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中学の卒業式に告白した人が高校で隣の席だったらイチャイチャできるのか  作者: コヨコヨ


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 お風呂のお湯を顏に掛け、少し眠たい気分を覚ます。今月末にはテストがあるのだ。うかうかしていたら、スタートからずっこける羽目になる。

 担任の西山先生曰く、文理進学科の者たちは普通科の者たちより指定校推選が割り当てられにくいらしい。大学進学率を上げるためかもしれないけれど、試験問題がまず違う。それにも拘らず、点数の高い方がいい成績を付けられる。

 まあ、ゲームをフツーモードでクリアするか、ハードモードでクリアするかの違いに近い。指定校推選が楽なのは知っているけど、それが完璧な大学対策という訳じゃない。でも、万が一、受験に自信が持てなかったら使えた方が強いのは確かだ。そのためには、一年生のころからの成績が重要になってくる。


 体を洗ったら風呂場を出て、バスタオルで体を拭く。ドライアーで髪を乾かしながら、三年後について考えた。来年について話すだけで、鬼が笑うのに、三年後を考えていたら誰が笑うんだろう。


「できるなら、国立の大学に行けた方がいいよな……。そのためには勉強か」


 結局勉強が最強……。部活で活躍しても、国立に推選はない。決まって私立大学だ。頭に自信がなく、スポーツや楽器の演奏、絵だけなら誰にも負けないという人なら部活を頑張る意味はあるけど、僕のような体格に恵まれなかったリ、大した才能もない者からしたら部活に時間を使うのはメリットの方が少ない気がする。それこそ、勉強なら続ければある程度は伸びる。


「……香奈さんは未来について考えているのかな」


 人は人の考えを聞くまでは絶対にわからない。いつか、何万年も先、人間はテレパシーで通じ合うような時代が来るかもしれないけど、今のところ出来ない。

 夜十時までには寝たいから、勉強時間は四五分が限界だった。香奈さんから電話がかかってくるかどうか、妙にソワソワしてしまう。でも、目の前の問題に意識を向け、ぐっとお腹に力を入れていると携帯電話が気にならなくなる。


 九時四五分ごろ体を伸ばし、勉強を終えた。後は寝るだけだ。そう思っていたら携帯電話が震えだす。


 ――か、香奈さんかな。


 そう思って液晶を見ると、嵐山さんからだった。何かあったのかと思い、受信ボタンを押す。


「もしもし、嵐山さん?」

「ああ、神村くん、ごめんね、こんな夜に」

「大丈夫だけど、どうかしたの?」

「いや、ちょっとね……。神村くんの声が聴きたいなと思って」

「僕の声は別に美声とかじゃないと思うけど」


 そういうと、クスクスと笑う声が聞こえてくる。たいして面白いことを言っていないのに笑うとは、深夜テンションなのかもしれない。


「改めて、今日はありがとうね。神村くんのおかげで、愛理ちゃんと仲直りができたよ」

「僕は大したことしていないよ。嵐山さんと楽間さんの手を繋ぎ合わせただけ。多分、二人の知り合いなら誰でもできることだよ」

「そんなのことないよ。神村くんが手助けしてくれたから、すぐに仲直りできたと思う。他の人だったら、あほらしいとか、どちらかに肩入れするとか、気にしなくてもいいとか、話すら聞いてくれないかもしれない。愛理ちゃんの悪口を言いふらされたりしたかも……。こんなに、どっちも痛手を負わずに仲直りできたのは、神村くんのおかげ」

「過大評価しすぎだと思うけど……。まあ、結果的に二人が仲直りできてよかった」

「愛理ちゃんから聞いたけど、神村くんは愛理ちゃんからも相談を受けたんだよね」

「え、ああ……、そうだね」

「私の方に先に来てくれた理由とかあるのかな~?」


 嵐山さんは僕をおちょくるように訊いてくる。


「図書室よりも外廊下の方が近かったからだけど?」

「……むぅ~、そこは、正直に言わない方がモテると思うけどなー」

「事実だからね。でも、嵐山さん、部活も大変なのに周りに合わせて遊んでいて大丈夫なの? もうすぐテストだけど」

「あぁー、やめて、テストの話はしないでぇ」


 完全に現実逃避している。


「勉強はしておいて損はないよ」

「……じゃあ、今度のテスト週間、二人で勉強会しようよ。コメダ珈琲とかでさ、優雅に珈琲を飲みながらやった方が、頭に入りそうだし。神村くんなら無知の私に手取り足取り、私の知らない隅々まで色々教えてくれそう。いや、それを期待しちゃってる自分がいるよ」

「勉強の話だよね?」

「それ以外に何があるの?」


 すっとんきょんな声が聞こえた。軽く咳払いして、気持ちを整える。


「毎日は無理だけど、たまにならいいよ」

「うわ~い、ありがとう、神村くん。勉強という毒に苦しむ私の前に現れた王子様~」

「王子様は言い過ぎだよ」


 嵐山さんの話慣れた雰囲気につられ、僕もつられて話せてしまう。携帯電話越しからでも、彼女の笑顔が透けて見えるような気がした。

 助けを求められたら助けろ、助けを求められる前にも助けろ、そんな言葉を父親から掛けられていた。相手が女の子なら、死んでも助けろと。いや、死んだらだめでしょ。今時は、男女平等に接さないと、やれ男女差別と揶揄される。


 王子様は、毒を食べたのがおじさんだったとしても助けるためにキッスしたのだろうか? そういうことを考えるのが野暮なのかもしれない。

 嵐山さんと勉強会すると約束した際、一瞬、香奈さんとも勉強会したいと思った。でも、いつも教室で勉強会みたいなことしているから、たいして変わらないと考え、誘わなかった。

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