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仕事と愛とお姫様


「レイナさ〜ん!

明日のハロウィンイベントは

参加してくれるんですか〜?」


「ええ。参加するわ。彼と一緒にね♪」


「やったぁ!楽しみです〜♪」


「コスプレ楽しみましょう〜♪」


大学でも人気のレイナは

各イベントにはひっぱりだこ。

もう4年間見慣れた光景だ。


私はそんなレイナをぼうっと眺めながら

あれから2日、私の家に帰ってきていない

2人のことを思い出していた。


なんかハロウィン生配信観てくれと言っていたな...


ハロウィンねぇ......


もう帰ってこないのかな......


自分で追い出しておいて


寂しくなっている


ホントどうしようもないよね。


ピロン♪

スマホに来たメッセージを見る私。


「......!」








レイナは大学を出て帰ろうとしていた。


大学の入口に停まる見覚えのある車。


「......え!?姉さん!?」


「......ん?」


「何してるの!姉さんこんなとこで!?」


「レイナこそ何してるんだ?」


「いやいや私ここの大学!」


「あぁ。ここに通ってたのか?」


妹の通っている大学をこの姉は知らない。


そう、家族にも興味がないと文句を言われ続ける

この姉は妹の通う大学なんぞ覚えていないのだ。


そんな姉は妹のことは無視して

その後ろから来た女に声をかけた。


「どうも」


「......どうも」


「乗ってください」


車に案内する。


「え!?姉さん!?アカネ!?どういうこと!?」


「うるさいなレイナ。私は彼女に用があるんだ」


「ええええ!!!??」



なぜか慌てふためくレイナを横目に

私は車に乗り込んだ。


「レイナと知り合いなんですか?」


「ええ。ちょっとした知り合いですね」


「そうですか」




トモエはアカネとコンタクトを取り

話をすることに。


「2人は私の手配したホテルに泊まっています。

安心してください」


「あ、はい......ご迷惑をおかけしていませんか?」


「もう慣れましたよ」


「そうですか......」


「最初は手伝えって言われまして渋々でしたが、

今でもノーギャラです。

手に負えませんよあのお2人は」


「え、やっぱり無償なんですか?!」


「ええ。まぁ異世界から愛を勉強するために

来ているとのことで、お話は聞いています。

私も今では逆にあの2人に魅了されて

お手伝いをしているだけです。」


「なるほどです……やっぱ、凄いですよねあの2人」


「規格外ですね。私もびっくりしています」


「でも、あの子ら実際は子供でして......

素直で純粋で......生意気だけど可愛いんですよね」


「ええ。お気持ちはよくわかります」


「ふふふ......」


あの2人のことを共有してお話をするというのも

初めてだったので、何やら変な気分。


「お食事いけますか?お茶だけにしますか?」


「あ、お茶だけで......」


オシャレな半個室のカフェに入った私たち。


「愛とはまた、もはや哲学に近い難題です」


「そうですよね、私も親は早くに亡くしてますし、

恋人にも恵まれず、愛なんて正直なところ

わからないことのほうが多くて......」


「今日は愛についてあなたと話をしたかったのです」


「私と愛をですかぁ?」


「ええ。そうです。私もね、言われたもんです。

仕事一筋の完璧超人。愛のない女だと。」


「そうなんですか?モテそうですけどね?」


「同性にはなぜかモテましたけどね?」


「あはは。わかる気がします♪」


「恋人だったり、家族だったり、色々ありますが

アカネさんの愛とはどんなものですか?」


「うーん、それが難しいんですよね......」


「私からしましょうか。

私は仕事が愛なんですよ」


「仕事を愛していると?」


「ええ。よく仕事と愛を分ける人が多いですが

私からすれば、仕事の仲間、上司、部下

取引先、エンドユーザー、そして商品まで

全て愛しているのですよね。

そんな愛の形もあるということです」


「す、すごいですね......」


「恋人よりも、家族よりも、仕事を優先したら

愛のない人間扱いです。ですが、私からしたら

自分のことを愛の深い女と認識しています」


「どこに比重を置いているかですね」


「ええ。ですから、こと職場に置いては、

自分で言うのもなんですが、

私の愛のある仕事のおかげで、

絶対的な信頼をされているし、

愛されている自負もあります。」


「ぉお......」


「愛の答えは外からではわかりにくい。

私の正解はアカネさんの正解ではないし、

アカネさんの愛の形は私とは違う。

愛の答えは外ではなくそれぞれの

自分の中にあるものだと思います」


「わぁ、トモエさん素敵です♪」


トモエの言葉に感銘を受ける私。


「ありがとうございます。そして

アカネさん、貴女は役者を目指しているとか」


「は、はい......」


「偶然にも私の母は女優でして」


「え!そうなんですか!」


「ええ。そんな母の言葉がもしかしたら

貴女の役に立つかもしれないと思いましてね」


「わぁ!ぜひ聞かせてください♪」


「母はもう還暦を超えていますが、

今でも役者の勉強中だと言っています。」


「す、すごい......!」


「アカネさんはオーディションに受かれば

役者になれると思っていませんか?」


「え、違うのですか?」


「はい。母の受け売りですが

役者にゴールはありません。

恐らく手に職をつけるような

職人さんなんかはみんなそうなのでしょうね。

一生勉強です。

役者として取り組むべき目標は

【成功】ではなく、【成長】なのです。」


「あぁ......」


「成功であれ、失敗であれ、それが、

成長に繋がるのであれば良いのです」


「な、なるほどです......」


「つまりは仕事とは愛。

貴女の目指す役者の仕事も愛。

愛とは人それぞれ。

日々成長し、変化して育んでいくもの。

愛にも役者にもゴールはなく、

その時その時の答えは外からではなく

自分で見つけるしかないのですよ」


「トモエさんありがとうございます......」


「貴女が役者を目指した理由は何ですか?

自分のため、誰かのため、目標は変わっても

いいのです。全て変化して育むものなのですから」







話を終えた私はトモエさんに礼を言い

帰路につく。


「そうだ、あの2人のこと、ひとつだけ」


「は、はいっ」


「明日のハロウィン生配信を

ぜひ観てあげてくださいね」


「わかりました......!」










結果が出ず、苦しんでいた私。

応援してくれたみんなに

甘えて当たり散らかして

どうしようもない私。


役者を目指した時点でもう、役者。あとは


成功じゃなく成長すること、か。









翌日


レイナが姉さんとどういう関係だと

なにやらギャーギャー言ってきたが

愛を語り合う関係とだけ言っておいた。




そして


今日は



10月31日



世間では



ハロウィンなのである。












読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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