表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中学の卒業式に告白した人が高校で隣の席だったらイチャイチャできるのか  作者: コヨコヨ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/57

48

「実は、今日の夜も練習があったんだが……、逃げて、抜け出してきちまった。ははっ。もどっとら、何を言われるか。あんな学校を選んだ過去の俺を恨みてぇ……」


 彼はスポーツ推選で高校に入学している。それゆえ、やめるのが非常に難しい。でも、心技体の三つが合わさってやっと柔道ができる。だから、心が崩れてしまったら柔道は出来ない。

 その後も、先輩の当たりがキツイとか、勉強がわからないとか、彼女ができないとか、高校生らしい悩みを打ち明けてくる。

 柔道部の女子はみんなゴリラ女だそうだ。そんなことを言うから、彼女ができないのではなかろうか……。

 彼の話を聞き終えた後、彼が心の傷を見せたのだから、僕もそうするべきだと思った。


「こっちは昨日、大好きな人に嫌われて、強烈なビンタを喰らったよ……」

「な、それはいったいどういう状況だよっ」


 どうやら僕の話が衝撃だったようで、彼は自分の現状より僕の状況に興味を示した。

 その後、料理が来るまでことの経緯を話す。高校入学から今日までの話をただただ、だらだらと、特に強弱もつけず談笑も交えず、念仏を唱えるような時間だった。それでも、陽翔くんは話を逸らさずに最後まで聞いてくれた。

 香奈さんの写真を見せろというので、野坂山登山の時に携帯電話で撮ったツーショット写真を見せる。


「やっば……、まじか、嘘だろ。これが、星野さんなのかよ。全然別人じゃねえか。女子ってこんなに変わるもんなんだな」

「でしょ。僕も、全然気づかなくて、初めて知った時は焦ったよ」


 料理が提供されれば、会話はおのずと少なくなる。でも、完全になくなったわけじゃない。


「んで、その星野……、じゃなくて小日向さんに他の女子とデートしている場面を見られて強烈なビンタを喰らったと」

「だから、デートじゃなくて勉強会だよ。パフェをちょっと貰っただけなんだけど……」

「優は誰にでも優しいからなー。女子って、そういうの嫌いって言うじゃん。自分にだけ優しくしてほしい、みたいな」

「で、でも、僕と香奈さんは恋人同士なわけでもないわけで……」

「はぁ、好きですって言って、返事にキッスされたら、付き合いましょうってことじゃねえの?」

「そうなの? 僕は、好きですといっただけで、付き合いたいといったわけじゃないんだ。ただ、踏ん切りをつけるために振ってもらおうと思って、あの時の返事を貰おうとしただけで」

「これだから、恋愛初心者は……。お前、バカだろ」

「陽翔くんにだけは言われたくないんだけど。でも、彼女から好きですって口でちゃんと言われたわけじゃないし、その後、全然連絡来なくなったし、関係もギクシャクしてたし、蒼真先生との交際疑惑もあって……、付き合ってるとかまったく思えなくて」

「まあ、女の気持ちが全部わかるわけじゃねえが、自分以外の女とイチャコラしている男を見て、カッカするなんて、気がねえとしないと思うがな。女って、男が思っている以上に興味ない男に興味ないからな。俺なんて女子からしたら空気以下みたいなもんだぜ……」

「自分で言って、暗くならないでほしいんだけど」

「とりあえず、小日向さんはだれかれ構わず優男すぎる優に疑心暗鬼になっているわけだ。それだけ彼女にとっては男が信用できない存在だと思ってんだろう」

「そ、そうなのかな。じゃあ、どうすれば……」

「そりゃあ、どうにかして、自分が信用できる存在だとわかってもらうしかないだろう。男に童貞膜なんてもんはねえからさ、童貞だといおうが、童貞じゃないといおうが、誰もわからねえ。だから、女からしたら信用できる男がモテるんだろうな……。俺みたいな」

「さっきと言っていること矛盾しているけど……」


 僕は信用してもらおうとしてばかりで、香奈さんを信用していただろうか。

 僕の方も疑心暗鬼になっていて、彼女は悪い女なのかもしれないとか、付き合っている人がいるかもしれないとか、遊ばれているだけとか、何の根拠もないのに勝手に疑っていた。

 きっと僕は顔に出やすいから、そういう気持ちが彼女に伝わっていたのだろう。好きな相手から疑われるって、凄く辛いと僕もやっと実感した。疑ってくる相手を信用なんてできないよな。


「香奈さんに直接話しかけても、今の優は避けられるだろうから彼女の中の良い人に頼んで、仲を取り持ってもらうのがいいんじゃないか。そんで、ちゃんと話し合えよ」

「それで、信じてくれるのかな……」

「わからん。女が思っている評価は一度落ちたら戻らないって言うしな。優は基準値が高いから、ほとんど落ちるばかりだろう。ヤンキーなら、ちょっといいことするだけで株がバク上がりする効果の逆だ。良いやつがちょっと悪いことしただけで、評価が急落する」

「じゃあ、ヤンキーになればいいってこと?」

「やっぱり、お前、恋愛に関してはバカなんだな……」

「逆になんで陽翔くんはそんなに詳しいのに彼女がいないの?」

「ぐふっ!」


 その瞬間、陽翔くんはバタリとテーブルに顔を突っ伏した。深刻なダメージを負ったらしい。


「お、俺に彼女がどうとかって話はどうでもいい。出来た溝は出来る限り早く埋めねえと、取り返しがつかない深さになる」

「そうだね。仲直りと、信頼を取り戻す……。でも、信頼されていない人から謝られても、結局信頼してもらえない。なら、先に信頼を……、いや、そうなると、仲直りしていない相手から……」

「あぁ、まてまて、ドツボに嵌ってる。お前は色々と考えすぎなんだよ。もっとシンプルに考えたらどうだ」

「シンプルに……」

「香奈さんに優の男気を見せてやりゃあいいんだ。その方が、薄っぺらい言葉よりもずっと届くんじゃねえかな、知らんけど」

「そこは自信を持って言ってほしいんだけど。でも、いろいろ聞いてくれてありがとう。どうにかして、香奈さんに僕の男気を見てもらえるように考えてみるよ」

「気楽に行けよ。まだ若いんだから、失敗しても次があるって」

「うん。陽翔くんも、今は辛いかもしれないけど、そこを超えられたらきっと変わるよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ