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梅雨とお姫様



【気象庁は東京関東地方が梅雨入りしたと発表

例年に比べて3日早い梅雨入りとなりました】


ジメジメムシムシしたみんなが嫌いな季節。




ここはアカネの通う大学___


「ちょっとアカネ!あんたGW何してたのよ?」


「え、普通にバイト三昧だけど......?」


「大学最後なんだからたまには付き合いなさいよ

そしてちゃんと返事もしな?」


「あ〜うん、ごめん、ちと色々バタバタしてて」


「就活してないんでしょ?

役者目指してオーディション受かるまで

フリーターするつもり?」


「卒業までには受かるわよ〜」


「現実見なさいよ?

あんた大学の演劇サークルでも

主演級張れたことすらないのに?」


「うるさいなぁ、諦めたら終わりだもん」


同じ演劇サークルのレイナはうちでいつも

主演級を演じていた同級生。

対して私はいつも脇役チョイ役だった。

すでに大手企業に就職も決まったレイナは


私を心配しているのか

呆れて見ているのか、

マウントをとりたいのか

真意はわからないが

いちいち絡んでくる。


「ああ。四季の彩り劇団だけは観に行ったよ〜」


「......まったく、ほんと演劇バカねあんた」


「......」


「悪いこと言わないわ。早く判断しなよ?」


「はいはい、ご忠告どーも!」


イライラしてきた私は席を立つ。


何も上手くいかない私は

これ以上レイナと居ると

醜い部分を晒してしまいそう。


そうとも。

ただの嫉妬だよ。

そして

このジメジメした梅雨のせい。

惨めになるだけだから

ほっといてちょうだい。



むしゃくしゃする。

帰ったらビール呑んでやる。









ただいま〜


お風呂からキャッキャと騒がしく

声が聞こえる。


あの二人またお風呂一緒に入ってるのか。

うさ耳メイドは姫様のお背中を流すのが

任務のひとつのようだ。

遊んでるようにしかみえないけどね。


冷蔵庫を開けて先日バイト先から貰った

ホルモンを焼いてツマミにする。


まだ女子大生だよ私。

疲れきったOLみたい。


缶ビールをくぴくぴ呑んでたら

お風呂から2人が出てくる。


「アカネ様!おかえりなさいませ♪」


「アカネ!ひとりで先に呑んでるなんて!

アリーにもよこしなさい!」


「嫌よ。あんたらお酒なんて10年早いわ」


あられも無い姿で暴れてる2人。


ぶるんぶるん揺れてる胸を見て

また私はイライラしてきた。


なんちゅうナイスバディしてやがるこの2人。

姫様どころかうさ耳メイドまで

とんでもないナイスバディなのだ。


私は顔も平凡。

線は細いけど

出るべきところは

大して出てくれず

主張の少ない残念体型。


「アカネ様お疲れ様です!

疲れてるようですね。

アリエル様へのマッサージが終わったら

アカネ様にもマッサージしますね♪」


このうさ耳メイドのマッサージはたしかに

気持ちいい。

お稽古で体も使う私にとっては

マッサージはわりかしありがたい。


「アカネ様の貧相な体は揉みがいがありませんが

私文句を言わず頑張ってマッサージしますね!」


「文句言ってんじゃねぇか!」


「クスクス」


「アカネほんとに調子悪そうですわね?

アリーに出来ることがあれば

してあげてもよくってよ?」


「あんたは私のことなんていいから

自分のことちゃんとしなさいよ〜......

あぁ......そうね、出来るならこの憂鬱な梅雨空を

吹き飛ばしてくれたら助かるわね」


「愛を知るためにも

アリエル様は

アカネ様のお役にたてればと

思っているのは嘘ではないのですよ?」


「お気持ちだけでいいわよ〜ありがとね♪」


うさ耳メイドのマッサージが終わったのと同時に

ふと、アリエルが居ないことに気づいた。


「マッサージありがとハルカ。あれ?アリーは?」


「え?アカネ様が梅雨を吹きとばせと

仰ったので行きましたよ?」


ん?


......。


え?


なんて?










新宿の上空に浮かぶ影。



「......あれは?なんだ?」


「何か飛んでる?」


「ドローン?」


「こんな新宿の真ん中でドローン飛ぶかよ?」


「人に見えないか?」


「まさか?」


「いや、なんか最近聞いたあの都市伝説!」


「え、新宿上空を飛ぶ未確認物体ってやつ?」


新宿の街は一気に騒ぎになる。


スマホで撮影しようとするもの。


声をかけようとするもの。


だがはるか上空にいるその影が

なんなのか理解できるものはいなかった。




「雨の多い地域というものはありますが

季節によって雨季が来るというのは

アリーの世界にはありませんでしたね。

テレビを見ててもアカネの体調をみても

この梅雨というものは悪の権化でしか

ありませんわね。


梅雨前線ばいうぜんせんさん......バイバイですわ♪」



そう


新宿上空にて


さらに空に向かって両手をかかげ


踊り舞い


魔法を使った


その金髪美女は

風の妖精の娘。


天候をも操る

風の妖精の娘。








翌朝ーーー



【なんと!梅雨が3日であけました!

今年の梅雨はたったの3日で終わりです!

異常気象としか言いようがありません!】


突然消えた梅雨前線に

ニュースは異常現象だと

大々的に報じている。



「え......まさか?アリーあなた......?」


「おーほっほっほ!アカネ!

感謝してくれても構いませんことよ?

みんな梅雨のこと大っ嫌いでしたでしょう?」








や、やりやがった......







梅雨を文字通り吹き飛ばした姫様......


新宿上空で踊る金髪美女の


都市伝説は加速する一方だった。















読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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