失点サッカー
ボンたちは、グラウンドの中央に集まっていた。
「みんなで揃ったわね? これから、七人制の“失点サッカー”でケリをつけるわよ? ルールは簡単! 失点すればするほど勝ち!」
キャワキャワはそう言った。
「ただし、これではただオウンゴールするだけでいいので、唯一のルールとして『GKが直接オウンゴールするのだけ禁止』となっているわ。他はオフサイドも含めて、全て通常のルール通りよ! みんなで頑張って失点して!」
「組み分けもこっちでやっておくからね」
とキャワキャワはそう言い、丁寧に作ったワッペンを参加者に張っていく。
「キャイーンさん、頼りになるし素敵な人ですね! 私も、あんな大人になりたいなあ」
とククレアは信用しきっている。
「……いや、あれは」
ボンは説明しかかるが、
「ああいう頼れる女性ってステキ!」
とククレアはまたしてもキャワキャワの変装を信じ切っているようだ。
「さあ、どのチームが失点するかしら? まず、第一組! ボン、ククレア、ナカナカ、城ケ崎、そしてその瞳にゾッコンLOVE! そして、GKとしてヨワイコ!」
キャワキャワが言った通りに組み分けられる。
何故か普通にナカナカがチームに混ざっているようだけど、着ぐるみ魔王軍なのにいいのか? という疑問もそろそろどうでもいい、本当になんでもアリなのだこの世界は。
「ヨワイコ! お姉ちゃんと頑張りましょうね」
ククレアは妹にそう言った。
「オッホホホ! お姉さまこそ、足を引っ張らないでよね。そこのボン! さっさとミスしなければ、結婚してあげるわよ!」
ヨワイコは自信たっぷりだ。
「け、結婚……?」
「さらに所帯を持ち、いっぱいあなたに尽くしてあげますわ! オッホホホ!」
「いや駄目だよ、こんな小さな子がそんなことを言ったら……」
と、ボン。
「オッホホ! 私と所帯を持つのがそんなに怖い? お姉さまに手出ししないことね!」
ヨワイコは高笑いしている。
「ボンさん、ヨワイコを気にしないでね。あれでも、私をかばおうとして『結婚する』みたいな脅迫をかけているのよ」
「結婚が脅迫……?」
やはり、不可思議な逆世界だ。
「さあ、クラブ・ボンの相手をするのは、彼らだあっ! FCセブンの選手たちです!」
すると、七人のいかにも兄弟と分かる子供がユニフォームを身にまとって集まってきた。
その先頭には、いかにも熱血指導者という雰囲気の中年がハーフパンツを履いて走ってきている。
「おい、野郎共! この日のために地獄の失点サッカー練習をしてきたんだぞ? 俺たちセブン一家の力を見せろ!」
七人兄弟は「オオー!」と声を上げている。
「なんだか、凄く強そうだよ、ククレアさん!」
ボンはそう言った。
「よし、いくぞ! ドリブラーの一郎!」
監督が呼ぶと、
「はいさ、親父!」
と一郎は素早いドリブルを行った。
「二郎!」
「ヘイ!」
二郎は途方もないロングボールを放った。
「三郎!」
「やれやれだぜ……」
三郎はそのロングボールを超絶トラップで収める。
「アレクシイ・ジンチェンコ!!」
監督は言った。
「俺かい、親父」
アレクシイ・ジンチェンコはコキコキと首を鳴らした。
「え……?」
ボンは思わず呻いていた。
「どうしたんです、ボンさん!? アレクシイ・ジンチェンコさんが何か?」
「いや、どう考えてもおかしいよ!? 一人だけ、名前が!?」
「いつも、おかしなことを気にしますね? ボンさんは」
監督はさらに、
「五郎!」
すると、五郎は華麗なリフティングを始めた。
「川渕六郎!!」
監督が呼ぶと、川渕六郎はニイと笑いながら、ドリブルを開始した。
「おかしい! 何かがヘンだよ!?」
ボンは叫んでいた。監督は続けて、
「七郎」
すると七郎は川渕六郎からタックルでボールを奪った。
「以上だ。俺の可愛い息子たちが相手だぜ?」
監督はそう言った。
「いやいやいや、おかしい! おかしいですよ! 監督、どういう名前なんですか!? 正直、もう一度名前を紹介してくれませんか?」
ボンは食い下がる。
「なあにい、ウチの息子たちの名前がヘンだと?」
監督はそう言うが、
ククレアは、
「監督さん、ボンさんは一度気になるととことんまでツッコミを入れるツッコミ体質なので……もう一度紹介していただければ。私も、ボンさんがいつも何をそんなにツッコンでいるのか分からないんですが」
と言った。
「みんなが気にしなさすぎなんだよ!」
とボンはまたしてもツッコンでいた。
「仕方ねえ……よし、いくぞ! ドリブラーの一郎!」
監督が呼ぶと、
「はいさ、親父!」
と一郎は素早いドリブルを行った。
「二郎!」
「ヘイ!」
二郎は途方もないロングボールを放った。
「三郎!」
「やれやれだぜ……」
クールな三郎はそのロングボールを超絶トラップで収める。
「アレクシイ・ジンチェンコ!!」
監督は言った。
「俺かい、親父」
アレクシイ・ジンチェンコはコキコキと首を鳴らした。
「ほら、どういう名前!?」
ボンは思わず呻いていた。
「どうしたんです、ボンさん!? アレクシイ・ジンチェンコさんが何か?」
「いや……どう考えてもおかしいよ!? 一人だけ……名前が!?」
「いつも、おかしなことを気にしますね、ボンさんは」
監督はさらに、
「五郎!」
すると、五郎は華麗なリフティングを始めた。
「川渕六郎!!」
監督が呼ぶと、川渕六郎はニイと笑いながら、ドリブルを開始した。
「おかしい! 何かがヘンだよ!? どうして!?」
ボンは叫んでいた。
監督は続けて、
「七郎」
するとセブンヘイブンは川渕三郎からタックルでボールを奪った。
「以上だ。俺の可愛い息子たちが相手だぜ?」
七人の兄弟たちは、勢ぞろいしてポーズを取っている。
「一人だけアレクシイ・ジンチェンコがいるじゃんか! そして、途中で川渕六郎だったり、りとか! 普通は全員四郎、五郎、六郎とかそういう名前でしょ!?




