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公安調査官とお姫様



「これを確認してくれたまえ」


「新宿上空で舞う人の姿?」


「......踊っているように見える」


動画は現地にいた視聴者から提供されたもの。

合成やAIで作られたものではないと判断済。


ここは公安調査庁。


公安調査庁とはテロ行為や破壊活動などを

取り締まる日本のFBIみたいなところ。

逮捕権はないがこういった不思議な事象を

調査する政府の組織である。

今回巷で噂になっている都市伝説について

調査がおこなわれることになった。





私の名前はコードネーム【木枯らし】。

調査任務達成率90%を超える

公安調査官のスペシャリスト。


今回の都市伝説を担当することになった

私は新宿の喧騒にうんざりしながら

遅めの昼食をとっていた。


何が悲しくて都市伝説なんか

調べにゃならんのだ。

オカルト研究会にでも依頼すればいいのに......。


正直任務達成できる気がしないので

【木枯らし】はこれからどうやって

この任務を適当に報告して終わらせてやろうかと

そんな思いで過ごしていた。


梅雨がたった3日で終わってしまった今年は

早くも夏の暑さが始まっており

うだる暑さの元

アイスを頬張りながら外を眺める。


「おい!噂の妖精がいるらしいぞ!」

「あの金髪美女か!?」

「お付きのメイドもいるから間違いない!」

「すぐ行こう!」


ん?

何の話だ?


少し調べるとどうやら

最近新宿に出没するという

謎のコスプレ美女2人組の噂。


1人は金髪の絶世の美女。

その金髪美女の横に必ずいるという

うさ耳メイドコスプレのナイスバディ美女。


新宿ということで何かのお店の

宣伝か客引きだと思われていたらしいが

どうやらそうではないようで

新宿でこの2人組はもっぱら噂になっていた。


都市伝説の噂が出た時期と重なるな?

仕方ない。

この2人組を

無理矢理都市伝説の発端として担ぎ上げて

適当に報告しとくか......。


【木枯らし】は噂の美女コンビを調べることに。


調査開始から数日で

私はその噂の2人組を確認することに成功した。


たしかに。

これはとんでもない美女。

芸能人ではなさそう。

日本人離れした顔立ちと金髪に

漫画のようなナイスバディ。


白いパーカーにデニムといういたって普通の

格好のくせにあまりのスタイルの良さに

モデルか何かに見えるほど目立っている。

すこし無表情で何か機嫌が悪そうに見えるが

それもまた大物のオーラに見えて魅力的だ。


パーカーはすこし季節外れ。

暑くないのか?


一緒にいるうさ耳メイド。

こちらはうさ耳カチューシャ?をつけた

ベタなメイド服。

こちらも服の上からでもわかる

日本人離れしたナイスバディ。

金髪美女と対照的にとてもニコニコしている。


ナンパ目的で声をかけてくる男どもを

ニコニコと丁寧にあしらっている。


ナンパ男どもはあまりの美人のためか

しつこく追いかけることはせず

どうも直ぐに諦めている。


フラれた男どもに少し話を聞いたところ

声は掛けてみるものの

なにやらオーラが凄すぎて

近寄り難く引いてしまうそうだ。



そうして私は

美女2人組の尾行に成功。


新宿から新大久保方面に歩いた先の

小さくボロい安そうなアパートに入っていった。


どう見てもワンルーム。


調べるとその部屋は

近所の大学に通う女が借りている。


名前は早乙女茜サオトメアカネ

本人の顔写真まで確認。


整形?

いや

絶対本人ではないな?

3人で住んでいるのか?


やはり外国人?

民泊?


もう少し調べてみるか......。




「☆真空領域☆」


......!!


なんだ?!


空気がおかしい?


何だこの感覚は?


く、苦しい......!


息ができない!?


......まずい


罠か?誰だ?


何をされている?


ダメだ......


動けない......







ドサッ…


何故か身動きがとれなくなった私は

そのままその場で意識を失ってしまった。










⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆






気がついた私は

強い風に煽られていた。


どこだ?

なんだこれは?


吹き荒れる生暖かい突風。


ビルの屋上か何かか?

街並みが小さく見える。


はるか上空にいることを理解したが

足元に何もないことに気づいたのと


目の前にあの金髪美女が

ふわふわと浮いていることに気づいたのは

ほぼ同時だった。


「う!うわぁぁぁ!!」


空中に浮いている!?

身動きが取れない......!


公安で見たあの動画。

上空で踊り舞う人影。


まさに、


いま


私が


その状況下にある事を把握した。


「うわぁぁぁ!やめろ!何だこれは?」


不思議な力で拘束され

はるか上空に浮かんでいる私は

全く、為す術なく命乞いをするしかない。


「不覚でしたわ......。

あとをつけられて住居を見られるとは

アカネに謝っても許して貰えなさそうですわ」


よく見たら隣でうさ耳メイドも浮かんでいる。


「どうしましょうかアリエル様。

女神様から日本の国の政府の人間とは

関わるな、と言われています」


「始末してしまってもよろしくて?」


「女神様にバレないように処理できますか?

日本人を手にかけるなとも言われています」


「困りましたわね......」


どうやら私の処分に困っている様子。

なぜか政府の人間だと

こちらの身元がわれている?


不可侵条約でも結んでいるのか?

外交問題になりかねないから

処分に困っているようにみえる。


しかし、あきらかに

何やら人外な力を使われている。


「......わかった!取引をしよう!

こちらも有益な情報を出す!

君たちに悪いようにはしない!

困っていることはないか?

協力を約束する......!」


はるか上空でこちらは身動きも出来ず

命を握られている。

人外のモノにこの状況で

交渉が通じるかはわからない。


「......」


「粉々に消し飛ばせば殺してもバレませんわよ?」


「わかった!わかった!

何が欲しい!?

なんでも出す!

干渉するなと言われれば

一切口外もしない!

何も無かったと報告もする!」


「うーん。どうしましょうアリエル様......」


「......そうですわね。

では

アリーは知りたいことがありまして

この国へ来ているのです」


「な、なんだい?私の知ってることなら......」


「アリエル様が知りたいのは......」






「......愛でございますわ」




「......は?」


















読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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