美少女の上目遣いには弱い
「ふぅー」
イデアルと一緒に魔法を使う練習をしておいて良かった。
まさか因縁の巨大イノシシといきなり対峙する事になるとは思わなかったけど。
僕だって強くなってるんだ。
最初は魔法が使えないって落ち込んだけど、そんなことなくて良かった。
どうやら僕は氷魔法の適性が凄く高いみたいで、その代わり他の属性の適正が無いみたいだ。
ちなみにこの世界には炎、氷、水、風、土、光、闇の7属性が存在して、このどれにも属さない特殊魔法というのもあるらしい。
「す、すごーい!!」
巨大イノシシに追いかけられていた3人組の1人がはしゃぎながら近づいてくる。
「あの、私たちを助けてありがとうございます! 魔法を使う姿がカッコよかったです!」
「ありがとう」
凄くキラキラした目で見つめられている。
「私はリリィって言います!!」
「うん、僕はカエデって言うんだ。よろしくね」
「はい! よろしくお願いします! あの、お願いがあるんですけど良いですか!?」
「どうしたの?」
「お姉さまってお呼びしてもよろしいですか!?」
お、お姉さまって。
「ダメですか?」
美少女に上目遣いでウルウルと見つめられたら白旗を上げざるおえない。
リリィは綺麗な金髪を腰元まで下ろしており、笑顔が活発なイメージを与えてくれる明るい雰囲気の子だ。
身長は150センチあるかどうかで灰色の瞳をした可憐な容姿の美少女だ。
「ダメじゃないよ」
「やったー! ありがとうございますお姉さま!」
許可を出されたリリィは飛び跳ねて喜びをあらわにしている。
こんだけ嬉しそうにしてくれるなら、お姉さま呼びを彼女に許可した甲斐がある。
「あの、助けていただいてありがとうございます!」
「ありがとうございました」
今度は少し緊張した様子の少年と少女に感謝された。
「うん、別に気にしなくていいよー」
本当にそんな気にする事じゃないし、因縁の相手を頭の中でイメージした通りに倒せて「僕ってば強すぎ」と調子に乗ってだけだから。
何なら巨大イノシシを見て存分に魔法で遊べそうとか思ってワクワクしてただけだから感謝され過ぎても気まずい。
「あんな強そうな魔物を圧倒するなんてお姉さま強い〜!」
そう言って抱きついてくるリリィ。
どうしよう……この子めちゃくちゃ可愛い!
「お姉さんが帰りにアイスを奢ってあげよう」
「えー! いいんですかお姉さま!」
「うん、好きなアイスを買ってあげよう」
「わーい! ありがとうございます!」
可愛い。
本当に妹に欲しいな。
・・・
「魔物の買取をお願いしたいんですが」
「おう」
ガタイのいいスキンヘッドなおじさんが対応してくれる。
本当は受付嬢とお話ししたかったけど、大きい魔物はこっちの買取窓口だとゼナルに教えてもらった。
人を見た目で判断するのは良くないって分かっているけど、いかつくて用が無ければ自分からは話しかけないタイプだ。
「それで、何を持ってきたんだ」
おじさんに問われる。
「ビックボアを持ってきました」
「あんたがビックボアを狩ったのか!?」
おじさんは驚いた表情を浮かべている。
「はい」
「まぁ、見た目と強さは比例しない事もあるからな」
しみじみと言うおじさん。
まぁ、魔法があるファンタジー世界なのだから可愛い女の子が強くてもおかしくは無いよね。
まぁ、僕ってば可愛いから巨大イノシシを倒したなんて見た目とのギャップが凄いよね。
「それじゃあここに出してくれ」
「分かりました」
おじさんに言われて黒色のショルダーバッグからビックボアを取り出す。
「おー! まさかとは思っていたがマジックバックに入っていたか!」
そう、どうやってビックボアをギルドまで運んで来たのかと言えば、マジックバックに入れて来たのだ。
このマジックバックは小さい見た目に反してほぼ無限に物が入る優れ物だ。
最初は異世界だしこれが普通なのかと思ったけど、ビックボアを入れる時に皆んながビックリしていたから優れ物だと気づいた。
普通のマジックバックはこんなに物が入らないらしい。
流石はイデアルから貰った物だけある。きっととんでもなく価値がある、下手したらこの国の王族でも手に入れる事が出来ない代物なんじゃ無いだろうか。
「だが、高価な物だからなるべく他人には見せない方がいいぜ」
おじさんがアドバイスをくれる。
「はい、助言をして頂きありがとうございます」
「どうする査定まで少し時間がかかるが待つか? それとも明日また来るか?」
うーん、どうしよう?
リリィたちにも僕の買取を待ってもらってるからな。
「明日また来ます」
「おう、分かった」
皆んなを待たせているし、僕はまた明日ギルドに来ることにした。




