淑女とお姫様
東京から新幹線で約1時間。
着きました!
熱海温泉〜♪
「きゃぁぁ着きましたわ〜♪」
「うひょぉぉ!」
はしゃいで走り回る2人。
「ほら、もう走らないの2人とも〜」
私たちはクリスマスのお出かけが
できなかった分を取り返すために
翌日すぐに温泉旅行プランを計画。
私のオーディション合格祝いとして
ゆっくり1泊熱海温泉に来たのです♪
「美味しいもの食べまくりましょう〜♪」
少し肉に飽きてきた2人は最近は
海鮮にハマっているみたい。
旅館の美味しい懐石料理をいただいちゃいましょ♡
まさかの主演ヒロインに大抜擢された私。
年明けにはすぐお稽古が始まり、
3月に約2週間の舞台公演。
きっと忙しくなってしまうので
アリエル達と過ごせる残りの時間も
大切にしていきたいよね。
「伝説はここから始まった!
大スター舞台女優アカネの軌跡!」
「有名人☆有名人☆大スター♪大スター♪」
「や、やめなさい〜!」
浮かれて調子に乗りまくっている2人。
「あんたたちのが有名人じゃん!」
「何を言いますかアカネ様!
私たちは来年の春にはもういません!
時代を動かすのはアカネ様だっちゃ!」
「また、変な語尾が増えてる......」
「おーほっほっほ!お祝いに
でっかいエビを食べましょう!」
伊勢エビのことを言ってるらしい。
アリーの最近のお気に入りはエビだそう。
仲見世通りで食べ歩きを堪能。
お団子やらプリンやら散々買って食べ続ける2人。
私は遠慮しないとメイン懐石が
食べれなくなっちゃう......。
この2人は無限にご飯が食べれる
底なし胃袋を持っているので
同じペースでいくと酷い目に遭うのだ。
旅館に着いた私たちは
さっそく温泉へ。
「アニメの大体8話くらいにある
温泉サービス回だっちゃ!」
「ハルカ!夏の江ノ島の時点で
すでに水着回がありましてよ?」
「2回もサービス回!ふおお......!」
「何を言ってるのよまったく......」
すっかりアニメにもハマってしまっている
ハルカはアニメあるあるや
ネットミームを駆使して楽しんでいる。
「まぁまぁ......!すごいべっぴんさんね〜」
一緒に温泉に入っているセレブぽいマダムが
にこにことはしゃぐ2人を見ている。
「マダム!違うのです!すごいのは......!」
「こっちの大女優ですのよ〜♪」
「わぁぁ!?......やめなさい!」
「まぁ!女優さんなの?!」
「いやいや、そんなまだデビュー前ですので......」
すぐにどこでも私の宣伝を始める2人。
まるで自分の事のように喜んでくれている。
......気恥しいけれど、とても嬉しい。
ゆっくり温泉に浸かり
美味しい懐石料理を堪能した私たち。
「すぴぴーふにゃぁ」
部屋に戻ると散々楽しんだハルカは
すぐにお布団に吸い込まれてしまった。
「ふふふ。ハルカ楽しそうでしたわね」
「そうだね。喜んでくれてよかったよ」
「アカネ。少し2人でお話しでもいかが?」
「あら。アリーと2人きりなんて珍しいね。
大体3人でいつもいるもんね?」
「そういえばそうですわね?」
「ふふ。子供は21時には寝るもんね♪」
「まぁ!アリーを子供扱いしないでくださいまし」
「見た目以外は子供にしか見えないけれど......?」
「もう!アリーは立派な淑女でしてよ!」
そうなのか。
まぁ子供の頃は
子供扱いされるの嫌なことってあるよね。
女の子は特にそうかも?
まぁ、まさにそういう所がまた
子供なんだけどね......。
温泉旅館の部屋の窓から綺麗な海が見える。
絶景のオーシャンビューというやつだね。
寝てしまったハルカを置いて
広縁から外を眺めながら
「乾杯♪」ちん♪
ビールをくぴくぴする私たち。
「綺麗だね〜」
「旅行に来れてよかったですわ......」
「ありがとうね〜」
「......」
......
黙ってしまうアリエル。
何か話したいことがあったんじゃないのかな?
まぁ、察しはつくが......
「どしたの?眠い?」
「......眠くありませんわ」
「......そ」
「......」
仕方ないな。
少し誘導してあげるか。
「ごめんねクリスマス。一緒にいれなくて。」
「いいですわ。そんなこと。
代わりにこうやって温泉に来れましたもの。」
「年明けからお稽古で忙しくなりそう」
「それは少し寂しいですけれど
良いことですわ。お稽古に励むべきでしてよ」
「そうだね。」
......
まだ言わんか?
「......」
「......アリー?私に
何か言いたいことがあるんじゃないの?」
「......うう」
そう、アリエルはまだ
私に謝ってきていないのです。
ハルカからすでにこっそり
謝っても許して貰えなかったら
怖いから謝る勇気が出なくてあんな態度に
なっていると聞いてしまったので
仕方なく私の方から誘導してあげる。
マジで子供じゃん。
まったく......可愛いなこいつ♪
「アリーおいで。」
「......アカネ」
手を広げた私にゆっくり近づいてきたアリエル。
優しく抱きしめる。
「世界の王たるアリエル姫様は
平民に謝ったりしなくていいのよ。
そもそも私怒ってないし。
もういいからそんな辛そうにしないで。」
びくっと体を震わせた姫様は
その後、力強く私に抱きついてきた。
「アカネ......」
「よしよし、アリー。大丈夫だよ。怖かったね。
アリーの気持ちは私に伝わっているから
何も言わなくていいよ......」
「......うう」
......震えている。
そんなに
私を失うのが怖かったのか......
私はよしよしを続ける
「......アカネ......ごめんなさい......」
「......はい。アリー応援してくれてありがとう」
「......ぐすん」
「......淑女にお礼ね」
チュッ
私はアリーの頬にそっと口付けをする。
「......ぁ〜......あぁあ」
みるみる顔面から耳まで真っ赤になるアリー。
「......愛してるわアリー。」
「......アカネ! 」
アリーからも頬に口付けがくる。
「......アリーもアカネを愛していますわ......!」
「アリー......」
「アカネ......」
やっと叶った頬へのKissは
少ししょっぱい味がしたけれど
2人の愛は本物であると
お互いが
感じ合えるのに
ふさわしい
素敵な
淑女の嗜みとなったのでした......
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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