エピローグ
「校長、どこにいたんだよ! いくらなんでもあんたはもう少ししっかりしねえと、城ケ崎たちが死ぬとこだったろう?」
森は怒っている。
「いや、すまんねえ。赤ん坊の夕方泣きが止まなくて、それにまさかダークブラック暗黒社の金冴が出てくるとは……まあ、建物は修復したから許してくれたまえ」
借金2000億Tシャツを着た夕焼けダイヤモンドは、苦笑いをしながら懐の赤ん坊を「いい子ねえ」と撫でている。
「全く、修復魔法だけは凄いけどさ」
「おい、森。仮にも校長先生だぞ。まあ、お前が城ケ崎の危機に怒るのは分かるけどよ」
「アガ李! んなんじゃねえよ! 全く!」
森とアガ李は去っていった。
夕焼けダイヤモンドは、おしゃぶりを加えて犬の被り物を着た赤ん坊を「よしよし、いい子ねえいい子いい子」とあやしている。
「きゃっきゃっきゃっ、ワシも気分が良い。おしゃぶりも絶妙じゃ」
赤ん坊は突如としてしゃべった。
「校長……これはどういうことです?」
キャワキャワとナカナカは、膝をついた。
「どうって、可愛い赤ん坊でしょう?」
夕焼けダイヤモンドに、
「トボけないで! どうして『着ぐるみ魔王、イイコイイコ様をあやしているのです!?』
「姉さん! けれど、イイコイイコ様、俺にも分かりません。何故敵であるこの学園の校長に育てられておいでなのです?」
赤ん坊、着ぐるみ魔王イイコイイコは
「怒らんでくれ、単純にこの夕焼けダイヤモンドとは気が合う友達じゃ。それだけのことじゃ。ワシに怖いものなどないが、流石に禁忌型ミノタウロスは驚いたぞ。それを倒したククレアにもな」
イイコイイコはそう言った。
「キャワキャワ、ナカナカ。今後もボンとククレアを見張り、サポートしてやってくれ。あれらは、必ずこの逆世界を紐解くカギになる。最もキャワキャワの方は言われんでもついていくだろうな」
「ま、まさか! 私がどうしてボンに? 私はイイコイイコ様に身を捧げたのです!」
キャワキャワは真っ赤になるが、
「おや、あれらといっただけなのに、何故ボン限定なのじゃ? 可愛い奴だのう」
「あ、いえ……」
「だからお主を気に入っているのだ。さあ、明日からも授業じゃ。遅れを取らんようにな」
イイコイイコはおしゃぶりを加えたまま、微笑した。
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「校長! そもそも体育館を私物化するなよ! なんで三階がアンタ用のプールなんだよ!」「そーだよ、フザけんじゃねえぞ!」
森とアガ李が怒っている。
「おお! 運命神よ! 私にバチが当たったのでしょうか? あの時、ボンさんの奇妙な告白に怒りを覚えてしまったことに! ああ、私はなんと未熟なのでしょう」
なんか上の方から、ククレアの嘆き声が聞こえる。
重い。目は開いているはずなのに、視界が暗いけど少し紅い日差しがボンを包む。
「ああ、ボンさん! 今、貴方がいるなら、あの時の返事がしたい!」
「く、クレアさん…‥?」
ボンは呻いていた。一面水浸し。
「ねえ、お姉ちゃん? いい加減で、本当にどかないと。ボンが窒息するよ?」
ヨワイコはまだピンク色のバトルウェディングドレスに身を包んで、瓦礫の山の下敷きになっているボンの真上で、両手を組んで天を仰いでいた。
「ええ、私がこの物語からどけと言うのね、ヨワイコ! そうするわ、大切な守るべき“臆者”のボンさんを守れず、もはや神官を名乗る資格もないわ! おお、運命神沢木ジョーよ!」
「イデデデ、ククレアさん! そうじゃなくて、下だよ!」
「はっ、ボンさんの声が? おお、沢木ジョー様! あの人の声だけでも聴かせてくれるのですね。お慈悲に感謝します」
「いや、僕はいます! 生きてますよ、どいてククレアさん! イダダダ!」
「ああ、ボンさんの霊魂が苦しんでいます! 申し訳ありません、ボンさん!」
ククレアは眼から美しい雫を流していた。
「そうじゃなくて、下だよ下! 僕は生きてるから!」
ボンは喚き続けた。
ジンチェンコはあちこちの瓦礫を肩でかついで処理してから、疲れたように嘆息し、
「なあ。あいつらはどうしたんだ?」
と聞いた。少し先では、ボンを下敷きにしている瓦礫の上で、ククレアはピンク色のウェディングドレスに身を包み、涙を流しながら「おお、私の運命の人よ!」と涙を流し、ボンは「イダダダ! どいて、ククレアさん! アダダダ!!」と喚いている。
ジンチェンコは、
「あいつらは、いつも何をやってるんだ?」と聞いた。
ヨワイコ、ゾッコンLOVE、城ケ崎はみんな一斉に、
「「「いつも通りのことを」」」
と、言った。




