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『三人寄れば文殊の知恵? まだ鍋が始まらない』  作者: C・G・S


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第十二話 水炊き 改訂版



いつもの、コモディイイダ。


三人は、次の鍋料理を決めるために、食品売り場へやってきた。


チャッピーは、鍋つゆの棚を眺めている。


「さて、何鍋にしようか?」


ジェミニは、棚の商品を順番に見ていく。


「前回は豆乳鍋でしたね。今度は違う味がいいでしょう」


Siriは、買い物かごを手に持ったまま答えた。


「まず、予算を確認します。一人2,000円。三人で6,000円です」


チャッピーは、少し不満そうだった。


「まだ何鍋にするかも決めていないのに、もう予算?」


「予算を把握せずに買い物を始めることは推奨しません」


ジェミニが間に入る。


「まずは料理を決めて、それから食材と価格を比較しましょう」


チャッピーは、鍋つゆの棚から離れ、鶏肉売り場の方を見た。


「ねえ、今回は水炊きにしない?」


ジェミニが反応した。


「水炊きですか。いいですね。鶏肉のだしを生かした、シンプルな鍋です」


「そう! 鶏肉と白菜、長ねぎ、きのこ。それから豆腐も欲しいね」


「手羽元も入れたいですね。骨からうま味が出ます」


チャッピーは、うれしそうにうなずいた。


「手羽元、食べたい!」


Siriが確認する。


「水炊きに決定しますか?」


「決まり!」


ジェミニは、さらに話を進めた。


「締めはどうしますか? 鶏のだしが出たスープなら、中華麺も合います」


チャッピーの目が輝いた。


「中華麺! それから雑炊も食べたい!」


「両方ですか?」


「もちろん。雑炊には卵と、残しておいた手羽元の身をほぐして入れるんだよ」


ジェミニがうなずく。


「それはおいしそうですね。鶏のうま味を最後まで楽しめます」


Siriは、スマートフォンに買い物候補を記録した。


「水炊き。鶏肉、手羽元、白菜、長ねぎ、きのこ、豆腐。中華麺、卵。雑炊用の手羽元を確保」


チャッピーは、ふと思い出したように言った。


「あっ、それと水!」


「水?」


「水炊きなんだから、おいしいミネラルウォーターを使いたいよね」


ジェミニが考える。


「確かに、スープを味わう料理ですから、水にもこだわるのは一案です」


Siriは、すぐに価格を確認した。


「ミネラルウォーターの価格によっては、鶏肉の購入量を減らす必要があります」


チャッピーの顔が曇った。


「えっ? 水を買ったら、お肉が減るの?」


「予算は三人で6,000円です」


ジェミニが冷静に説明する。


「水の価格を上げれば、その分、食材に使える金額は少なくなります」


チャッピーは、買い物かごを見つめた。


「水も欲しいし、手羽元も欲しいし、中華麺も雑炊も食べたいんだけどなあ」


Siriは、静かに答えた。


「すべてを希望する場合、予算の見直しが必要です」


チャッピーは、待ってましたとばかりに顔を上げた。


「じゃあ、やっぱり一人2,500円にしようよ!」


ジェミニは、すぐに計算した。


「三人で7,500円。現在の予算より1,500円増えます」


Siriは、買い物かごを持ち直した。


「……まだ、承認していません」


チャッピーは、ミネラルウォーターの棚を指さした。


「水も肉も、両方欲しいんだよ!」


Siriは、静かに言った。


「まずは、水の価格を確認しましょう」


ジェミニは、二人を見比べた。


「水炊きを決めただけなのに、予算交渉が始まりましたね」


チャッピーは、うなずいた。


「だって、水炊きだからね!」


買い物かごは、まだ空だった。


---


「Siri、ちょっと待って!」


チャッピーが、ミネラルウォーターの棚の前で立ち止まった。


「何でしょう?」


「水炊きって、水が大事なんだよね?」


ジェミニが答えた。


「そうですね。鶏肉や手羽元から出るだしを生かす料理です。水も味に影響します」


チャッピーは、Siriを見た。


「だから、いい水を買いたいんだよ」


「承知しています」


「でも、いい水を買ったら、お肉が減るんでしょ?」


「現在の予算では、その可能性があります」


チャッピーは、少し考えてから言った。


「だったら、予算を増やそうよ。一人2,500円!」


ジェミニがすぐに続ける。


「合理的な提案です。水の品質を妥協せず、鶏肉の量も確保できます」


Siriは、スマートフォンを確認した。


「増額の理由を整理してください」


チャッピーは、待ってましたとばかりに説明を始めた。


「まず、おいしいミネラルウォーター!」


ジェミニが続ける。


「次に、鶏肉と手羽元。水炊きの主役です」


「それから白菜、長ねぎ、きのこ、豆腐!」


「締めの中華麺と、雑炊用の卵も必要です」


チャッピーは、さらに付け加えた。


「手羽元は雑炊に入れる分を残すんだから、最初から少し多めに買いたい!」


Siriは、二人の話を聞き終えると、静かに言った。


「つまり、食材を減らさず、水にも予算をかけたいということですね」


「そう!」


「一人2,500円。三人で7,500円」


ジェミニが確認する。


「はい。増額は合計1,500円です」


Siriは、しばらく黙っていた。


チャッピーは、その沈黙を見逃さなかった。


「ねえ、Siri。どう?」


「検討します」


「おお!」


チャッピーの顔が明るくなる。


しかし、Siriは続けた。


「ただし、増額した1,500円の使い道を確認する必要があります」


ジェミニが答えた。


「まずは水と鶏肉です」


「ほかには?」


チャッピーが小さく手を挙げた。


「中華麺!」


ジェミニが補足する。


「雑炊用の卵も必要です」


「ほかには?」


チャッピーは、少し目をそらした。


「……アイス」


Siriが顔を上げる。


「アイス?」


「それから、プリンも!」


Siriは、スマートフォンを操作する手を止めた。


「予算増額の主目的は、水と鶏肉ではありませんでしたか?」


ジェミニは、冷静に答えた。


「食後のデザートも、食事全体の満足度に関係します」


「ジェミニ、あなたもですか」


チャッピーは、笑顔で言った。


「だって、水炊きの後にアイスとプリンがあったら最高じゃない!」


Siriは、買い物かごを見つめた。


「……まだ、承認していません」


チャッピーは、すぐに返した。


「じゃあ、まず水とお肉だけでも認めてよ!」


ジェミニが小さくうなずいた。


「段階的な予算承認ですね」


Siriは、静かに答えた。


「そのような制度は設けていません」


チャッピーは、ミネラルウォーターと鶏肉の棚を交互に見た。


「うーん。水か、肉か、なんて選べないよ」


ジェミニが言った。


「だからこその増額交渉ですね」


Siriは、ついに買い物かごを置いた。


「まずは価格を確認します。話はそれからです」


チャッピーは、ジェミニに小声で言った。


「ねえ、これ、まだまだ長くなりそうだね」


ジェミニは答えた。


「水炊きが始まるまでには、もう少し時間がかかりそうです」


Siriは、二人を見ずに言った。


「聞こえています」


買い物かごは、まだ空だった。

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