お出かけするお姫様
「ね、ねぇ、嘘でしょ?」
「アカネ様大丈夫です!」
「2人ともしっかり捕まってなさい♪」
左手にハルカ。右手にアカネ。
2人の手を取ったアリエルは
空高く舞い上がり恐ろしい速度で
新宿の空を飛び立った。
「うわぁぁぁぁ!!!」
この精霊姫の羽は本物。
あっという間に池袋に到着した私たち。
足が震えてその場でへたり込んでしまうアカネ。
「あら大丈夫アカネ?しっかりなさい?」
「ひいぃい......!」
「すぐ慣れますよアカネ様♪」
「無理無理無理!もう絶対飛ばないから!」
改めてこの精霊様は本物の異世界人なんだと
思い知らされてしまった。
GWということで
池袋でショッピングに行くところ
電車代をケチって歩こうと言ったら
アリエルが空を飛び出したのだ。
正直、二度とごめんである。
だいぶ日本にも慣れてきた2人だったので
連れて歩けると思っていたが甘かったみたい。
やはりこの2人は規格外......。
お買い物を楽しみながらも
話題はアリエルに課せられている
愛について。
「好きと愛はちがうのよ」
「ええええ!!??」
「んーとね、愛ってのも色々あって、
家族であったり、友達であったり、
恋人であったり......モノに対してでもある。
でも好きってのは
その人が欲しいとか自分の要望なのよね?
私の中での愛するというのは
自分のことよりも対象を大事に思えたら
愛だと思うの」
「はい!私はアリエル様を命に変えても
守ってみせます!これが!......愛!」
「従者が主を守るなんて当たり前でしてよ?」
「......ちがーう!」
「えええ!!!」
「そ、そんな......これが愛ではないだなんて......」
「アリーの教育をなぜ、自分の世界ではなく
わざわざこの日本にしたかってことよ。
女神や精霊、さらに王様の子としての立場。
現状みんなが愛してるのはその立場であって
アリー自身ではないの。
だから立場をなくすためにわざわざ日本で
勉強させるために来させたのだと思うよ?」
「むぅ......!」
「アリエル様がたとえ王女でなくても!
私はアリエル様についていきます!」
「ハルカのそれが本当ならば愛と言えるかもね。
ただ、実際は任務として来ている。
お気持ちだけではなく、それを何かしらで
証明できたらハルカの愛は立証できるかもだね」
「証明ですか......ううむ」
「つまり、私に愛されることを目標にするならば
私が自分よりアリーのことを大事にするほど
惚れさせなければいけない。
姫様とかって立場は無しで、あくまで
いち個人として、アリーを自分より大事に
思わせなきゃいけない」
「な、なるほど......それは難しいですわね......」
「さらに!愛するというならば!
アリーは自分のことをさしおいてでも、
私を助けたりしなきゃいけないってことよ」
「えええ!!!」
「まぁ見返りを求めないこと。
愛とは無償であること。
自分より大事に思える存在をみつけること。
そんな感じで課題クリアだと思うわ?」
「アカネ様!なるほどです!これは難題!」
「......アカネあなた......なかなかやるわね?」
「私を惚れさせたら課題クリアになるからって
スキンシップをとって惚れされるってのは
結局自分の課題クリアのための所業で
自分より相手を大事になんてしてないのよ。
だから、そんなんじゃ
愛を知ることはできないってこと。」
「むむむ!難しい!!!」
「アカネ様が言ってることは理解できます。
しかし、それらを立証するとまで行くと
かなり難しい課題ですね......」
「そういうこと!人間を見下して
ざーこざーこ言ってるようじゃ全然ダメね」
「私の得た【にほんのちしき】では
メスガキはざーこざーこ♡というものだと......」
「せっかく、あんなに練習しましたのに......
ざーこざーこ♡」
「......おい待て?
その日本の知識教えたやつどんなやつよ?
かなり癖がすごいよ?
女神様じゃないの?」
「......え、いや、実際に私ににほんのちしきを
教えてくれたのは水の精霊様でして、
水の精霊様は【全てを知るもの】という
異名もあるとても素晴らしい
なーんでも知ってる
異世界のことも詳しいお方なのです」
「......だいぶ怪しいな?
そもそもメスガキと
認識してる時点からおかしい」
「日本では5歳は子供。そしてアリエル様は
絶世の美女。子供の女のことを
メスガキと呼び、メスガキは人間を見ると
ざーこざーこ♡と言って煽るものであると......」
「その精霊連れてこい、シバキ倒してやる」
「え〜!!違うのですかぁぁ!?」
「いや違わないけど!でも違うの〜!!」
「そ、そんなぁ......」
「え、でも、アカネ様が水の精霊様より
正しいとは限らないのでは......?」
「いや、その精霊だいぶ拗らせてる
気がするけど......
この件に関しては私の主張を信じて
間違いないわよ......」
「まぁたしかに......テレビでの情報を見る限り
少し違和感はありましたわ......」
子供に無償の愛を教える。
変な拗らせ知識までついている。
なかなか前途多難なようだが
なんとなく女神様?とやらの意図は
わかったつもり。
「1年という時間制限をしているのも
この日本に送ったのも
ちゃんと意味があると思う。
大変だろうけどアリーは自分で動いて考えて
課題をクリアしないとね。
産まれたてのお世話だけする従者をつけた理由も
アリーを必要以上に手助けしないためだろうし」
「......アカネ。あなたやはり賢いですわね?
アリーの従者にしてあげたくなってきましたわ」
「......なんでよ。
逆に私はアリーたちの
日本での親代わりだと思うよ。
私に伝えられることは伝えるけど
実際アリー自身が納得理解できないと
いけない課題だからね。
まぁいきなりは無理よ。
ゆっくり1年かけて勉強してみたら?」
「ええ。わかりましたわ。アカネ。
よろしくお願いしましてよ」
「アカネ様!ありがとうございます!」
なんとか方向性だけは見えたかな?
まったく私は今、人のお世話なんて
してる場合じゃないのに......
私のこれは愛ではない
完全にただのお人好し......。
これでオーディション落ちてりゃ笑えないわ。
気づくと周りには人だかりが
「芸能人......?誰あれ?」
「とんでもない美女がいるぞ......?」
アリエルの容姿に魅了された
人たちがぞろぞろと集まりだしていた。
うん。この子見た目が別格すぎる。
「アリー。勝手に人間がアリーの見た目に
魅了されているのは今のアリーにとっては
あまり意味が無い流れだから離れるよ!」
「おーほっほっほ♪
アリーは魅力的すぎて困りますわ」
「さすがアリエル様です♪」
「はいはい、行くよ」
いちばんの目的だった
アカネの第1希望就職先でもある
ミュージカル【四季の彩り劇団】の公演を
3人で観たあと帰宅。
私が幼い頃観たミュージカルでもある。
私が心奪われたものを観てもらい
何かしら感じ取ってくれたらいいんだけど......。
しかし
世間では
池袋と新宿で見かけた
金髪の絶世の美女の噂と
新宿上空を
ものすごい速度で飛ぶ未確認飛行物体が
都市伝説となりはじめていた。
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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