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ハロウィンとお姫様


「今日はハロウィンイベントですよ〜」


大学では本日のハロウィンイベントの案内や

街で行なわれるコスプレイベントの案内が

所狭しと行われている。


コスプレをして池袋を練り歩くという

イベントに誘われた私だったが


「ごめん今日は推しの配信があるんだーーー」


私は1人さっさと家に帰った。




せっかくなのでビールとツマミを用意。


まったく、仕方ないわね。


私も忙しいんだけどね?


そこまで観て観て言うなら


ほんと仕方ないから


観てあげるわよ。


19時から1時間の予定らしい。


歌ってみたの楽曲にあわせたコスプレをして

アリエルが歌うという生配信のライブ。


ハルカは例のごとく盛り上げ役なのだろう。



「アリエルちゃんねる〜☆」


ビールをくぴくぴ呑みながら

家でゆっくりくつろぎながら視聴。


「恐れ多くってよ愚民ども♪」


まさかこれを決めゼリフにしているのか?

くくく。らしいっちゃらしいけど......


「今日は初めての生配信でーす☆

みんなアリエル様に夢中になってね〜☆」


ハルカの進行から始まる。


ハルカは昭和歌謡の歌番組の案内みたいな

トークを挟みながら

アリエル大好きオタクキャラで

場を盛り上げている。


「クスクス。ハルカやるなぁ」


きちんと演出も仕掛けられており、

たしかに面白いコンテンツになっている。


一生懸命考えたんだろうな。


練習もたくさんしたんだろう。


配信が後半になったころには

私の目から出る液体をティッシュで

拭く作業が忙しくなってしまっていた。


美人で歌も上手くて

演出もできて笑いも取れる。


本当に才能のある人ってのは

こういう人たちなんだろうな。


感覚でやっちゃうタイプ。

天才肌というのかなんというか。

私にはきっとみえない世界。



でも


大丈夫だよ。


先を行く

うさぎさん。


私は亀さ。

諦めてやるもんか。


必ずあなた達のところへ

行ってみせるから......!






「今日はありがと〜☆

次がラストの曲になります♪」


進行していたハルカから

歌っていたアリエルにMCが渡される。


「今日の最後の曲は

感謝の気持ちを込めた

お世話になった

親友へ送る歌でございますわ!」


......何を歌うんだろう?







「ミュージカル『アニー』から『Tomorrow』」





......!!






そう。


日本でミュージカル女優を夢見る女の子なら


誰もが絶対に知っている


有名ミュージカル『アニー』



私が幼い頃


両親に連れられて


初めて観たミュージカルであり


私が役者を目指すきっかけになった作品。



そして、


GWに池袋で


私とアリエルとハルカの3人で


四季の彩り劇団で観た


ミュージカル。


私がぜひ


アリエルに、観て欲しかったミュージカル。


私の愛した作品で


そして何よりも


あなたの名前に似ていたから。



あなたは


自分のことを


かぐや姫だと言ったけれど


ううん。


違うの。


私からしたら


あなたは


両親と別れて


孤児になってしまったけれど


純粋無垢に、前向きに努力する


あの私の憧れの大スター


"アニー"にそっくりだったから。




そしてその


代表曲である


Tomorrowは


どんな逆境の日々でも


明日はいい事があるさと


"アニー"が歌う


最高の名曲。






幼い頃見た


あの日3人で観た


私の思い出のミュージカルの


最高の名曲を


その"アリー"のTomorrowは


今まで観たどのミュージカルよりも


素敵な歌声で


私の為だけに


私の心に届けてくれたのでした。


「......アリーありがとう......」










「アリエルちゃんねる生配信☆

みんな観にきてくれてありがとう〜☆」


「また来月からも〜

アリエル様とハルカをよろしくね〜☆」



撮影スタジオにて


生配信が終わった2人。


「アリエル様お疲れ様です〜☆」


「ハルカもよく頑張りましたわ♪」


2人は抱き合い

お互いを称え合う。


「アカネ様......観てくれましたでしょうか......」


「そうね。観てくれているといいですわね♪」


トモエが入ってくる。


「お疲れ様です♪完璧でしたよ2人とも」


「アリーにかかれば当然ですわ!」


「トモエも演出ありがとう!」


「お手伝いできて光栄ですよお姫様。

これで来月はしばらく2人で撮影してくださいね」


「ええ〜!トモエ来てくれないの?」


相変わらず甘え上手な上目遣いをかましてくる

うさ耳メイドを視界から外したトモエ。


「私も仕事抜けれる限界がありますから〜」


「むー......困ったら呼びますわよ?」


「はいはい。連絡はいつでも大丈夫ですから」


「ふふふ。」


「さぁホテルへ帰りますわよ!」


「あれ?姫様今日はホテルおさえてませんよ?」


「え!トモエ!?なぜですの!?」


「ええー!?」


「......え?......いりますか?」


「え?」




ピロン♪


アリエルのスマホが鳴る。


恐る恐るスマホを見るアリエル。





【生配信お疲れ様!早く家帰ってきなさい!】





「......トモエ......ホテルは必要ありませんわ!」


「クスクス......でしょうね?」


「アリエル様〜☆わーい♪」



トモエはこれでやっと趣味が一段落。

いつもの仕事に戻ることになる。


「ほんと、世話の焼ける小娘達ね......」






アリエルとハルカは


抱き合い喜び


アカネの待つ家に



大急ぎで帰るのでした。








読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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