第24話 婚約成立、そして公爵様の独占欲がさらに悪化しました
婚約指輪をはめられた瞬間。
会場が完全に沸騰した。
「きゃああああ!!」
「正式に婚約した!!」
「ヴァンフォード公爵がついに!!」
私はもう羞恥で死にそうだった。
左手が熱い。
青銀色の宝石が、会場の光を受けてきらきら輝いている。
「綺麗……」
思わず呟く。
すると。
アレクシス様の目が少し柔らかくなった。
「お前によく似合う」
また直球。
無理。
私は顔を覆った。
「エリシア様かわいい……」
「旦那様が完全に溶けてる……」
侍女たちが後ろで騒いでいる。
だが。
アレクシス様は気にしていなかった。
むしろ。
妙に機嫌がいい。
「アレクシス様……」
「なんだ」
「……嬉しそうですね」
ぽろっと出た。
すると。
彼は少しだけ目を細める。
「ああ」
即答だった。
「嬉しい」
会場がまた静まり返る。
「公爵様が素直……」
「今日どうしたの……?」
私も同じ気持ちです。
アレクシス様は私の左手を取り、指輪へ軽く触れた。
「これで誰も文句は言わない」
低い声。
「お前は正式に私の婚約者だ」
胸がどくん、と鳴る。
婚約者。
本当に。
私が。
この人の。
その時だった。
「アレクシス」
叔母様が呆れた顔で扇子を揺らす。
「少し落ち着きなさい」
「落ち着いている」
「全然落ち着いてないわよ」
即否定された。
「昔のあなたなら、人前でキスなんて絶対しなかったでしょう」
私は再び真っ赤になる。
思い出させないでほしい。
だが。
アレクシス様は平然としていた。
「必要だった」
「必要?」
「牽制だ」
会場がざわつく。
「牽制……」
「まだ警戒してるの……?」
アレクシス様は冷静に続ける。
「まだお前を狙う視線が多い」
「えっ」
私は思わず周囲を見る。
すると男性陣が一斉に目を逸らした。
怖い。
何その反応。
「……誰にも渡す気はない」
低い声。
そのまま腰を抱き寄せられる。
「ひゃっ」
「旦那様また触ってる!!」
「もう隠す気ゼロ!!」
侍女たちが崩れ落ちている。
私は真っ赤になりながら抗議した。
「アレクシス様、近いです!」
「婚約者だから問題ない」
無敵理論。
しかも最近こればっかりだ。
「そ、それに皆見てます!」
「見せつけている」
即答。
会場が爆発した。
「独占欲つよ!!」
「公爵様が囲い込みを隠さなくなった!!」
私は頭を抱えた。
だめだ。
婚約したせいで、この人さらに悪化している。
その時。
アレクシス様がふいに私の耳元へ顔を寄せた。
「今夜から部屋を移す」
「……はい?」
「主寝室の隣へ」
待って。
それまだ決定事項だったの!?
「アレクシス様!?」
だが。
彼は珍しく少しだけ笑っていた。
「婚約者を遠くへ置く理由がない」




