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バイトを探すお姫様



「ご、5歳!?」


「ええ。アリーは産まれてから5年ですわ。

むしろ2年で体の成長は終わっておりますの」


「もちろん我が国でもアリエル様は別格の存在!

全てを統べる世界の女王となられるお方です!」


「そ、そうなのね......ハルカは?」


「私は今回の日本での勉強のために

女神様によって産まれた存在で

うさぎの獣人と春の精霊が融合されてます!

産まれて3日目です!はっはっは!」


「3日!!??産まれたてじゃん!!」


「......アカネ。お前の中のちっぽけな常識で

アリー達をはかるのはやめた方がいいですわ」


「いやぁ、むしろよくわかったよ......

体だけ大人のクソガキ共だってことがね......」


「アカネ様!その発言はさすがに失礼です!」


「うるせえ!勝手に居座りやがって!

夜は私バイト行くから!

絶対大人しくしててよね?」


「アカネはすぐ怒る......

気が短いですわねぇ......

早く大人になりなさいな?」


「......!くっ!わざと言ってるでしょ!」


「おーほっほっほ♪」


「アリエル様さすが!

皮肉たっぷりの完璧な返しです!」


「......あぁもう!」


勝手に居座ったこの異世界から来た

お子様2人を追い出すこともできず

私は忙しい日々を過ごしていた。


昼は学校

夜はバイト

合間をぬって役者のオーディション


学校にはそろそろあまり行かなくても良くなるが

その分役者としての稽古もしなきゃいけない。

就職活動なんてもう......。


私の家でテレビを観て

この日本の知識や常識を

早く覚えようとはしてくれているようだが

なんかどうもズレてるんだよね......


「せめて自分達のご飯代くらい稼いでよね」


「そうですわ早く稼いできなさいハルカ」


「明日日雇いバイト?

というものに行ってきます!

アリエル様に美味しいお肉を沢山

食べていただけるように稼いできますよ♪」


姫様も働けよと言いたいところをぐっと我慢して

私はバイト先の焼肉屋へ向かう。

2人とも肉好きらしいので

なんだか焼肉屋で働いていることを

言わない方がいい気がしたので内緒にしている。


身分証無しで働けるバイトなど

ロクなものがないだろうけど

私のバイト代だけで3人食べていくのは

さすがに大変。


この2人12時間位寝るので寝てる間だけは

大人しいのでそれだけは助かっている。

あ、そうか子供だからたくさん寝るのか......。








バイトを終わって帰り道。

飲食店のバイトは賄いがあるのがいいのよね。

おかげで家で何も食べなくても生きていける。

たまに賞味期限切れの余ったお肉もくれるので

貧乏学生にはほんとありがたい話だ。


ピロン♪

スマホがなる。


【GW演劇サークルのみんなで旅行に行くよ!

どこか空けて!】


うーん......


演劇サークルの皆だけは良くしてくれている

のだけど現状じゃ旅行代を捻出できそうもない。


GWはバイト漬けだろうな......

断るしかないか......


あぁっ......ほんと厄介な者達を

引き取ってしまったなぁ。




家に着いた私。

2人はこの時間はもう寝ている。


あれ?

いない?


2人が居ない。


夜21時にはぐーすか寝るのに

今日は家にすら居ない。

現在23時。


どこかいい寝床確保したのかな?

まぁ出ていったのなら

それはそれでいいか......。


住み込みで働けるところ?

それとも何か別の用事?


んー......


まぁいっか......


......











......もう!!










気づけば私は家の周りを

ランニングのフリをして

走り回っていた。


「......アリー!......ハルカ〜!」


あたりをぐるっと

一周するが

2人の姿は見えない。


「はぁ......はぁ......」


......もういいじゃん。

あんな変なやつら。


私が面倒見る必要なんて何もないんだし

なんか魔法使えるみたいだから

きっと私なんかの想像できない方法で

なんとかするだろう。


......そう。


彼女は勉強のために来たと言っていた。

異世界では

きっとちやほやされすぎて

なんでもしてもらって

甘やかされて生きていくだけで

成長できないからこの世界に来たのだ。


お金を渡されなかったのも

自分たちで何とかしろって意味なのかも


じゃぁ私が面倒見るのも

お門違いってことよね。

宿無し無一文の状況を打破せよという

課題なのかもしれないし。


うん。


もういいか。


うん。


帰ろう。



















もう深夜2時を回っていた。


「......アリー!......ハルカー!」


......何やってるんだろ私。


「......もうバカ〜!どこ行ったのよ〜!!」


隣町を越え、

ついに私は

諦めて

家に戻ることにした。



なぜか涙が止まらなくなった。


ほんと


何やってるんだろ私......。


バカは私だ。


何の意味もないことに


ただ迷惑をかけられただけの


変な2人を


こんな夜中まで探して徘徊して


何をしているんだろう。







2人と最初に出逢った公園に

さしかかったところ


私の家の部屋の灯りがついていることに気づく。


「......あ!!」


帰ってきてる!


私は涙をふき


部屋に帰る。


「どこ行ってたのよ!」


そこには誰もいなかった。


あれ......?


......



電気つけっぱなしで


出ちゃったのかな......


また溢れる涙


「......ぐすん」


なんだかとても

やるせない悲しい気持ちを

抑えることができず

私は部屋の中で

座り込んでしまった。


夢だったのかな?

現実味を帯びないあの2人は

私の妄想か何かだったのかも......。




「どうしましたのアカネ?

なぜ泣いているのです?」

「アカネ様ただいまです!」


え!


振り返ると何やら


薄汚れた服を着た


2人の姿。


「......なにそのかっこ?

どこ行ってたのよ〜!」


「警備員?という夜のバイトの募集を見たので

アリエル様と行ってきていたのです!

立っているだけでいいという

簡単なお仕事だったのです!」


「警備のバイト〜?」


「見てごらんなさいアカネ。

今日で1万円稼ぎましたのよ♪」


「これでアカネ様にお返しができます!」


「......もう......」


私は悔しくも涙を止めることができず


「......勝手に居なくなったら

心配するでしょ〜バカ〜!!

ちゃんと書き置きくらいしなさいよ〜」


「あらあら」


「アカネ様......」


泣き止まない私を2人は

困り顔で見たあと


頭を撫でてきた。


「次からは書き置きしますわねアカネ」


「アカネ様よしよし......」






振り回されてばっかり。


なーんにもいい事ない。


けど


でも


なぜか


ほっとけないよ。


私を突き動かすこの感情が何なのか


まったくわからないけれど


私は2人に


こう告げた。


「GWに3人で出かけるよ......!

日本をちゃんと案内するから!」


「アカネ良い心がけですわ!」

「アカネ様日本を冒険ですね!」





もしかしたら


現実逃避なのかもしれない。


何も上手くいっていなかった私が


何かをしようと


何かを変えようと


1歩踏み出した


ただそれだけだったのかもしれない





深い意味はなかった。


この時の私は


ただこの新しい


不思議な出逢いで


何かが変わるんじゃないかって


少しだけ


そう思ってしまっただけなのです......


















読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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