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居候するお姫様



ーーーここは日本ではない遠い異世界


この世界を統べる女神様のお力により

人、精霊、魔物までもが仲良く暮らす

そんな素敵で平和な世界。


この国で新しく生まれた

王様と風の精霊の娘は

王女としてそれはそれは

とても溺愛されて育ちました。


産まれてからたったの2年ですくすくと成長し

成人(この世界では15歳)してしまい只今5歳。


本来まだまだ子供の年齢でありながら

すでに王女の風格を現しだしたこの娘は


最強の風の精霊魔法を操り、

不老不死の肉体を手に入れ

圧倒的な容姿美貌で民を魅了し

至高の生物として君臨していたのであります。


ですが、まだまだ本来は子供のお年頃。

すこ〜しばかり性格に難があるようで......。






「姫様!姫様!アリエル姫様〜!!」


「国王陛下!また姫様が!!」


「......また勝手に出かけておるのか!?」


「はい〜また聖地の王妃様の所かと......

とてもじゃないですが手に負えません......」


「仕方ないなアリエルたん♡

気が向いたら帰ってくるよ♪」


「陛下〜甘やかしすぎです〜!!」


王様は娘にメロメロのようです。







ここはお城から少し離れた所にある聖地。


女神様とそれに仕える四大精霊様がいる所。


火、水、土、風の四大精霊のうち、

風の精霊がこの姫様のお母様です。


「お母様!お母様!お腹がすきましたわ!」


「アリー?またお城抜け出してきたのね?」


「だって!聖地のお食事の方が

美味しいのですもの!」


「ふふふ♪アリーは土の精霊が運営している

カフェのご飯がお気に入りなのね」


「お母様と一緒に食べたいですわ!」


「はいはい♪わかりましたよ

全くアリーは甘えん坊なんですから」


わがまま放題の姫様を抑えられるのは

母である風の精霊か女神様しかおらず

まわりのみんなは苦笑いするしかないようです。


そんなアリエル姫はあまりの己の

優秀さのせいで、人や魔物のことを見下しており

この世界では皆が平等であるという

女神様の教えが伝わらないでいたのです。


そこで女神様は早くも手を打つことにしました。


「アリエルに旅をさせましょう」


このままではアリエル姫は

この国の新しい女王として

聖地の未来の希望として

民の期待に応えれない

よくない君主になってしまいかねない。


まだ若いうちに考え方を

改めさせる必要があると判断されました。


女神様からアリエル姫様への課題は

異世界へ行き


愛を知り

四季の彩りを経て時間の大切さと

命の尊さを知ること。


期限は1年。

来年の春。

桜が咲くまで。


女神様は土の精霊のカフェの

うさぎのメイドの1人に

春の精霊様を融合させ

姫様のお供にすることにしました。


新しく産まれたこの

うさぎの獣人と春の精霊が融合した者は

ハルカという名を与えられ

土の精霊からメイドとしての作業を。

火の精霊から従者としての心構えを。

水の精霊から向かう異世界の知識を。


それぞれ授かり

姫様と共に旅に出ることになったのであります。


「ハルカ。貴女の任務は1年。

アリエル姫のことを頼みましたよ。」


「かしこまりました!女神様!」


「アリー。しっかり学んでくるのですよ」


「お母様!アリーにかかればこんなもの

楽勝でしてよ!1年なんてあっという間!

気楽にお待ちくださいですわ♪」


永遠の命を持つこの姫様からすれば

1年などあっという間でございます。

しかし、そんな姫様だからこそ

時間や命というものの価値を理解し

愛を知るための勉強の旅なのです。

はたして姫様は見事課題を

クリアすることができるのでしょうか......?




こうして、


異世界の精霊姫アリエルと


そのお供のハルカは



日本という異世界へとやって来たのでした。












⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆









「......はぁ、やっと片付け終わったわぁ」


今朝、桜の木で埋め尽くされたこの部屋は

やっとのことで片付け終わり、

アカネは安堵の紅茶タイムについていた。


桜の木はなんとか消してもらい、

破壊された家電を買い替え、

世話になったなじゃあなと

偉そうな態度は一切変えず出ていった

自称異世界から来た

お姫様とお付きのメイドうさぎ。


何だったのかしらあの二人。

本当に部屋の中に桜を咲かせたりして

この世界の者ではないのは明らかだった。

無駄な冷蔵庫の買い替えという出費を

弁償する素振りもみせなかったのは

少し腹が立ったが、正直これ以上

かかわり合いになる方が危険な気がしたので

もう、突っ込むことはやめて

笑顔で見送ることにしたのだ。





早くに親を亡くした私は

祖母に育てられ、その祖母も私が

大学生になる頃には他界。


私は幼い頃、両親に連れて行ってもらった

舞台ミュージカルを観て

役者になる夢をずっと追いかけて今に至る。


両親も祖母も私が役者になるという夢を

ずっと応援してくれた。


それは何もない私に残された

唯一の私と家族の夢。


やっぱり諦めたくない。

祖母から貰った貯金も底を尽き

オーディションもことごとく落選。


私の心は折れかけていたが

もうひと踏ん張り

やってみようと思う......。だって


きっとここで諦めたら

両親も、祖母も悲しむ。


きっと、諦めるなって

応援してくれる。


大学卒業まであと1年......。

頑張ってみよう。


よし!

気合いを入れ直した私は

立ち上がり

夜にやっている

アルバイトへ行く準備を始めた。



バターン!!


突然開く私の部屋の入口のドア。


「ちょっとアカネ〜!!

一体なんですの身分証って!!?

身分証がないと家を借りれないって

言われましたのよ!!」


「アカネ様!身分証を作るために

家が必要だと言われました!

意味がわかりません!詰みです!

助けてくださいっ!!」


ズカズカと部屋に上がり込んできて

なんの遠慮もなく買い換えたばかりの

冷蔵庫を勝手に開けて

紅茶とお菓子を広げだした

自称異世界の姫様とメイド。


「......」


「アカネ様!お紅茶がもうあまりないです!

買っておいてください!アリエル様は

お紅茶がないと機嫌が悪くなります!」


「ちょっとアカネ!?早くこのテレビ?

というのをまた見せなさい!

この世界の情報を得るのですわ!」


「......」


「アリエル様お紅茶です〜♪

この硬いせんべいというまずいお菓子しか

ありませんがお許しください〜」


「よくってよハルカ!明日には

美味しいスイーツを用意しなさい!」


「......」


「アカネ様?どうしましたか?」


「アカネ?早くテレビをつけなさい?

バリボリ......!ムシャムシャ......!」



「......」


「......?」


「......?」












「うるせえええええ!出ていけ〜〜!!!!」


ぎゃあああ!

キャアアア!







はぁ......


まったく......


これからの


私の学生生活......


一体


ど〜なっちゃうの〜!?




















読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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