額に“協力”するそうだ」


「わしにも、同じ事を話しておったわ」


「ほう…それで、チェイサー卿は何と答えたのだ?」


「“検討する”と答えた」


「本当に検討するのか?」


「する訳が無かろう!今まで何もして来なかったのだ。信用など出来ん!それに“協力する”と言っただけだ、“協力したがダメだった”と言われかねんからな」


「確かにその通りだ。何の見返りも求めず、研究費を用立ててくれている、チェスター殿下の方が信用に値する」


「クレスト卿は、当然、反対票を投じるのであろう?息子ヴィルヘルムの婚約者エミリーが、随分とチェスター殿下にお世話になっているそうでは無いか…」


「ああ、我が家は何かとチェスター殿下には恩がある。研究費に息子の事だ。だから当然、法案には反対票を投じさせて貰う」


「ならば、3家揃って反対票を投じると言う事で問題ないな?」


「ああ、問題ない!」


こうして、3大公爵は、揃って法案に反対票を投じる事が決まったのであった。

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― 新着の感想 ―
 「ゲルハルト殿下」の三歩先を行く、主人公ですねー❗️ 早く、ゲルハルト派の貴族家の没落みたいですね〜。  う〜ん、この世界の人生100年−200年なので、ゆったりですね。 低成長経済(江戸時代)の様…
情報収集能力の欠如が深刻ですね〈ゲルハルト派閥
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