両親とお姫様
ハルカはスマホで閲覧ができる
ゲームやアニメ、漫画に夢中になっていた。
「アリエル様。観たい漫画があるのですが〜
どうやら有料コンテンツなのです。
課金してはいけませんか?」
「ハルカいけませんわ。
無料で観れる漫画がたくさんあるでしょう?
わざわざお金を払って観るなど愚かですわ」
「......うう。わかりましたぁ」
面白いと評判の漫画が観たかったハルカ。
親子愛の感動の物語だそう。
「ハルカは直接女神様から産まれていますから
親というものが存在しないのですわね......」
「はい〜。お姉ちゃん達がいるくらいです」
「そうかぁ......
それで親子愛というのが気になるのね?」
「あれ?そういえば
アカネ様はご両親はいないのですか?」
「......うん。私が10歳の時に事故で......」
「まぁ......そうでしたのね......」
「すいませんアカネ様変なことを聞いてしまって」
「大丈夫よ〜もう昔のことよ。
私が【アニー】に感情移入している原因が
そこなのは間違いないけどね〜」
「そうですか......似たような境遇から
アニーと自分を重ねているのですね......」
「うんうん」
「ねぇ?」
「......ん?」
「アカネ......少しアリーのことを話しても?」
「......ええ?もちろん。聞きたいわ」
「アリーの世界は......」
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アリーがいた異世界は
人と精霊と魔物が仲良く手を取り合い
平和に暮らすとても素敵な世界。
しかし、それは女神様のお力により成された世界。
少し前までは人と魔物は戦争をしていたのです。
これはアリーのお父様のお話。
アリーのお父様は人間の統治する
ひとつの国の王。
しかし、まだお父様が10歳の頃
魔物との戦争により
お父様の国のお城は魔物に堕とされ
王族はお父様以外全員
魔物に殺されてしまったのです。
唯一お父様を守り逃がすことに成功した
お城の騎士団達はその後
軍を立て直し、勇者達と協力し
見事に魔王を打ち破り
平和を取り戻します。
10歳にして家族を亡くされていて
アカネや【アニー】と境遇が似ているのです。
アリーの世界では15歳で成人です。
成人したお父様は無事国王に就任します。
そしてお父様以外壊滅してしまった
王族の血を絶やさないため、
お父様の元には
世界中から立派な貴族令嬢が婚約者
王妃候補として
たくさん名乗りを上げていました。
実際、第7夫人くらいまで、
ほぼ内定していたそうです。
しかし、お父様は王族の血を絶やさない為とはいえ
好きでもない令嬢と複数に渡り婚姻することに
抵抗があったそうなのです。
そんな時
女神様に仕える四大精霊の1人
風の精霊と出逢ってしまいました。
......一目惚れだったとのこと。
世界の歌姫として君臨するその風の精霊。
人間と精霊。
国王と自然の摂理を具現化した存在。
限りある1つの命と永遠の存在。
誰もがこの2人が一緒になれるなんて
思いもしませんでした。
最初は世間を知らない国王のお戯れにすぎないと。
風の精霊も最初は相手にしていなかったそう。
でも、お父様は諦めず毎日毎日猛アプローチ。
そしてついに
何人も候補にあがっていた
貴族令嬢たちとの婚約をすべて破棄。
これは正直、王としてはあるまじき愚行。
ですが、お父様はそれだけの覚悟を持って
国王の座すら捨てる気持ちで
風の精霊に愛を伝え求婚したそう。
そして風の精霊は
そんなお父様の覚悟に心をうたれてしまい
種族や身分の垣根を超え
めでたく
2人は
結婚しました。
人と精霊との間に産まれた
混血の血の王女は
人間を遥かに超越した
精霊姫として
みんなから愛され
そしてーーー
今に至るのです。
⋆┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈⋆
「......やだ。めちゃくちゃいい話じゃん......」
「アリーには大事な家族がちゃんといて
アカネや当時のお父様、また【アニー】の
お気持ちはわかりかねますが......」
「ううん。話してくれてありがとうアリー」
「アリーが伝えたいのは
何かを本気で得たいのならば
時には全てを投げ打ってみせるほどの
覚悟が必要なときもあるということ。」
「......そうか、私はきっと
まだ覚悟が足りていないんだね......」
「実際どうなのかはわかりませんけれど、
アリーの命の尊さを学ぶという課題は
おそらくこれを理解できてはじめて
成すと思いますのよ......」
アリエルが話してくれた物語は
遠い異世界の、絵空事のように聞こえるが
人が何かを本気で成すための
大事な何かが
そこにあるのは間違いなくて......
私の演技に足りないその何かは
きっと、この中に答えがあるような気がした。
私たちは3人でいつも仲良く寝ているが
アリーはたまに
お父様......
お母様......
と、涙をうかべながら
寝言を言うことがある。
両親を失って塞ぎ込んでいた
当時の自分を思い出してしまう。
「アリー......いいお話をありがとう」
「アリエル様!アカネ様!
有料動画プレミアム申し込みたいです〜!!
観たいアニメがたくさんあるのです!!」
「......」
「......」
「......ん?」
「......」
「......」
「申し込んでいいですか?」
「うるせええええ!!!」
「ハルカ〜〜!!」
「ぎゃぁぁぁぁあ!!!」
ついにアカネと共にアリーまでも
ハルカを裸足で追いかけはじめた
そんな12月も半ばになった
とある日の
できごとでした......。
読んでいただきありがとうございます!
もし少しでも面白いな、
続きが気になるなと
思っていただけましたら
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