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その瞳にゾッコンLOVE!

銀髪の少女の瞳は・・・?

ボンは“みんなで臆者を決める学校”へと戻っていた。

(僕は、駄目スキルを二つも授かった)

 五十肩。

 そして、めまい・強。

 しかし、そのおかげでどうやらキャワキャワを撃退できたらしい。

「あれがボン!“臆者”の最大の候補?」

「あの簡単な試験を全科目零点……?」

「見ろ、あのやる気のない目を! 木のつるぎを持ち上げるのも苦労するそうだ!?」

「なんて弱そうで駄目そうなヤツなんだ!?」

「ボンのヤツ、【五十肩】なんて超脆弱スキルで、“最弱六公”に打ち負けているそうだな」

「けど、ウチにも“虚弱七柱候補”がいるんだぜ……? そうそう転入生に“臆者”のポジションを渡すはずがないぜ……」

 奇妙な世界観の逆世界。

 人々はみんな優しいけれど、少し肩透かしの気もする。

「おおっ、見ろよ! “虚弱七柱候補”の一人が、弓矢競技をしている!?」

 ボンは校庭を見下ろす。

 そこには、銀色の髪をロングに伸ばした少女がいた。

 右眼は髪に隠れ、左目は憂いを持っている。

(美しい人だ……)

 ククレアの健康な美しさとはまた違う。

 まるで深夜の三日月のような、純粋で妖艶な美貌。

 その少女は、張り詰めた弓の弦を引いた。

 そして、矢を放った! それは寸分の狂いもなく、50メートル先の的の中心を射抜いた。

「すげえ! 射抜くなんて駄目だけど、カッコいい!」

「やっぱりカッコイイな、七柱は!」

 ボンは、

(あ……? ちゃんと的を射抜いているのに褒められている……?)

と期待を持った。

 この逆世界では、とことんまで駄目な人だけが褒められる……

 従って、ボンはかなりの高評価だ。

 けれど、折角中世ファンタジーの世界に来たのに物足らない部分も感じていた。

「フっ……黎明の時は来た。世界を超えた先に向かうとしよう」

 おお! なんか、それっぽいことを言ってる!  ボンは校庭へと駆け出していった。

「はあっ、はあっ、すいません……」

 ボンは勢い込んで声をかけた。

 銀髪の謎の美少女は、

「どうかしたか?」

と返事をする。

「いえ……あなたは、どうやらこの逆世界の中では独特の雰囲気のようです!」

ボンはそう言った。

「お主……まさか、ボン? 別の世界から来たという」

「そうです!」

「かの“億者”になるというなら、この逆世界を侮らぬことだな。努々忘れることのないように、精進したまえ……」

(おお、なんか強そうだ!)

 ボンは内心で喜んでいた。

 そして、謎の銀髪の美少女は去っていった。

「やっぱり、この世界にも強そうな人がいるんだ!」

 ボンは拳を握りしめた。

「ボンさん、こんな所で何を?」

 振り返るとそこには、カメラを片手に必死で脚立をセットしている、学生帽を深くかぶったククレアがいた。

「わ? その恰好は?」

「はい、今日は“敷地に入って無理やり撮ろうとする撮り鉄”になってみよう、と思って」

 ククレアはなんとしてもダメになりたいようだ。

「ククレアさん、そんな駄目になろうとしなくていいんだよ!? 僕はさっき見た……物凄く強そうで立派な人をね」

「まあ、ボンさんも相変わらずおかしなことをいいますねえ……『強くて立派』なんて、あるはずがないのに……強さとはすなわち、最悪。弱者こそが正しい。それが常識です」

「いや、その先入観こそ間違いだよ! やはり、強くなることも大事なんだ……!」

 ボンはそう言った。

「ボン、そんなことより、“気弱な運動会”がそろそろ始まるのよ……?」

 そこには、城ケ崎がいた。

「この“気弱な運動会”では、どれだけ気弱か、脆弱か、そしてセンスが無いかを競う、アヴァンギャルドでナイーヴな運動会よ……! いくら、あなたと言えど、そうそう簡単に優敗できるワケじゃないわ」

「優敗……?」

 そんな単語聞いた事もない。

「つまり、ダントツのビリになることです」

 ククレアはそう言う。

「特に、ボンの噂は広まっている……“虚弱七柱候補”の他も動き出しているというわ。特に“月の巫女”と称される銀髪の彼女……あの子が敵に回るとなると、恐ろしいわよ?」

 月の巫女。ボンは一瞬、さきほどの銀色の髪の少女を思い出していた。


「まさか、あの子が? きっとそうだ。あの銀髪の美少女だよ」

「ボンさん‥‥‥随分とその子のことがお気に入りのようですね」

 ククレアは少しむっとしているようだ。

「まあ、それだけ美人であれば仕方がないですよね。ずっとアップリケのついている私なんて、お邪魔のようですね!」

「ええ? ククレアさん? どうしたの?」

「……私は、運動会用の衣装に着替えてきます。失礼」

 ククレアは小走りで去っていったが、どことなく怒っている感じだ。

「ククレアさん?」

「あーあ、デリカシーのないヤツねえ。とことんまで駄目人間なんだから」

 城ケ崎は呆れているようだ。

「えええ? どういうこと?」

「ククレアの気持ちを少しは分かってあげなさいな!」


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