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伏魔団地  作者: 真暗森
【第2号棟  亡骸纏う墓穴の風琴】

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100/101

第100号室 墓穴団地 地獄の底で………

呪い100話!



 団地の底が抜けた。



 地の果て見渡せぬほどに続く広大な団地、その中にぽっかりと空いた大穴、墓穴団地(カタコンベ)の底は太陽が一番高い位置まで昇っても仄暗く、湿った空気が吹き荒び、亡者の呻き声を囲んで反響させる。


 ただでさえ暗い中、巻き上がった膨大な塵がスモークを焚いて大穴を塞ぎ、全てのモノの視界を遮る。


 曲がって鎌首をもたげる電柱から火花が飛び散り、スパークが乱反射して虹色に輝き、あやしいシルエットを煙に投影する。


 積み重なった瓦礫は新たな構造体となり、下水道から降りしきる水音を、崩落を続けるコンクリートの轟音を、気圧差で吸い込まれた強風の風鳴りを増幅してビートを撒き散らす。


 この世の物とは想えない高音域の絶叫が駆け抜け、振動で小石が脈打つように跳ねて転げ回る。


 絶壁から垂れ下がった通信ケーブルに絡め取られた教会の鐘と、寺の鐘が互いを打ち合い呪いの鐘の音を上げる。


 団地の崩落に巻き込まれながらも即死を免れたモノ達には災いであった。


 全く纏まりの無い地獄の狂想曲の中、根源たる悪意を持って吹き鳴らされた竜骨のパイプオルガンの鳴動を合図に、あの世へ降る楽章への調律が始まる。


 薄れ行く耳鳴りをかき消して耳に入ってくるパイプオルガンの音色に、濡れた修道服に塵が染み込みセメント色の彫刻のようになったシスターが狂ったように辺りを見渡す。


「アメイジンググレイスが聴こえる……!??」


 そんなバカな、と見渡す内に、幽体離脱してどこかに召されて行くマイマズマを見つけてまたですか、と引き摺り下ろす。


「はっ……死ぬかと思った!」


 実際死んでいたマイマズマが復活する様子を遠目に眺めて、パナキュルが顎さすりながら訝しんだ。


「今の見た〜?エルフ的にもありえないんじゃ無いの?」

「見ましたわ!一応、長く生き過ぎると身体が精霊に置き換わってしまう例があったそうですのでその類いかと思いますわ。……それでも、ほとんど神話の域ですけれども」


 エクセレラが拭ったそばからまとわりつく塵をまた拭いながら答え、瓦礫の隙間から最後に這い出して来た教授を引っ張り出した。


「あいたた……腰が………」「あらどこか打ちましたの?」「いや、元からツラい……」「「あらら……」」


 倒壊してもまだ原型を留めていた床になった壁を、ボブとグロウゼアが押し退け脱出し、他の生存者達と合流する。


「ふぅん、案外生き残りがいるな。まあ、今更この程度で死ぬ者共では無いか」

「……何言ってんだ?もっとたくさんいただろ!」


「そうか?……心得のある者は皆、揃っているだろう??」


 すぐに他の生き埋めになっている住民を助けに回ったボブの後ろを、グロウゼアは額に滴る血を拭い、詰まらなそうについて回り、あくびを噛み殺して手伝った。


 グロウゼアの言う通り何かしらに秀でた能力を持っている住民は皆、生き残っていた。


 団地生活の長いガチ勢のエイプリル、ジャック、サモニャンなどは既に、鉄骨や刃物を集めて急拵えの武器をあつらえ、次に来たるであろう脅威に備え始めていた。


「見てコレ!メイドからパクったやつ。ヴォン、ぉヴォオん(笑)……あ、電池切れた………」

「強いの、無駄使いすんなにゃん!」


 防御不能の超兵器、荷電粒子刀(セイバートーチ)を粗大ゴミに変えたエイプリルをサモニャンがこき下ろす。


「……なあ、何か忘れてないか?」

「そう?なにを??」「ジャックが言うなら何か忘れてるのにゃん」


 ふと、動きを止めたジャックに釣られて、あとの2人も息を呑んで静まり返り耳を澄ます。


(……けほっ、………けほっ、けほけほっ…………)


 微かに聴こえてきた、か細く咳き込む少女の喘ぎ声にエイプリルがゲラゲラ嗤い出す。


「あははっ!あのガキ、埋められてやんの!!」


 子供1人が膝を抱えて横になるのがやっとのスペースに押し込められ、指の一つも動かせないほどに詰められた小夜であったが、背負っていたランドセルがクッションと吊っかえの役割を果たして圧死を免れていた。


(……ぐはぁ!………はやくぅけほっ、たすけろぉーー!けほっ…………)


 咳き込むたびに鼻、口塞いで、喉、肺、胃へと入り込む塵を気合いで押しとどめ、か弱い声で助けを求めると、すぐに悔しさと怒りに塗り潰されて前言撤回した。


「はいはい、いま、たしゅけてあげましゅからねぇ〜」

(この電動ダッチワイフが調子乗ってんじゃねーぞぉ……!)


 小夜に被さる瓦礫を、にこやかにどかしていたエイプリルが一瞬でキレ上がり、乱暴に瓦礫を戻した。


「なんだと!?このメスガキ!??」

(うっ!?………死ぬ!!!)




ブクマして♡

いいねもほしー♡

☆☆☆☆☆は5コおねがい♡

感想もまってる♡

レビューも見たいかも♡

ステマ?とかアリだと思う♡♡

ハッシュタグは #団地文庫小説大賞 でよろしく♡♡♡


いっつも、更新遅くてごめんねー☆

我慢できない人の子ように、最終回までのプロットを短編置き場においたので、ネタバレ読まないように、つよつよの意志を持って我慢してくださ〜い♡

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