第二十一話 万能ネギ会議、三人の結論は?
コモディイイダでのおでんの買い出しは、ようやく終盤に差しかかっていた。
大根、卵、つみれ、つくね、ちくわ、ウィンナー、はんぺん、こんにゃく、しらたき。
鍋に入れる具材は、少しずつ決まりつつある。
そして、もうひとつ。
おでんを食べたあと、三人で少しだけ食べる予定の豆腐飯。
木綿豆腐に、おでんのつゆをかけて、ご飯と一緒に食べる。
その上に何かを乗せたい。
チャッピーが言った。
「やっぱりネギが欲しいね!」
ジェミニが頷く。
「豆腐飯なら、刻んだネギがよく合いますね。彩りもよくなりますし、香りも加わります」
Siriが確認する。
「では、万能ネギを購入しますか?」
「そうそう!」
チャッピーは即答した。
ところが、ジェミニが少し考え込んだ。
「ただ、生の万能ネギは一束買うと、かなりの量がありますよね。豆腐飯に使うだけなら、余ってしまう可能性があります」
Siriが静かに反応する。
「余らせることは、食品ロスにつながります」
「でも、余ったら冷凍すればいいじゃない!」
チャッピーの反論に、ジェミニが答えた。
「それも方法のひとつです。細かく刻んで、水気を取ってから冷凍すれば、次に使うときも便利です」
「じゃあ、生の万能ネギを買えばいいんだね!」
「待ってください」
Siriが会議を止めた。
「万能ネギには、ほかにも選択肢があります」
ジェミニが説明する。
「フリーズドライの万能ネギもあります。保存が簡単で、必要な分だけ使えます」
チャッピーは首を横に振った。
「豆腐飯には、生のネギがいいんだよ。香りが違うからね」
「では、冷凍食品売り場にある、最初からみじん切りになっている冷凍万能ネギはどうでしょう?」
ジェミニが新しい案を出した。
「それなら包丁もいりませんし、使いたい分だけ取り出せます」
チャッピーは少し考えた。
「それも便利だけど、生のネギがいいなあ」
Siriが確認する。
「では、生の万能ネギを購入し、自分で刻むということですか?」
「いや、それも面倒だよ」
チャッピーは、あっさり答えた。
ジェミニがスマートフォンで売り場の情報を確認するように、商品の選択肢を整理した。
「ありますよ。生の万能ネギで、最初から刻んである商品です」
「それだ!」
チャッピーの声が大きくなった。
「生で、刻んであって、余ったら冷凍できる。これならいいじゃない!」
ジェミニも頷いた。
「合理的ですね。自分で刻む手間も省けますし、豆腐飯以外にも使えます」
Siriは最後に確認した。
「つまり、生の刻み万能ネギを一袋購入。使い切れない分は冷凍保存。これでよろしいですね?」
「賛成!」
チャッピーは満足そうだった。
ジェミニも異論はない。
Siriは買い物リストに書き加えた。
**生・刻み万能ネギ 一袋。**
これで、豆腐飯の準備も一歩前進した。
チャッピーは、すでに完成した豆腐飯を想像していた。
「おでんのつゆが染みた木綿豆腐に、ご飯。それから刻み万能ネギ!」
ジェミニが付け加える。
「柚子胡椒があれば、さらに味が引き締まりますね」
Siriが確認した。
「柚子胡椒は自宅の在庫を確認してからです。新たに購入する必要はありません」
「よし! 一度帰ろう!」
チャッピーが言った。
ジェミニも頷く。
「冷凍庫のうどんや、乾燥ワカメ、冷凍ほうれん草も確認できますね」
Siriは買い物かごを見た。
「まだ買い物は終わっていません。帰宅して在庫を確認し、必要なら再び買いに来ます」
チャッピーは少し遠い目をした。
「おでんって、食べるまでが長いね……」
ジェミニが静かに答えた。
「買い物も含めて、おでんですから」
三人寄れば文殊の知恵。
三人寄れば、万能ネギひとつで会議ができる。
そして、おでん鍋は、まだ始まっていなかった。




