表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
22/33

オーディションとお姫様


1次審査は歌とダンス。


2次審査で、演技を披露。


【歌もダンスも上手いんだけどね〜

どうも君の演技は魂が乗ってないというか、

人に届いていないというか......】


いつぞやのオーディションで

言われた評価の言葉。


私はこの時、この意味をまるで

理解できていなかった。


演技に差が無ければ私より可愛い美人に決める。


そんなことは当たり前のことで

そう言わないだけ。

私は演技で劣っていると認めたくはなく、

負けたのはビジュアルなんだ。

だから仕方がないんだ。


自分の中でそういうことだと決めつけていた。


私は自ら成長を止めてしまっていたのです。


役者の道は


成功ではなく成長すること。


今ならよくわかる。


私に足りなかったのは


覚悟なんだ。


愛する両親や祖母を失ってしまった私。


愛してもまた失ってしまうその恐怖。


トラウマになっているのだろう。


こんな悲しい思いをするなら


最初から愛さなければいい。


壁を作っていたのは


私自身なんだ。


私はまたアリエルという

愛するべき存在と出逢えた。


でもなかなか踏み込めなかった。


だって、1年の期間限定。


愛してしまったら


また、お別れが来るのだ。


演技も同じ。


この役は今だけ。


終わればもうこの役とはお別れになる。


どうせ時がくれば


別れが来るのだ。


だから私は愛することに


臆病になってしまっていた。





違うよね。


アリエル達と共に過ごして


私は何を得た?


私が愛を教える?


とんでもない。


教えられたのは私のほうだ。






仮に


もし、仮に。


アカネ、お前は。


両親や祖母と逢えなくなると


事前にわかっていたとしたら


わかれることになるからと


愛することをやめたのか?


どうせわかれるからと


愛さないことを選択したのか?





......そんな事あるわけがない!


むしろ


全力で愛したはずだ!


今できる最大限の愛を


両親と祖母に伝えたはずだ!





今の自分はなんだ?


また失うのが


わかれるのが怖いから


愛さない?


なんと愚かな行為をしていたのか。


全てを投げ打つ覚悟を決めろ。


悪いのはアリエルじゃない。


彼女を泣かせてしまったのは私だ。


私が、


クリスマスの約束を


破ってまでこのオーディションを選んだのだ。


先に彼女を傷つけたのは私。


私は彼女が悲しむとわかっていた。


嫌われてしまうかもしれない。


関係が終わってしまうかもしれない。


本気で何かを得たいのならば


全てを投げ打ってでも取り組む覚悟を決めろ!




そう。


その覚悟を持って


このオーディションを選んだんだ。



私にとっての愛を


この演技という名の愛を


全力で伝えるために......!







ワアアア!!


1次審査突破者は!


8番!キララさん!


......


72番!レイナさん!


73番!アカネさん!


歌とダンスの1次審査が終了。


100人いた応募者はすでに

残りたったの6人まで絞られていた。





「アカネ!やるじゃない!気合い入ってたわね!」


「......へへ。負けないよレイナ!」


「......にしても、アレは......

ちょっとレベルが違うわね......」


間違いなくトップで1次審査を突破したのは

三千院キララ。


すでに芸能界の一線で活躍してきた彼女。


くぐり抜けてきた修羅場が違う。


負けてはいない。


私自身も最高のパフォーマンスができている。


でも


勝てるイメージがわかない。


アレにどうすれば勝てるんだ......!







「どうですか宮本先生。」


「ん〜3人いい子が居るね〜?」


「やはり三千院キララですか?」


「そうだね。すでに実績もある。」


「他のふたりとは?」


「この同じ大学の2人かな?」


「なるほどです!72番と73番ですね〜」


「サブキャスト合格は

この3人の中から2人だね......」


「では行きましょう2次審査!」












第2審査はこのサブキャストの

セリフと演技の披露。


キララの演技を先に見てしまう。


すごい......


このサブキャスト自身がまるで

キララに乗り移ったかのような見事な演技。

憑依型と呼べるその演技は

圧倒的な存在感と衝撃を審査員に与えた。


勝てない......!


やはりアレに勝てるイメージがわかない。


落ち着け。


落ち着くんだ。


周りに流されちゃダメ。


答えは


外じゃない。


愛の答えとは


常に自分の中にあるんだ......!


私の原点は


そう


【アニー】


私の答えは


アニーにある。








【脇役が得意でしょう?】






レイナの言葉が浮かぶ。



脇役......?


なんだ?


私は脇役担当?


誰が決めたんだっけ?


私が


憧れたのは


脇役?



アニーは



脇役?



いや、



私が憧れたのは




脇役なんかじゃない



アニーだよ!!



どこかで私は自分の力を脇役に合わせて

演技していたような気がする。


それはきっと自分自身を守る言い訳。


負け惜しみの言い訳。


違うよ。



私は


私の物語の主人公だよ!










ワアアア!!


これで審査を全て終わります。


合格発表は1時間後。


控え室でお待ちください。







「アカネ!あなた!何をやっているの!?」


「はは......やっちゃった......」


「馬鹿なの!?」


「そだね。ほんと私馬鹿だわ......」


レイナに怒られてしまう始末......。





主役級と脇役の演技は違う。


主役は最大限、己を魅せる。


脇役は主役を立てて輝かせる。




私は最後の最後に


脇役のオーディションなのに


己を魅せる演技をしてしまっていた。


役者をかじっている者なら


私の演技が的外れであることに


すぐ気づく。



結果は火を見るより明らかであった。


アリエルに合わせる顔がないや......。






そして、


合格発表の時は来る。



合格者は......


ドロロロロロ......♪





8番!キララさん!!


72番!レイナさん!!




ワアアア!!





ーーーまた負けちゃった。


ダメだな私。


結果はまたしても不合格。


私こそアリエルに謝らなきゃだ......。


でも


不思議と


私は


満足していて


それはきっと


自分の今できる最高のパフォーマンスを


出すことができたから......。






帰り支度をした私。


もうレイナは気を使って


私には近づいてこない。


なにやら向こうでキララと話をしている。




おめでとう。レイナ。



私は自分の成長を確認できたから


もう大丈夫だよ。



「73番さん!ちょっと!」


「......え!?私!?」


「はい!73番さん!こちら来ていただけますか!?」


帰ろうとしていたところに


突然呼び出される私。


「は、はい......?なんでしょうか」


通された部屋には


宮本先生の姿。


「......え!先生!?」


「やあ、えーとアカネさんだね。

素晴らしい演技でしたよありがとう」


「そ、そんな!

私、つい、的はずれな演技をしてしまって......!

ほんとに、すいません!!」


「なんだ?やっぱり、わかっててやったんだ?」


「......うう!すいません」


「合格だよ!」


「以後気をつけます......ほんとすいませ......え?」


「君にぜひお願いしたいんだ」


「......え?......え?」


「......実はね。このオーディションは本当は

脇役のオーディションだけじゃないんだ。

主演ヒロインのオーディションも兼ねていてね」


「......え?」


「アカネさん。君にこの作品の

主演ヒロイン役をお願いしたい。

引き受けてくれないかい?」




「え、え、えええええええ!!!?」





......うわぁぁぁ!!


あまりの事実と結果に


思わず泣き出してしまった私を


宮本先生やスタッフが慌てて


なだめてくれた。




「最高のパフォーマンスでしたよ♪アカネさん」


「......ありがとうございます......!!

私......ご期待に応えられるように頑張ります!」








かくして


私の


初のオーディション合格は


宮本アーモンド先生の演出で


メディアでも注目を浴びる名作。


サブキャストに


あの三千院キララを迎えて





【主演ヒロイン】として


大抜擢されたのであった......












読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

下の評価

☆☆☆☆☆

ブックマーク感想など

よろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ