【悲報】バッシングされる天才
「さあ、みんなー。転入生のボン君よ!」
ボンは、“臆者を決める学園”の1-Aの教室内まで来ていた。
隣には緊張した様子のククレアも立っている。
担任の教師という、チャイコフは眼鏡をかけた茶髪の女性。くるくるとパーマがかかっていて、可愛らしい。
「こうして、臆者を決める学園に入ってくれて嬉しいわ……! さらに、ボン君はなんと、この学園の入学試験で始まって以来の全科目で0点での超落第点での合格なのよ!」
うう、かなり恥ずかしい。
しかし、
「ええー! あの簡単な問題を0点!?」
「大体はその辺の小学生でも解けるレベルなはずだぜ? 噂通りスゲエ駄目人間だ!!」
「しかも、相当な弱さだと聞くぜ……?」
生徒たちは、興味津々という様子だ。
「そして、ボンくんと同時に、ククレアさんも入学しました……さあ、みんな。二人を迎え入れてね!」
チャイコフは笑顔でそう言う。
「ねえー、先生……ところでそのククレアちゃんは、国王様の娘なのよねえ?」
と、ピンク色の髪をおさげにしている女子が言った。
かなり日焼けした少女で、授業中だというのにお茶を飲んでいる。
どこか、含みのある言い方だ。
「“こんがり”の城ケ崎クリスさん、その通りよ」
城ケ崎クリスは“こんがり”という異名のようだ。
「じゃあ、どういう点数だったの? ねーえ、ククレアさあん。クスっ、国王の娘なんですから、さぞ落第点だったんでしょうねえ?」
城ケ崎は棘のある言い方をする。
「城ケ崎さん、ここは点数を公にする場所ではないわ」
チャイコフはそう止めるが、
「あれあれえー? どうしてかなあ? そおんな、立派な国王の血筋ならとんでもない落第点を取りまくりなんでしょうね? ククレアさん?」
城ケ崎は、ボンにとって(やれやれ、またこのタイプか)と見慣れた女子だ。
学校だろうと会社だろうと、一人はこの手のタイプがいるものだ。
「いいんです、先生,城ケ崎さん。よくぞ聞いてくれました。私は、実は全科目満点を取ってしまったんです! さらに、設問のミスまで見つけてしまいました……!」
ククレアは肩を震わせながら言う。
「というか、あのタケシくんの問題は、答えようがないはずです! みなさんは逆にどういう風に解答して、どうやって間違えたんですか!?」
ククレアは絶叫する。
一気にザワつく生徒たち。
「ええー? それじゃあ、ククレアさんは天才……?」
「聞いた話じゃあ、すでにS級神官って聞くぜ? それじゃあ、どうしようもない最高クラスの生徒じゃんか。けど、事実俺もあのタケシ君の問題は意味不明すぎたけど…」
「いくらなんでも、ここにそんな天才サマが来られてもなあ…」
「そ、そうよねえ。私たちは、みんなでダメダメになろうと日夜頑張っているのに……けれど、私もあのタケシ君の問題だけは未だに訳が分からないけどサ…」
すると城ケ崎は、
「あらあら? そんな天才的なおマヌケ様が、よくもこの駄目エリートの学園に来れたものねえ? 親が国王だと、何かと便利ねえククレアさん」
ククレアは羞恥心でいっぱいのようだ。
チャイコフは、
「城ケ崎さん! そのような言い方は慎みなさい……!」
と言うが、
「けど、先生私たちも“臆者”となるために来たんですよ? そんな天才的なククレアさんが一緒じゃ、授業がどんどんはかどってしまってどうしようも無いわあ。私たちは、物凄く堕落してみんなで“臆者”を狙っているというのに……S級神官の天才サマが?」
城ケ崎はククレアを認めないようだ。
「ククレアさん、そんな強いんじゃあ、モンスターなんて瞬殺してしまう。というより、着ぐるみ魔王イイコイイコは、秒殺なんじゃないのオ? 折角、メチャメチャ弱くなって、みんなで臆病に振舞っているこの学園の目的はどうなるのかしら? 私はクラスのためを思って言ってるんだけドオ? 最弱ランキングの一位を狙うためにね、みんな?」
ボンは(予想以上の駄目さ加減の人だな、城ケ崎さんは)と思っていた。
「いいえ! 最近は私もかなり奇跡の抑制が効くようになりました……! 昔は、金剛級モンスターでも、“聖なる壁”の奇跡一発で退けていましたが、今ではどうにか銅級モンスターが相手でもかろうじて三十秒は持たせれるようになりました……!」
ククレアはそう言う。
「金剛級モンスターって言ったら、一振りで山をも砕くようなバケモノじゃん! そして、銅級モンスターもトップ級の強さ。そんなS級の天才神官サマに、このE級の駄目授業に入ってこられてもねえ」
城ケ崎はククレアを目の敵にしているようだ。
天才であることでバッシング?
★★でククレアさんを支えよう。




