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ワガママなお姫様


「よし、今一度確認をしよう。アリエル姫よ。

そなたの今回の課題、目的はなんじゃ?」


猫神バステトと私たちの

話し合いは続いていた。


ハルカの犠牲のもとに帰ることに

納得できないアリエルは

自分の世界へ帰ることを拒否している。


「まず、課題は、愛を知り、四季の彩りを経て

時間の大切さと命の尊さを学ぶことですわ」


「......うむ。では、なんのために

その課題を女神より与えられておるのだ」


「そ、それは......アリーが世界を統べる

女王となるためですわ」


「......うむ。お主の世界には人もいれば魔物も、

食材としての家畜、そなたの嫌いな虫ケラも

あらゆる生物が存在しておる。

全ての命を平等に扱えというのが女神の教え。」


「......ええ。女神様の教えは

とても素晴らしいですわ......

今となってはそれがよくわかります」


「しかし、吾輩やお主ら精霊を除けば

命は限りあるもの。アリエル姫は今回、

そのことをよく理解したはずじゃ。」


「......」


ハルカと私を守るように立つアリエル。


「ここで、そなたが自分の世界へ帰らない、

自分の治める国の民全てを捨てて、

この日本へ残る選択は正しいと思うか?」


「それは、本末転倒ですわ......」


「では、そのうさぎの代わりに

この日本に住む民の命を差し出すか?」


「それも......ダメですわ」


「そうじゃな。では、改めて問おう。

アリエル姫よ。そなたは何を犠牲にして

全ての民を守るのだ......!」


「......!」


本当に欲しいものを手に入れるためには

時として全てをかける覚悟が必要になる......。


「酷いわ!そんな選択いきなりさせるなんて!

アリーが可愛そうよ!」


「......アカネ」


「アカネ様......」


「アカネよ。アリエル姫は至高の存在。

世界の王となる器じゃ。民は姫のことを

次期女王として、見ておる。

生物の頂点に立つ存在として

生物全てに、道を示さねばならぬ。

それが......王としての責務なのだ!」


「そんな......アリーはまだ子供よ......」


「......アカネ。ありがとう。大丈夫ですわ......」


「アリー......」


「さぁ!アリエル姫よ!答えよ!

次期女王として!如何に判断をする!」


「......アリーは日本で過ごして

よくわかったことがありますわ......。

人にはそれぞれ役割があります。

演技や配信で人に夢を与える者。

メインキャストと、サブキャスト。

支える者と支えられる者。

アリーは才能のある者で王として民を導くもの。

自分の役割をまっとうするべきですわ」


「......アリエル様......」


「......アリー」


「......アリーは誰の命も犠牲にはしません。

かけるのは、己の命と覚悟のみでございます!」


「王が命を落としては本末転倒。

それは結局民を見捨てることになるぞ!」


「......いいえ。なりません。

アリーのこの類まれなる才能は!

それらを全て守るためのみに

使うのですから......!」


「魔物1匹のために!己の命をかけるのか!

不老不死の至高の生物であるそなたの命は!

虫ケラ1匹の命を守るために捨てれる程度の

価値なのか!アリエル姫よ!」


「アリーは!自分自身の命も!

犠牲にはしません!私の命も!

みんなが愛するべき命だからです!」


......自分も含めて全てを守る。

自分が居なくなれば悲しむ存在がいること。

愛することと愛されることを

同時に理解できたからこそ

本当の意味で愛を知ることになりえるのだ。


「私の愛する民を守り!

私を愛する民のために!

この永遠の命を使うことを誓いますわ!」


理屈じゃない。


至高の生物。

不老不死の精霊姫は

出逢った時から変わらないワガママなお姫様。


そう。


ワガママを貫き通すことで

この課題を本当の意味で

超えていくのだ。


「アリエル様!」


「アリー!」


私とハルカはアリエルを抱きしめ離さない。


黒猫はやれやれといった表情をみせ

ニヤリと笑った。


「仕方ないのう。吾輩の負けじゃ。

......なんとかしてやろう」


「......!」


「猫!」


「猫ちゃん!」


「アリエル姫よ。お主の魔力も借りるぞ。」


「......猫!全て使って構いませんわ!」


「......そうじゃな。

消滅しないものを媒介にする。

但し、アリエル姫の膨大な魔力を使う。

二度とやらんぞ。こんなこと。」


「......どうするのです?」


「......アカネよ。

お主、茜というのは秋の季節の花じゃな?」


「......え!私!?」


「......うむ。

お主、秋の精霊の加護を授かっておる」


「......え?なにそれ?」


「何と言われてもわからんが

元々、産まれた時から加護を授かっておる。」


「か、加護って......?」


「秋の精霊がお主をずっと守っておる。

名を付けた時に両親の

想いがそういう形で宿るのじゃ。

日本的に言うと......そうじゃな。

守護霊みたいなもんじゃ。」


「......守護霊?」


「ああ。吾輩は神の使い。

死んだ後のあの世にも行き来ができるでの。

霊体の存在もわかるのじゃ。」


「茜という名前を授かった時点で

秋の精霊の加護がついておる。そして

これはお主の両親と祖母じゃな。

お主をずっと、見守っておる」


「......!」


「......使うのはお主についている

秋の精霊の加護と守護霊じゃ。

それらとアリエルの魔力、

あとうさぎについている春の精霊を使って

この転移を成功させる」


「......そんな事ができるのですか!?」


「初めての試みじゃ?

しかしそこのワガママ姫が、

そうでもせんと納得せんからの。

お前ら全員で協力しろよ?」


「......!」


「......猫!失敗したら許しませんよ!」


「無茶言いよるわい......この次期女王は......」


「......ハルカ。貴女のことは必ず守ります」


「アリエル様......!!うわぁぁぁん」


「アカネ。あなたの秋の加護使いますわよ」


......そうか。


私にこの茜という名前を付けてくれた時点で

私は護られていたのね。


お父さん、お母さん、そしておばあちゃん。


ずっと、そばにいてくれたのね......。


私は


独りじゃなかったんだ。


ありがとう。


そして愛する人を守るために


今もずっと居てくれたんだね......。



私は大きく息を吸い


愛する人達に向かって答えた。




「ええ。愛するあなた達のために......。

私を愛してくれる人のために......

私も持っている全ての力を使うわ」


「アカネ。......愛してますわ」


「うわぁぁぁん......!」


「アリー。ハルカ。ありがとう。愛してる」










愛は奇跡を呼ぶ。


愛は全てを包み込む。


愛こそ


永遠に変わらない


唯一の至高の存在だと


私は


今なら信じれる








「ありがとう。......みんなを愛してる」






その小さなアパートの一室を


とても大きな


愛のある光が


優しく包み込み


アリエルは異世界へ


帰ることに


成功しました











読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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