虚弱七柱の弱腰!
この逆世界の中にも凶悪な心のモンスターがいることに恐怖を感じている。
「しかし、それだけではない……あの戦いと運動会の中で、私には“虚弱七柱”となるべき、
“弱くて良い感じのハート”を見つけたわ! そこで、みんな……さっきの戦いと運動会を見つめた上で、私の独断で“虚弱七柱”を決めたいの、いいかしら?」
「ええ? 夕焼けダイヤモンド校長が……?」
ゴクリと城ケ崎は唾を飲み込む。
「弱さで選ぶということから、当然、ボンくんの弱さは今後も頼りになるでしょう」
夕焼けダイヤモンドはそう言った。
「圧倒的な弱さのボン、さあ前に来なさい」
ボンは鼓動を抑えながら、前に進んで校長の前に立った。
「僕が……? 七柱?」
すると背後のククレアたちは「何を当然のことを」という表情で、
「ボンさんはそうに決まっています、こんな弱者は他にいません!」
と断言した。
ボンは壇上に上がった。奇妙な世界だが、“臆者”というものを目指すことは初めから決めていたことだ。
「ボンには“虚弱七柱”のエース……“弱腰”を担ってもらうわ! あなたは今日から、“弱腰”のボンよ」
“弱腰”? なんて弱そうな異名なんだ……?
「頑張ってね、“弱腰のボン”」
「はい、校長先生!」
ボンは返事をした。
森とアガ李が、
「うおおお、転入してきたばかりのボンが、七柱でも最弱の“弱腰”に!?」
「やはり、世界を滅ぼすのはボンなのか……?」
と盛り上げる。
「さらに、その比類なき解説者ぶり‥‥‥城ケ崎クリス!」
城ケ崎は当然だ、と言わんばかりに歩いていく。
「キミは、虚弱七柱の中でも縁の下の力持ち……“弱視”となってもらうわ」
「あの“弱視”に? 光栄です!」
城ケ崎は目を輝かせている。
「そして……名前通りの弱さ、ヨワイコちゃん!」
ヨワイコは姉を一瞥してから、余裕の笑みで歩いていく。
「キミには虚弱七柱の中でも、“弱火”をやってもらおう。極めて重要よ!」
「フン、“弱火”となれば、もうお姉さまになんか構ってられないわ! お姉さまではなく、じっくりコトコト煮込むように私が世界を滅ぼすですモン!」
ヨワイコは息巻いている。
校長はさらに、
「さらにその手際のいいマネージングと親切さキャイーン! 君は“情弱”だ」
校長は彼女の名を呼んだ。
「ええ? わ、私……? 私は着ぐるみ魔王軍。あ、あのイイコイイコ様は……?」
キャイーンに扮したキャワキャワは戸惑っている。
「キャイーンさんなら、間違いない! “情弱”ならキャイーンさんにうってつけです!」
ククレアが背中を押す。
「さらに……圧倒的な狙撃の力! その瞳にゾッコンLOVE!」
すると、森とアガ李がざわめいた。
「な、ナニいい? あの強者のLOVEさんがあ?」
「どういうことだ? その瞳にゾッコンLOVEはすげえヤツだが、虚弱七柱にあんな強いのを……?」
その瞳にゾッコンLOVEは堂々と壇上に上がった。
「ゾッコンLOVEさん、あなたには“気弱”を担ってもらうわ」
「フっ、その異名は私には似つかわしくないが……頼まれごとを断るようなヤワさも持ち合わせていない。引き受けよう!」
ゾッコンLOVEはそう言った。
「さらに、その足技……ジンチェンコくん! 君には“弱蹴”の役割だ!」
ジンチェンコはそのスマートな肉体で前に出た。
「さらに……国王の血筋だが、天才神官……ククレア! “弱光”を担ってもらおう!」
森とアガ李は、
「馬鹿なあ! あの天才のククレアが!? 優しい子だけど、あの天才ぶりと美貌で?」
「この虚弱七柱は例年と違うぜ……?」
校長は、
「どうした、ククレアさん? “七柱”に入りたくはないのか?」
「わ、私のような天才強者が……あの誉れ高い“虚弱七柱”に……? というかどうして、今回はこれほどに強者が混ざってるんですか?」
ククレアからすると、自分やゾッコンLOVEが選出されてるのが信じられない。
「この逆世界も変化しているわ……“虚弱七柱”にも新たなる力が必要と私は見たわ! 虚弱七柱にも、強者は必要! そう判断したのです!」
校長は夕焼けの沈む中で断言した。
「みなさんには、これから“五重の塔っぽい体育館タワー”に挑んでもらうわ! そこで、“今にも折れそうな心とカタナ”を取ったものこそ、臆者!」
校長は宣言した。“今にも折れそうな心とカタナ”……・
弱弱しい名前。だが、ククレアたち生徒は伝説の聖剣の名を聞いたかのように、うっとりと空を見上げている。
「あの伝説の弱剣、“今にも折れそうな心とカタナ”……あれを手に入れることさえできれば、着ぐるみ魔王イイコイイコにもきっと負けれます!」
ククレアの目は希望に輝いている。
城ケ崎は、
「誰でも頂上までたどり着ける、そして誰も傷つくことはないと言われるタワーで、”今にも折れそうな心とカタナ“を引き抜く! 本格的に虚弱七柱の冒険が始まるのね……!」
普段通りの情熱的な解説、横でヨワイコがフムフムと感心したように見つめている。
「七柱たちよ! これ以上の説明は、城ケ崎さんから受けるといいでショウ! “五重の塔っぽい体育館タワー”に登り、“今にも折れそうな心とカタナ”を取ってくるのです」
夕焼けダイヤモンドは号令をかけた。
「校長先生! そのカタナを取って“臆者”になれれば……この逆世界を変えることもできるんですか?」
ボンは聞いた。
「僕は……この逆世界は優しいけど……何かが間違っている気がする。ククレアさんやゾッコンLOVEさんがバカにされる世界なんて、おかしいよ!」
ボンは叫んでいた。
「ボンさん……」
ククレアはいつも戸惑ってしまう。
この世界で、ボンだけが別の論理で動いているかのようだ。
(ボンさんは、あの誰もが憧れる“臆者”に一番近い存在なはずなのに)
それなのに、臆病なことや弱いことを否定している。
誰よりも弱く、みなから羨望のまなざしで見られるボンが……
「オーケイです。そうした、青春のモヤモヤ感やエモエモ感もみんなみんな、タワーでぶつけてきなサイ! そこにきっと答えがあるはずです! さあ、みんなでレッツゴー!!」
弱腰な人は★で応援してください。。。・・・




