愛を知りたいお姫様
変な異世界のお姫様と
そのお付きのうさ耳メイドが
我が部屋に居候を始めて約1ヶ月。
すっかり世間知らずの子供の
保護者となってしまった私。
お姫様の課題は
愛を知り
四季の彩りを経て時間の大切さと
命の尊さを学ぶこと。
期限は1年。
異世界で産まれてずっと溺愛されまくってきた
ただの勘違いお姫様だと思ったけど
このお姫様は人間の王様と風の妖精の間に
産まれた異世界の中でも
次の世界の女王となる至高の生物。
テレビを観て
日本の常識を知り
ドラマやアニメを観て
愛の勉強をしている。
地頭はかなり良いようで
情報をどんどん吸収しているのはあきらか。
「私のお姉ちゃん達はうさぎの獣人で
バニーガールダンサーズという踊り子達です。
私は産まれてすぐアリエル様の
お付きになったのでやってはいませんが」
「そしてそのバニーガールダンサーズを
引き連れ世界の歌姫として
世界中に感動を届けていたのが
アリーのお母様なのでしてよ♪」
「へぇ♪とても素敵なお母様なのね」
「世界中の憧れの歌姫でしたわ♪」
どうやらお母様は異世界のアイドルらしい。
たしかにこのお姫様は
めちゃくちゃ美声だし
うさ耳メイドも歌番組を見て
タレントの物真似ダンスをしていたが
相当上手かった。
私は一応ミュージカル舞台女優志望なので
歌もダンスもそれなりにお稽古はしている。
その私の目から見ても
この2人の歌と踊りは素晴らしかった。
「アカネの志望のミュージカルというのは
とても素敵ですわね。演劇と歌と踊りの融合。
アリーの国ではなかったものです。」
「アリエル様。国へ帰ったらこの
ミュージカルというモノ広めてみると
いいかもしれないですね!」
知識よりこういう感覚というか
センスや感性みたいなモノの方が
彼女達には向いているんだろうな。
でも保護者として教育はしてあげなきゃ。
どうみても子供なんだもの。
「アカネは男はいませんの?ドラマやアニメを
観ていると日本人の女はすぐ男に
おしりを振る下品な恋愛脳ばかりですわ?」
「うーん。言いたいことはわかるけどね
私は役者になりたくて今は恋愛している
余裕がないだけよ〜」
「嘘ですねアカネ様はモテないだけです」
「おーほっほっほ♪」
「......くっ!こいつら!」
「このラップ?という音楽は
アリーの国にはない
吟遊詩人と歌の融合みたいで
とても面白いですわ!」
するとうさ耳メイドが突然リズムをとりだした。
「ぶんぶんちゃ♪ぶんぶんちゃ♪」
歌い出すアリエル。
「モテないアカネ♪
持ってないオカネ♪
売れない役者じゃ仕方がネエ♪
浮かねえ顔も見かねていかね?
センスもねえのに引かねえ聞かねえ♪
ツッコミ役しか生きる道がネエ?
ざーこざこ♡だから仕方がネエ♪
ちぇけらぁ♪」
「うるせぇえええ!!!」
めっちゃウザい煽りラップをかましてくる......
でも
そう、こいつら上手いんです。
それがまたムカつく......。
「最高ですアリエル様〜ちぇけらぁ♪」
「YO♪YO♪ちぇけらっちょ♪」
「アカネはもっと楽しく生きればいいですわ
いつも眉間にシワがよっていましてよ?」
「美味しいもの食べて歌って踊ればいいのです♪」
「......そんなお気楽に生きていけないのよ人間は」
モヤモヤする。
なんだかこの2人を見てると
自分の人生を否定されかねない。
最高の才能を持って生まれたお姫様が
愛を知る勉強?
センスも何もない私がこの2人に
何かを伝え教えることが出来るのだろうか?
「おーほっほっほ♪アカネは
アリーと居れて幸せですわね♪」
「......はい?なんで?」
「だって、アリーのこと大好きでしょう?」
「は?はぁぁぁ!?ちょ、何言ってんの?」
「正直になりなさいな♪おーほっほっほ♪」
取り乱してしまう私。
「アリエル様は全生物から愛される志向の存在
愛して当然ですよアカネ様!」
......む?
「アリーのそばに仕えれることを
誇りに思いなさい♪」
......。
ムカつくな?
「......アリー。あなた異世界じゃお姫様で
立場もあるし、そりゃ容姿も綺麗で
人気なんだろうけどさ、
私、アリーのこと嫌いよ?」
「......え?」
「え?」
「キライ?」
「うん。嫌い」
「......ええええええええ!!!???」
「アリエル様のことが嫌い!!??」
「うん。嫌い」
「ど、どういうことですの!?
アリー、嫌いなんて初めて言われましたわ!?
ハルカ!ハルカ!どういうことですの!!」
「わかりません!不敬罪で殺すしかありません!」
「嫌いいいい?!!!ぎゃあああ!!!」
面白いくらい動揺し始めた姫様。
いやほんとに面白いな。
「いや、日本じゃアリーのことなんて
みんな知らないし......押しかけられて
タダ飯食ってるだけだし......
そりゃそうでしょ」
「はぎゃぁぁぁぁあ!!」
「アリエル様!お気を確かにいぃぃ!」
くくく。
やり返してやったぜ♪
やっと落ち着いた2人。
「残念ですがアカネ様殺しますね」
「ま、待ちなさいハルカ」
「不敬罪です」
「......いえ、アリーはわかったかもしれません」
「......!?」
「女神様からの愛を知りなさいとは
アリーが誰かを愛することだと
ばかり思っていましたが、
どうやらこの日本では違うようです。
つまりアリーがアカネに愛されるような
存在になることが今回の課題なのでは!?」
「......ぉお!そうでしたか!」
お?いい感じに勘違いしてくれたような?
「そもそも愛が何かわかってないでしょ?」
「アカネは知っているのですか!?」
「......え!?ええ、も、もちろんよ!」
あ、愛ね?う......うん、わかると思う......
「わかりましたわ!アリーはアカネに
愛されるようになってみせますわ!」
「私はアリエル様を愛しています!ふおお!」
何やら好転したようなしてないような?
まぁいっか。
「正直私には精霊の気持ちも、お姫様の立場も
不老不死の感覚もわからないけれど
課題クリアのお手伝いはできるかもだね」
「よくってよ!アカネ!
惚れさせてゾッコンラブにしてあげますから
覚悟しなさい?おーほっほっほ♪」
そう言ってアリエルは私に抱きついてきた。
「おわぁ!何するの!?」
「......ふふ。アリーに抱きつかれて
喜ばない生物などいませんわ。
嬉しいでしょう?好きになるでしょう?」
「ばかぁぁぁ!ちがーーーーう!!!」
「ええええええええ!!??
違いますのぉぉおぉぉ??」
「ふおお!!」
まったく......
アリエルが本当に愛を知れるのは
一体いつになるやら......
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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